第十話
修学旅行、今年最初で有り、最後の1日。
舞達は遊園地から旅館へ。
「よし。風呂も行った、トイレにも行った、そして・・・」
「マグラ投げも終わった!!」
「あとは寝るだけだ!!」
「そうだそうだ!!」
何故かこの学校はおかしなことに男女共通部屋。
寝る場所は勝手に決められる。
もちろん棗は端っこに。
そのとなりに優。優のとなりに舞・・・
部屋は一つの大きな部屋。
クラスごとに1つの部屋。
「棗ちゃーん、寝たの??」
「うん」
「起きてるじゃん!!」
「・・・」
「なっつ、襲われないようにね」
棗がビグっと動いた。
あ。やっぱり恐れてたんだ。
しかし・・・眠い。
眠すぎる。
―――・・・
あたし寝てたのかな??
ってか確実に寝てたか・・・
トイレ行きたい・・・
何か騒がしい・・・
舞が目を開く。
「?!」
「しぃーっ!!」
優があたしの口を押さえた。
男子が女子を抑えている。
女子の目は赤く燃えているようだ。
あたしの目の前には・・・
棗が仰向けに寝ていること。
そしてその棗の上に体重をかけないよう、
足で体を浮かせ、幸せそうな棗の顔の唇に口をつけようとしている女子の様子。
棗!!起きて!!
すると棗がパチっと目を開ける。
一瞬暴れていた女子も、棗の上にのっていた女子も、
時間が止まったように固まる。
「あーぁ。あと2センチ。」
優が残念そうに言った瞬間棗の拳が女子の腹に当たる。
「棗っっっ!!」
女子が倒れると、棗がすぐ起き上がり、肩で大きく息をする。
「思ったとおり襲われましたね」
と、優が残念そうに言う。
「殺す気かよ」
壁に頭を当てて上を向く。
「あー・・・良かった。襲われそうになるだけで・・・」
心から安心した。
翌日。
バスで帰る。
あれ以来、棗は全く眠れなかったのであろう。
バスでぐっすり寝た。
「楽しかったねー」
そんな話があちこちからちらほらと聞こえていた。
あたしは帰ると、遊園地で取ったデジカメに入っている写真を、
パソコンに取り入れて印刷をした。
「楽しかったなぁ・・・」
思い出すと、棗の顔が出てくる。
あぁ。ちくしょう。やめれ。
そのとたん、印刷機から写真がでてきた。
写真も良く取れていた。
相変わらず笑顔は見せない棗だが、
うっすらとオーラーが微笑んでいたような気がした。
それでも嬉しいんだ。
顔は笑っていなくても、オーラーだけで精一杯だよ。
キャラ設定が何かの漫画と同じだったようです。
気分を悪くした方々、申し訳ありませんでした。