ⅠのⅥ
もう、見てしまえば楽になるだろう。
さあ、ご覧あれ。
この部屋にいる少女はたった一人だけ。目を閉じている。
「まだ、来ませんね。皆は元気でしょうか・・・。」
少し早口にしゃべるのが特徴的な目を閉じたままの少女の声は、一人しかいないこの部屋によく響く。少女の声は綺麗なソプラノ。容姿は中の中くらい、だろうか。少女はまぶたを持ち上げた。
「ダレ?」
再び少女の綺麗なソプラノ声が部屋に響いた。少女の瞳の色は深緑色と黒。少女の手には片目分のみ無くなっている黒のコンタクトレンズ。どうやら少女は片目のみコンタクトをはめているようだ。
「し、篠塚 理音です。」
扉から、少し顔を覗かせた少女・・・いや、可愛らしい顔をした少年。身長は170センチあるかないか位だ。ちなみに少女は150センチしかないので、少年の前に行けば見上げる形になる。少年こと篠塚は部屋に入ってきた。部屋とは教室のことなのだが。少年の着ているものは新品と思われる制服だった。
「あ、の。あなたのお名前は?」
篠塚が恐る恐る聞く。少女は自分はそんなにも怖いだろうか、とショックを受けていた。少女はショックを受けながらも、少年の顔をよく見た。
「前川 満留来です。初めまして、でしょうか」
少女ことミルクは、篠塚を初めてみたようだった。篠塚も初めて見たのか、こくりとうなづいた。少女の着ている制服は少し着古したもので、慣れたように着崩していた。そこに複数の足音が聞こえてきた。ペタペタと女の子らしい足音とドシリドシリと男らしい足音、どちらも2つずつくらいだろうか?そして、扉から入ってきて・・・
「おはよう」
「うぃーす」
「はよ」
「おっはーん」
と口々に挨拶をした。
「おはようございます。遅かったです・・・」
と口をすねたように尖らせたミルクが返事をした。どうやら5人は知り合いのようだ。そこで、一人仲間外れのようになっている篠塚がどもりながら言った。
「あああああの。初めまして、篠塚 理音です。今日からこの2年0組にきたものです」
その場にいた全員が運命の出会いを果たした時だった。特にミルクは・・・。
「え?じゃあ、仲間なんだね。」
少し意味深です。
いかがでしたか?
読んでくださった方、感謝です。
これからもよろしくお願いします。
最近マイブームが敬語です。
マイブームを取り入れてみました。