ⅠのⅦ
楽しいディナーショーが、
あなたに見れるでしょうか?
貴方に・・・
For you・・・
「あぁ~、蝉の声がうるっさい。まじ無いわー。」
日陰にあるベンチに座る少年が言った。少年の隣にいるもう一人の少年は、その言葉にひとつの舌打ちをした。
「あ、ひっでぇな。悟くんのバカー!!」
訂正しよう。少年ではなく、少女だ。声は高くてスカートを履いている銀髪のショートカット少女。顔は可愛らしい。口の悪さは隣にいる少年の影響だろうか。少年はもう一度舌打ちをした。少年・・・悟はダメージジンズ履いている足を大股に開き、だるそうにして顔をしかめている。髪は藍色をした無造作ヘア。
「いい加減静かにしてろよ、祭。」
悟は少女の頭を盛大に叩いた。少女は奇声を発しながら頭を抱えている・・・。少女、祭は涙目の瞳をつり上げて睨むようにした。が、顔が可愛らしいせいか上目遣いにしか見えない。その瞳にぐらりときたのか悟は顔をおもいっきり逸した。
「わー、悟くん何故逸したんですか?!」
ショックを受けたように祭が叫んだ。瞳は更に涙で潤んでいる。まぁ、無理もないだろう。涙で潤んでいるのは祭が悟のことを好きだからだ。likeでは無く、loveだからである。
「あ!あのおにいちゃん、あのお姉ちゃんのこと泣かしてるよ。」
幼い子供がこちらを指差していった。祭も悟もギョッとしてその子供を見た。・・・子供ではなかった。幼い子供のような声を出したのは、悟の友人である少年。見た目がチャラそうなのに、実は一途な少年だ。悟は真っ黒なオーラを出しながら立ち上がった。
「やぁ、密くん!!」
満面な笑みが怖い。祭はアワアワと焦っている。その姿すらも可愛らしい。
「うわぁー、悟が俺を君付けとかキーモーいー」
・・・うるさい。公園は一気にうるささを増した。セミの音は相変わらず、そこに2人の少年の声。そして、何かの爆発音。・・・ん?
「爆発音?!」
祭は爆発音のする方を見た。そこには密くんと悟の幼馴染の2人組。バカ1号君と2号君がいた。2人は爆竹で遊んでいる。音がするたびに祭の肩がびくりと飛び上がる。
「近所迷惑だぁ!!うるっせーな!!」
可愛らしい声で言うが、爆発音によってかき消される。それに気がついた悟と密くんはおバカさんたちを叩きに行った。そして耳元で
「その音を 黙らせろーーーー!!」
と声を張り上げる。・・・あれから20分。やっと3人は帰り、公園はもとのようにセミの鳴き声と悟と祭の2人になった。
「悟くん・・・今日は一体、どうしたんだ?話したいことがあるって言ったの自分だしょ?」
噛んだのかは不明だが、祭は口調が出会った4年前に戻っていた。2人が出会った頃は祭の口調がへんてこだった。
「なあ、祭?俺の好きなもの知ってるか?」
「何年の付き合いだと思ってんでしょうか?」
そう言って祭は小さく笑った。そして手を広げる。
「空でしょ、森、海、川・・・つまり自然だよね。あとは仲間に、幼馴染に・・・」
言うたびに指を曲げる。祭は笑顔のまま続けようと口を開く。しかしそれは、悟によって遮られる。
「あと、オメーもだよ。バーーーーカッ!!」
バーーーーカという言葉と同時にギュッと力強く、悟は祭を抱きしめた。祭は小さくきゃっと言った。
「バカって・・・私も大好きに決まってんでしょ!!」
「え?大好き?」
少し不満げに悟が言う。祭は不思議そうな表情で悟を見た。悟は
「おれ、間違えた。好きじゃなくて愛してるだった。」
と笑った。
いかがでしたか?
お楽しみいただけたでしょうか?
どうかダメだし、お褒めの言葉をよろしくお願いします!!
図々しくてすいませんです。