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第15章

セヴェルと分かれた2人は雑貨屋に来ていた。

「なに買うの?」

「リボンですよ。そろそろぼろぼろになってきていましたからね。

それと貴方のブーツを買いましょう、ずっとサンダルでしたから」

「ブーツ……ヒールの高いやつ?」

「ヒールが高すぎると転ぶのでヒールの低いものを選びましょう」

雑貨屋のドアを開けるとカラコロとドアの上に付けられた鐘が鳴る。

中に入ると、皿やコップ、エプロン、バスボブル等が並んでいた。

そのほかにはアクセサリーのコーナーに髪留めに隠れてリボンが

エプロンや洋服のコーナーの下にブーツが並んでいた。

エリュニスがリボンを選んでいる。男がリボンなんて変に思われ

るかもしれないが、エリュニスは中性的な容姿だしグレーなど地

味な色のリボンを選んでいる。

ルシェットはブーツを選んでいた。茶色のサイドボタンのショー

トブーツを選んだ。ヒールもあまりなかったのも良かった。

「ルシェットさん、この色のリボンなんてどうですか?」

エリュニスが選んでくれたリボンは薄紫色のリボンだった。エリ

ュニスはグレーの色をしたリボンをすでに選んでいた。

「スカートと同じ色……いいかも」

ルシェットはブーツもリボンも気に入ったようだ。そんな様子に

エリュニスはほっと安堵していた。

「じゃ、買いますね」


「お買い上げありがとうございました」

雑貨屋を後にした2人は図書館へと向かった。冒険で手に入れた

本を読むためと、それに関連した本があるかどうか調べるためだ。

しかし、いくら探しても目的の本はみつからなかった。

「物の浮かせ方……ないみたいですね」

「……やっぱり、レアな本なんだ……」

「これを読み終わったらお昼にしましょう」

「何食べようかな……」

「虎白亭のシチューにしましょう。美味しいですよ」

「楽しみ……早く読み終わっちゃおう」

半分ほど読み終わったところで昼になったようだ。

「……まだ半分……昼ご飯食べ損なっちゃう」

「残り半分は帰ってからにしましょう」

「そうだね……昼ご飯にしよう」


大通りの大衆食堂に混じって虎白亭はあった。店の中に入ると、

美味しそうな臭いが鼻をくすぐる。

「シチューと、このクルミ入りのパンを2人分ください」

「かしこまりました」

サービスで運ばれてきたクルトン入りのサラダとオレンジジュースを

飲み食いしながら、待っているとシチューとパンが来た。

「いただきます」

「美味しそう……いただきます」

パンに口を付けると、ほのかな甘みとクルミの香ばしさがして美味しい。

シチューは芋や人参、鶏肉などがごろごろ入っていた。

パンもシチューも美味しいが、ルシェットには量が多いため半分ほど

食べて残すことになった。もったいないと思うかも知れないが、無理

やり食べると吐きそうになるためやめておいた。


「ただいま……」

「結局ここに帰ってきちゃいますね」

昼ご飯を終えた2人はいつものごとく貸し住宅へと戻ってきていた。

ルシェットは早速本の続きを読んでいる。エリュニスはショートソード

やロッドを磨いている。ルシェットが本を読み終わる頃には辺りはもう

すっかり暗くなっていた。

「さあ、もう寝ましょう」

「……うん。……眠いの……」

2人とも夕食も食べずシャワーも浴びず寝てしまった。それだけ疲れて

いたのだろう。あっという間に眠りに落ちていったのだった。


翌日。2人はシャワーを浴びた後、食事もすませ、物の浮かせ方の練習

をしていた。

「……浮け!」

食事に使ったスプーンを浮かせようとするがまだうまくいかない。本の

熟読が足りなかったのだろうか。もう一度念入りに本を読み返すことに

した。

結局この日は本を読み直すことになってしまった。シャワーも食事をす

るのも忘れ読みふけってしまう。

翌日。朝食のパンを浮かせることに成功したルシェットは上機嫌でパン

に齧りついている。

「便利そうですね。物の浮かせ方」

「今はまだ軽いものしか浮かせられないけど、便利……」

(それにしても高度な魔法を2日で習得するなんて……本当にすごいですね)

ふとエリュニスはそう思った。それと同じに頭の中で少し恐れを感じて

しまうのを必死で振り払った。

「さて、これからどうしましょうか」

「また依頼受ける?」

「いえ、それよりも回復薬を大量に作っておきましょう。それと非常食

を補充して……ランタンの油も買い足して起きましょう」

「……うん、分かった」


貸し住宅を後にした2人は市場へと来ていた。

「乾パンと干し肉を5袋づつ、それとドライフルーツを3袋。油を5日分

ください」

「あいよ。他にはないのか?」

「ありますよ。薬草を30束、メルカの実を20個ください」

「随分沢山買うんだな。金は大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。沢山ありますし」

「そうか? まぁいいが」

「では失礼しますね」


市場を後にした2人はルシェットが以前住んでいたという小屋に来ていた。

「ここも随分久しぶりですね」

「うん……埃が溜まっているから掃除しないと」

ルシェットは箒を手に、エリュニスはバケツを手にし水を汲みにいった。

エリュニスが戻る頃にはルシェットが掃除を終わらせていた。調合を開始する

ことになった。

薬草をちぎって乳鉢にいれすりつぶす。茎等の固い部分は取り除いた。

すりつぶした薬草に水を加えて滑らかになるまでつぶしながら混ぜる。出来

たものから、試験管の容器に入れていった。

メルカの実も薬草と同じように皮と種を取り除き、水を加えつぶし混ぜて

試験管に入れていった。

半日ほど作業に取り掛かる。全部出来た頃には2人ともへとへとだった。

「完成……」

「意外と少なく出来ましたね」

「濃縮してあるからじゃない?」

「それもそうですね」


小屋で調合を終わらせた2人は街を歩いていると依頼所の店主に呼び止め

られた。

「おい、そこの2人。お前たちに名指しで依頼が来ているぞ」

「誰ですか?」

「エルフード邸のリリアンからだ。お前たちも少しは話したことがあるん

じゃないか?」

「分かりました、行ってきます」

2人はエルフード邸へと向かった。着いたところで呼び鈴を押すとメイドが

出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」

「……お邪魔します」


「来てくれたのね。ゆっくりしていくといいわ」

「……何の話ですか?」

「……実は私、冒険をしてみたくて」

「大丈夫なんですか? それにドレス姿のままだと動きづらくて危険ですよ」

「そこは抜かりないわ。ワンピース姿も用意してあるの」

2人は冒険の話をした。リリアンはきらきらと目を輝かせている。その後

冒険をする準備を始めた。

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