第0話 序章
初投稿です。
下手くそですがよろしくお願いします!
肉が焼ける匂いがした。
そして、上がる悲鳴。
ああ、まただ。
少年は薄れる意識の中で理解し、瞼をゆっくり閉じた。
傷だらけの身体はもう力が入らない。
呼吸をするだけで激痛が走り、呻き声すら上げれない。
額が切れたせいで流れこんだ血が右目に染みてジクジクと疼く。
その時、倒れている少年の脇に誰かが立った。
少年は瞼を開ける気力さえなかったが、気配だけでその人物が誰だか分かった。
ゾッと。身体が総毛立つのを感じる。
身体が意図に反して硬直し、筋肉が引きつって痛みが増した。
スッと、その人物は少年の脇に屈みこんだ。
「……分かったか?」
男性の低い声色だった。その囁きは一見優しく語りかけるようにも聞こえるが、少年にとっては威圧感しかない。
「………分かっただろう? お前らに自由なんてない。逃げるなんてこと出来ないんだよ」
優しく、撫でるような口調。
しかしその顔に浮かんでるのは随分と下卑た表情だった。
ニヤニヤと嗤いながら、男は立ち上がる。
そのまま少年に背を向けて、男はそこから立ち去る。
そして嗤い声を上げながら言った。
「お前ら『奴隷』は、死ぬまで俺の所有物なんだよ」
静かになった部屋の中で、無数の呻き声が上がる。
その中で、ちりちりと焦がすような痛みを感じながら僅かに指先に力を入れる。
ちゃんと動く。まだ大丈夫。
少年は溜めていた息をゆっくりと吐き出した。
ゆっくりと、安堵の息にも似た、空気の塊。
しかしそれも身体を打つ激痛で断ち切られる。さっき変に力を入れたせいだろうか。
筋肉が軋む。
意識が次第に堕落していく。
弛緩しきった身体は熱を奪われて徐々に冷めてきた。
なす術もなく意識が薄れていくのを感じ、少年はまた息を吐いた。
ジユウ、なんて、分からない。
少年の足首に、鈍く光る銀色があった。
鎖と繋がったそれは冷たく、ぬくもりさえない。
それはまるで犬につける首輪のようなもの。
少年はあの男にとってはその犬と同じ部類だった。
奴隷という単語が、意識が途切れる最後に脳裏を過ぎた。