第十一話
舞達は学校をサボり、人気の少ない場所へ。
そこへ掛けられた舞への電話。
相手は―
「写真印刷してきましたぁぁぁ!!欲しい人、手あげっっ!!」
「はい!!」
クラスの半分以上の人が手を上げた。
あたしは写真を渡し終えると、
何故かロッカーの上で寝ている棗に話しかける。
「なっちゃーん。遊ぼう」
すると棗が起きて、こちらを向く。
「嫌」
「む。じゃぁお弁当、コンビニで買ってこよ!!!」
「200円くれたらね」
「・・・分かりましたよ。」
「じゃぁ俺も行くー」
「あたしもーッッ」
唯衣と優も一緒に行く事にした。
「何食べよう??」
「あたしおでん!!」
「唯衣ちゃんおでんですか??」
そんな事を言いながら、目的地に向かう。
「いらっしゃいませー」
個人でバラバラのジャンルの元へ行く。
あたしは梅おにぎりを手に持つと、雑誌コーナーに向かう。
今日は大好きなファッション雑誌の発売日。
毎月出ているのだが、早めの発売日なのだ。
雑誌をおにぎりの持っている反対の手に持つと、レジへ向かう。
あたしと棗は大体一緒に会計を済ますと、唯衣と優の方へ行く。
「何買うのー??」
「何買おう・・・」
優も唯衣も迷っているようだ。
なのであたしがコレにしなよ。と、別々に言う。
「ガッコ、行くの面倒くさいね。」
「だねー・・・」
「サボっちゃう??」
「先公、怒らないかな??」
「見放されているもん、呆れて怒らないんじゃない??
起こってもシカトシカト」
「じゃ、サボロっか」
もう先生なんて恐れていないから、何をしても平気だった。
でも母親に心配かけることは嫌だった。
「何処行く??」
「うーん・・・取り合えず・・・そこいらウロチョロ??」
「賛成!!補導されないようにあんまり人が居ないところね」
「おっけー」
棗もとぼとぼと付いてくる。
「あ!!雑誌、今日発売だった!!」
唯衣が大声を上げる。
正直ビックリした。
人通りが少ないところでよかった。
「それならあたし買ってきたよ。コンビニで売ってたし」
「マジ??あたしもっかい行ってくる!!」
「あ。俺もお菓子買って来るー」
「じゃぁ一緒にいこう、優ちゃん」
唯衣と優がスキップをしながら戻る。
取り残されたあたしと棗は、どこに行こうか??という顔で見合わせる。
―チャラチャンチャラララララチャンチャチャンチャン♪
この頃着メロを変えたので、自分の携帯だと分からなかったが、
すぐ気づき、携帯に出る。
見覚えのない電話番号。
ちょっと緊張気味で電話に出る。
「はい・・・もしもし・・・」
棗は違う方向を見ているが、耳を傾けているようだ。
『もしもし、東京病院ですが・・・』
東京病院は、ここらの付近で使われている名前だ。
実際はもうちょっと長い名前だが、分からない。
そんな事より、何故東京病院から??
「はい。」
『北野舞さんですよね??』
「そうです。」
『さきほど、お母さんが交通事故で意識不明の状態なんです。今、緊急治療室で・・・』
内容は、さっきあたしの母親がダンプカーに轢かれ、意識不明の状態。
今すぐ来て欲しい。というものだった。
「はい、わかりました・・・今行きます・・・」
―ピッ
あたしは携帯を切ると、意識が遠のいた。
「舞・・・??」
「な・・・つめ・・・」
「・・・」
「お母さんが・・・お母さんがっ!!」
泣きやすい体質のあたしは、またすぐに涙が込み上げる。
「死んじゃうっ!!死んじゃうよっ!!」
棗が眉の間に皺を寄せた。
「東京病院だろ??」
「うぇっ・・・うん・・・」
あたしの親。
1人だけの親。
幼い頃に無くしたお父さん。
「行こう」
「・・・ッッ」
パニックになったあたしの腕を引っ張った。
そうだ。
今はお母さんの元へ駆けつけよう。
「っうっ・・・ひっく・・・」
「泣くな、泣くと足が遅くなる」
「うっ・・・分かったッッ」
あたしは涙をこらえる。
「お母さん、死んじゃうよ、棗・・・どうしよう!!」
「ざけんな、御前医者が死んだなんて言ったか??」
「意識不明だ・・・意識不明だよ!!」
「だろ、じゃぁ今生きてるっつー事だ。死んでも連絡いれねぇ病院があるかよ」
何時の間にか腕を握っていたはずの棗の手が
あたしの手を握っていた。
「そだね、意識不明だもんッッッ!!!」
「だから御前の母さんが目さめて不安になる前に御前がそばに居ろ。
だから全速力で走れ。」
「うんッッッ!!」
勢い良く病院のドアを開けた。
息が白かった。
救急治療室に向かう。
棗は救急治療室の前で待っていた。
あたしはお母さんの元へ駆けつけた。
名前はわからないけどドラマに良く出るミドリの字が書いてある機械――
記された数字は
『0』
それと共に
「ピー」という嫌な音が部屋に流れた