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鎖の少年、踊る少女
暑い。
容赦なく照りつける昼の陽射しに、ミオ・シルバリンは辟易したため息をついた。
流れる風が、彼女の亜麻色の髪を靡かせる。
「…あーつーいー!」
耐え切れなくなり、ミオは背を仰け反らせて、前に座っている青年に訴えた。
青年は、うおっと驚いたように声を上げて、ややバランスを崩す。
「なんだよ、ミオ。さっきからため息を吐いてる思えば」
「暑いよー!何でこんなに暑いの、ここら辺!?何でケイルは平然と出来るの!?」
ミオの不満に、青年、ケイルは呆れたように嘆息した。
肩越しに後ろを向いて、背中に張り付いているミオを見る。
「あちいよ、こんな炎天下の中走ってんだから。しかもお前がべったりくっついてるし」
「あっ、なにそれわたしのせい!?ひっど!」
ミオは片手でケイルの背中を軽く叩いた。ふん、と拗ねたように唇を尖らせてそっぽを向く。
汗のせいで髪が頬に張り付いた。
彼女達は今、二輪の自動車に乗って走行をしていた。
運転をするケイルは前に、ミオは荷物に挟まれるように後ろに座って、ケイルの胴に手を回している。