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 不 良   作者: まー
10/18

第九話

舞達の学校では季節外れの修学旅行。

ついた所は遊園地。

子供のようにはしゃぐ唯衣と舞だった。


「最初何に乗ろう??」


先生の長い長い話も終わり、自由行動。

棗はポケットに手を奥まで入れてついてきている。


「ゴーカートがいい!!」


「ゴーカートは左だよ」


「行こうw」




―ブォォォンブォォン


「うっしw俺が一番だもんねw」


「いや、あたしだ。」


「あたしだから。」


あたしも負けないで言う。

棗はカーに乗ってまだポケットに手を入れている。


「じゃぁ勝った人に負けた人全員で何かおごる!!」


かすかに棗がピクッと動いた気がする。

ムクっと起き上がると肩をグルグルとまわしている。


「棗・・・どした・・・」


「おごれよ。」



「ではまもなく出発します。」


パァーンパァーンパァーンポーン



ブォォォォォォォォォン



次々と棗に追い越される。

結局棗が1位。

凪冷にホッドドックを買ってあげた。

80円でも貴重なのに・・・



「次何処行く???」


「んー・・・」


「棗は何処行きたい??」


優の言葉にあたしと唯衣が反応する。

棗って結局何処行きたいのだろう。


今までずっとホットドックを食べていた棗が優を見る。

すると、ちょこっと遠くを除くようにして見る。


あたしたちもそれにつられ、そちらを見る。



「なっ・・・」


「お化け屋敷・・・」


「やだやだやだ!!あたし怖くて入れない!!」


唯衣が叫ぶ。


「大丈夫だってw棗チャンが居るでしょ??」


優、何を言う・・・

なんて突っ込みたいが突っ込めない。


棗がホットドックを食べ終えると、竹串をゴミ箱に捨てる。


「そっか・・・なっちゃんがいるもんね!!」


「・・・」


棗は、言わなきゃよかった。と、後悔しているように

目線をそらす。


「じゃぁ行こう!!」


「おぅ!!」



「何名様ですか??」


「4人ですw」


「ではこちら側からお入りください。」



棗がペンライトを持つ。

ペンライトの後ろの、輪になっている紐を人差し指にかけ、

クルクルとまわしている。

なんと余裕な・・・

ペンライトから放たれている光が壁をグルグルと照らす。



「きゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ」


唯衣が叫ぶ。


「唯衣!!」


「唯衣ちゃん!!」


「棗ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



唯衣が棗に飛び掛る。

そちらが目当てかよ・・・

それをスサッと避ける。

唯衣が転びそうになった。


「何やってんだっての」


棗が唯衣の袖を掴んでいる。


危機一髪。


女子中学生がこんな所で転んだら笑いものだ。

ナイス、棗。


「ビックリしたぁぁ・・・」


「唯衣、危なかったね」


「大丈夫??」


「・・・」


スタスタと棗が進む。


「待てぇぇぇぇぇっ!!」


「うぁぁぁぁ、暗いっっ」



悲鳴を上げながらも棗のところまで走る。


「もう終わりかよ」


「幽霊なんて出た??」


「只暗かっただけだと思うよ」



棗が何か思いついたような顔をする。


「棗っ!!」


「何処行くのよ!!」


棗がUターンをして、戻る。

50秒もしないうちに戻ってきた。




「俺等幽霊に何かされたんだな」


「え??」


優も唯衣も、そしてあたしも口をポカーンとあける。


「どゆこと??」


「見てみ。俺等あんな道歩ってなかったっしょ」



本当は戻っちゃ駄目だが、戻ってみる。



「あれ??こんな人形あった??」


「下が目玉でゴロゴロしてる絨毯も無かったよね」


変だ。

たしかにこんな障害物無かった。

と、すると・・・


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


出口へ走る。


「ありがとうございました」




「・・・今のって」


「俺等秘密の通路あるって着たんでしょ・・・」


「違う。調べたけどあの道意外、管理用のドアがあるだけで

 ほかの道なんて一本もない。」


「って・・・事は??」


「変な現象見せられていたか、乗り移られて記憶が飛んだか。

 それともテレポート」


「・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」



お化け屋敷から離れる。


恐怖感を払いきれずにいろんな乗り物に乗る。

そして時間はあとわずか。



「観覧車乗りたーい」


「あたしもーw」


「優は??」


「あ・・・嫌、俺は高所恐怖症だから・・・」


「じゃぁ3人で乗ろっかw」


「・・・」



唯衣が棗の腕をつかんでギリギリと連れて行く。

ゴンドラに乗ると、棗は棗、あたしたちは2人で同じ座席に腰をかける。

ちょうど女子と男子が向き合う形だ。


棗は序所に上がっていくゴンドラの景色を見ている。

眠くなったのか、角に寄りかかって俯きながら目を閉じる。



「あっ・・・あのさ!!」


唯衣が静かな空間を切る。

声が震えていた。


「ん??」


あたしは唯衣にどうした?と聞くように返事をする。

棗はゆっくりと目を開け、唯衣を見つめる。


「あたしねっ・・・」


黙って聞いていた。


「あたし・・・」



唯衣の目から一筋、涙が流れ落ちる。



「・・・棗の事、、、」



真っ黒で鮮やかな大きな瞳を唯衣に向けている棗。



「棗の事、好きだよ」



「あのねっっっ!!」


あたしもすかさず棗に話しかける。

自分の気持ちを伝えよう。




「あのねっっ」







優しく接してくれた棗。










惚れない意外何がある。












棗のせいなんだよ。












責任とってよね















気づかないうちに、涙が頬をつたっている。


棗のことなんて見れない。


ただただ、俯く事しか出来なかった。


でもこれじゃぁ駄目だ。



あたしは思いっきり笑顔を作って顔を上げる。



「好きだよ、棗」




棗は表情一つ変えないで、あたしの目をしっかりと見つめている。




そこで丁度、ゴンドラが天辺に着く。





我慢できない・・・




あたしは小さなゴンドラの中で立ち上がると、

棗にしがみ付いた。

それに続いて唯衣もしがみ付く。


棗ゆっくりしたを俯く。






ゴンドラの中に啜り声と





棗の名前を繰り返して呼ぶ声が響き渡る。








大好きな人の名前を永遠に呼び続けていたい。








笑顔で―――















「うっ・・・??」



「あ。舞ちゃーん?大丈夫??」


「え?何??此処・・・」



見渡すと先生たちがテーブルに向かって座っている。



「舞ちゃん、気分は??」


「あ・・・大丈夫です・・・此処は??」


「今日泊まる予定だった旅館よ。

 あなたね、遊園地のゴンドラで寝ちゃったのよ。

 それで、棗君が抱いてあなたを私たちの所まで連れて着てくれたの。」


「え・・・」


「起こせば良かったのにって言ったら疲れてるっぽいのでって。

 幸せそうな寝顔だったわよ」















「棗っ・・・ひっく」


「・・・」


「あっもうちょっとで到着だっ・・・」


「だな」


唯衣と棗の声が響く。


「舞・・・??」


「舞ーっ??」


寝息を立てて舞が寝ている。


「寝てんじゃん・・・」


「舞っ!!舞っ!!!」


「あ。起こさんで良い。連れてくから。」


「連れてくって・・・」



ひょいっと棗が舞を抱き上げる。

丁度、流行でスカートの中にハーパンをはくのが流行っていたので、

良かった。

ドアが開くと、観覧車の担当員の人が棗に声をかける。


大丈夫ッス と、返事をすると軽々と舞を教師の居る所へと運ぶ。


唯衣はちょっと不機嫌だった。



教師の元まで運ぶと、棗は舞を下ろし、説明をする。

唯衣も説明をすると、その部屋から出て行った。


棗はまだ教師に褒められていた。

その部屋は暖かかったため、疲れた棗は瞼を閉じていた。
















「そうだったんですか・・・」


「えぇ。棗君、あまり良い噂聞かないからね。実は教師も引いていたんだけど・・・

 良い人ね。棗君が起きたら謝るつもりだわ。」


「はい。」


棗は離れた場所で眠っていた。


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