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怪奇譚集「擬」  作者: にとろ


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キャラクター不信

 ツチダさんはソシャゲをプレイしていたそうだ。過去形なのは今ではプレイしていないからだ。それにまつわる話があるそうなので聞かせてもらった。


「そのゲームなんですが、シンプルにお金を掛けた方が強いっていう身も蓋もないゲームだったんですよ」


 そんな言葉から話が始まった。


 ゲーム性なんてものはないシンプルなものでしたよ。ガチャを回して出てきた強キャラを重ねて強くする、よく規制されないなと思うシステムでした。しかも最高レアは有償ガチャでしか出てこない徹底ぶりですしね。酷いものではあったんですが、なにしろ独身で、自分で言うのもなんですがそれなりの役職ですからガチャくらい気軽に回せたんですよ。


 そうなるとあっという間にランキング上位に上るような強キャラになったんです。ランキングの順位を維持するのにそれほど苦労はしなかったんです。なにしろガチャを回してそのときの最高レアを引くだけですからね。育成アイテムも課金で手に入れていました。


 そのゲームにはギルドシステムもあって、フレンドからのメッセージで私にギルドマスターになって欲しいと連絡があったんです。ギルドにも維持費がかかるので、相手の下心のようなものも感じたのですが、幸い金だけはあったのでギルドの維持には困らなかったんですよ。だから快くそれを引き受けギルドの設立費用を払ってギルドを作ったんです。


 上位ランカーが作ったギルドとあってすぐに人は集まってきたんです。そのゲームはギルメンの枠を課金で増やせるのでギルドランクもあっという間に上位になりました。次のイベントの報告を聞きながら、イベントの度にガチャを回すだけの退屈なゲームでしたが、ギルマスをやっているだけで大勢の人が賞賛してくれるんですよ。正直嬉しかったですね。


 そうして承認欲求が満たされてしまったのでギルドは維持しながらギルメンの相談に乗っていたんです。ただ、そのゲームは課金が全てだったのでプレイスタイルでどうこうできるものでもないんですよ。だからといって、はっきり『ガチャを出るまで回せ』とは言えないので出来るかぎり省コストで最大の結果が出る編成などを教えたんです。


 そうしてギルドが大きくなった頃でした、ある日会社から帰ると郵便受けに茶封筒が入っていたんです。宛名は自分でしたが、差出人が……その……ギルドのメンバーの名前だったんです。


 部屋に入って開けると内容はギルマスの座を明け渡せというものでした。怖い……と呼んでいいのかは分かりません。ただ、世話になった人間相手にこんな手紙を平気で送れる人がいるというのが無性に怖くなったんです。どうやって自宅を突き止めたのかは、たぶん雑談の中から探ったのでしょう。何が怖いってお金を稼ぐ努力をした方が良いんじゃないかって思うんですよ。わざわざ法律的にも規約的にも危険なことをしてまでそんなことをする人がいるというのが怖いんです。


 ギルドですか? 早々に解散しましたよ。それから課金も辞めてゲームも消しました。今ではそのゲーム内で忘れられたギルドになっていますが、関わりたくないのでいいことだと思います。


 人というのは合理性がなくても手っ取り早く結果を求めるものなんでしょうかね?


 私は『そういう人もおられますよ。そういった人は大抵いい結末を迎えませんがね』とだけ答えておいた。なお、そのゲームはもうすでにサービス終了したのでこの話を引っ張り出してきた次第だ。

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