第六話
棗と舞は何とか不良から逃れることが出来た。
でも棗は頭から流血するほど。
傷は深くないらしいけど舞は何か引っかかる。
舞は優と棗の家にお見舞いに行った。
「全くさー、昨日はマジ散々お母さんに怒られちゃって・・・もうだめぽ」
「あっははww舞ドンマイwwってか、その髪型ちょーかわゆくなぃ?」
「マジー?アートントン!!唯衣もムッチャ可愛いじゃーんw」
「えーwそう?舞の髪型どうやったの?」
「えっとね、最初にアイロンをーしてからコテでくるくるっとしてー」
「うん」
「ワックスでくるくるっと」
「よくわかんないよw」
今はお弁当時間。昨日は本当にいろいろあって
寝ることも遅くなってしまった。
なので今日は目の下のクマを隠すため、メイクに時間がかかり
学校へ遅刻するほどだった。
あたしは今でも昨日のことを考えると震える。
トラウマになったのだろうか。
あの工場の近くはもう歩けない。
とにかく皆に迷惑を掛けないように、いつもどうり派手キャラで振り舞う。
いつもは簡単・・・嫌、それが性格なので普通にできた。
でも今日は難しい。いつもの自分ってどんなのだか・・・
棗の怪我はたいした事無かったようだ。
傷は深くないらしく、病院でも以上が無いと言っていた。
でもなんだか突っかかっている。
深くないのに何であんなに血がでるんだ?
おかしい。
「まーいちゃん、ゆーいちゃんw」
「おぉw優くんではアーリマセンカ」
「YES、優ちゃんです」
『安田●サーカス』のクロチャンの口調で優が喋る。
「えー。似てないよ。優ちゃんです だよー」
唯衣もマネをして突っ込む。
フリまで入っている。
「唯衣のほうが似てる・・・」
「うわーん酷いよー」
「あはははw」
「で、舞。棗君、大丈夫だったの?」
「うん、なんとか・・・」
あたしは「棗、血の量が妙に多くて・・・」なんて言えなかった。
自分でそんな事を言うと本当になりそうで怖かった。
「そういえば棗君の前のお母さん、白血病で死んじゃったんだよね」
「うん。らしいね・・・;;お父さんは肥満らしいけど。」
「新しいお母さんなんて俺には耐えられないね。うん。」
「再婚だなんて・・・今の棗のお母さんも今の死んだお父さんも他人なんだもんね」
「んー・・・」
「なっつ今日もガッコきてなーい」
優が口を尖らせる。
「まぁ、タルイんだねw何時もの事だしw」
あたしは唯衣の発言に「そだね」と、微笑みを入れながら言った。
棗、大丈夫かな。
結局午後の授業は頭にさっぱり入らなかった。
もちろん、午前中も分からなかった。
先生に当てられないだけマシだった。
帰りに優と棗の家に行ってみようかな。
そう思って優に話しかけてみた。
「優ちゃーん」
「はぃはーい?優ちゃんですw」
「あ。またですか。」
「そうですw」
「あ、あのね、帰りに棗の家行かない?ちょっと心配で」
「モチ!行こうぜぇぇ!!」
2人で昇降口からでると、
優は「俺いっちばぁぁん!」と、走る。
棗の家はまだまだなのに何処が一体ゴールなのだろうか。
「優ー!戻ってこぉぉぉい!!」
と、叫ぶと
「ワンワン」
と 犬のように走ってきた。
可愛いなぁ。なんて思ってると国道に出る。
20分もすると棗の家の前に付いた。
コンビニか何処かで何か買ってくれば良かった
と、後悔をする。
チャイムを押す。
「なーつめー」
棗の家ではお母さんと棗で2人暮らし。
でも大抵お母さんは仕事場から帰ってこないので、
まる1日一人でいることが多いらしい。
「優?」
ドア越しから声が聞こえる。
「入ってもいーぃ?」
「うん」
ドアを開ける。
何故か分かんないけど好きな人の家入るときって
慣れててもドキドキする。
ドアを開けると広い廊下が目に入る。
棗は廊下に繋がる部屋のドアの所に寄りかかり、
こちらを向いている。
可愛い
自分の頭の中で馬鹿馬鹿と怒鳴っていると
「久々にきたわぁw優ちゃんですw」
と、またマネをする。
「差し入れは?」
「・・・」
「どない神経しとんねん」
はいはい。と棗が言う。
なんかまた望んでいた会話が出来たような気がする。
優が靴を脱ぎ終えると
容赦無し!!とでも言うように上がっていく。
「御前も入れば?」
「んぇ」
ボケっとしていたので行き成り話しかけられたため、
返事がアヤフヤになる。
「何もしないって」
「なっつ、なんかその発言怖いww」
「んじゃぁお邪魔しまーす」
「邪魔しないでね」
「ぇぇぇww」
言葉とは違ってずーっと無表情で居る棗。
笑わないかなぁ と思う。
「何か飲む?」
「チューハイプリーズ!!」
「嫌」
「あたし麦茶でいぃよー」
「無い」
「何があるのー?」
「チューハイ」
「・・・」
「何も飲めないじゃん!!」
あたしと優が見事にハモる。
顔を見合わせた後、2人でテンションUPしたのは
言うまでも無い。
階段を3階まで上る。
此処は一軒屋だが、めずらしく棗の家は
3階建て。
羨ましいくらいだ。
棗の部屋は18畳とかなり広い。
2人暮らしなので空き部屋が多いため、
棗の部屋はあと数室ある。
とりあえず一番広い18畳の部屋に着くと、
「広っっ!!」
と口走る。
何回か来た事有るけど、あまりにも都会の部屋だとは
思えない。
慣れる事が出来ないと言うか・・・。
「何しよー?」
「ってか何しに来たんだよ」
「お見舞いだよ」
「・・・」
「頭大丈夫?」
「馬鹿じゃないよ」
「そっちじゃなくて・・・」
「ヘーキ」
「昨日はゴメンね」
「別にあんたが来なくても怪我してたし」
「うー。何かあたしって・・・」
「あはははははははwww」
「此処笑う場面じゃないよ、優ちゃーん」
「まぁ御前が劣りになんなきゃもうちょいヤバかったかもね」
「やったぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お幸せにーw」
話が弾む。
男2人と女1人で誰も居ない家に行くということは
そうそう有り得ることじゃない。
しかも中学3年生だ。
青春だなぁぁー
と 感じる。
棗がTVのリモコンを取ると電源を入れる。
「・・・何もやってないし」
「ぁ。」
「何」
「どしたぁー?」
「むふふふふ」
「・・・」
「こ・・・怖いよ・・・」
優が立ち上がる。
棗は興味なさそうにTVのチャンネルを変える。
あたしは優を目で追いかける。
優が棗のベットに上がる。
「普通 人のベットに乗るかよ」
「せ・・・積極的・・・」
そうすると優がまた、むふふふふふと
怪しげな笑い方をしながら
ベットの下を覗く。
「何してんの?」
棗は何も言わないままTVのチャンネルをまだ変えている。
「エロ本ないの? エ ロ ホ ン !!」
「ねぇよ馬ー鹿」
「・・・」
男子って何を考えてるんだか。
でも棗はマジハッキリ言うと
サッパリ分からない。
でもエロには思ったとうり興味はなさそうだった。
「んじゃぁ俺のあげるーww」
「悪趣味・・・」
「優ちゃん店員に何か言われないの?」
「嘘だもぉん」
まるでハートを付けるかと言うくらい色っぽく言う。
そんな馬鹿話をしているともう5時だ。
5時だからと言って帰るわけでもないけど、
宿題を思い出す。
「なっちゃん宿題やって!!」
「・・・」
「俺のも!!」
「嫌」
「お願い!!」
何度も2人で土下座すると、
棗が手をパーにしてこちらに向ける。
何故だろう。そうすると本能的に2人でチョキにする。
「ちげぇよ。1人5000円」
「嘘ー!?」
「えー。」
「よし。あたし払う」
「うー。じゃぁ俺も!」
バッグから2人で宿題を出す。
棗が受け取ると、テーブルにノートを広げ、
キーホルダー付きのあたしのシャーペンを走らせる。
・・・早い。
非常に早い。
30分もすると
「はい」
と、ノートを閉じてあたしに渡す。
30分で全教科なんてとんでもない。
優も全く同じで約30分。
・・・神だ。
あたしは財布からお金を取ると、
はい。と棗に渡す。
優も同じ仕草をすると棗は
「毎度」
と言って受け取る。
よくドラマで八百屋さんが
「毎度」と言うのと違って
ドキっと来るような。
「じゃ、俺帰るーw」
「ぁ。あたしも」
「んぁ。バイバイ」
・・・バイバイ
か 可愛い。
そして上目遣い。
結局面倒臭がりやの棗は玄関まで送ってくれなかったけど、
傷も痛くなさそうだったので安心した。
あたしは家につくと、
棗にかしたシャーペンをまじまじと眺めた。
――――――――――
「・・・っ」
棗が頭を押さえつけた。
サブタイトル、変える事が出来ました!!
良かったです。
そして背景の色、文字の大きさ変えました。
文字は小さいほうがなんか雰囲気でるかなー。と。
背景もこの小説、切ないのでブラックに。
追記: 不 良 のキャラクターアンケートを
総合掲示板にて始めました。
投稿してくれると嬉しいです。
↓キャラクターアンケート
http://nw.ume-labo.com/pc/main.php?m=bbs&t=read&mno=3665&p=1




