表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪奇譚集「擬」  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/65

疲労がとれない

「未だに納得いかないんすよね」


 イイダさんはそう自分の勤めている企業への愚痴から話を始めた。


 社員寮の話なんすけどね、結構設備も家賃もよかったんですよ。しっかりとした広さのキッチンと風呂トイレ別でどちらも苦痛に感じないくらいのスペースはあったんです。独身寮でしたが、何なら夫婦で住んでも問題無いんじゃないかってくらい快適でした。ただ一点を除けばですが。


 なんていうか、疲れが取れないんすよね。会社は完全週休二日なので毎週末二日も休みがあるのに、二日間のほとんどを寝転んでいても月曜日がつらいんです。それが徐々に蓄積していってミスに繋がるんですが、俺がミスしても社員は文句を言わないんですよ。ただ、やんわり指導をするだけで俺から早々に離れていくんですよ。


 そりゃ体力のいる仕事っちゃそうですけど、どう考えても二日間休んでまだきついような仕事じゃ無いんですよ。寝ている時に金縛りとかも無いですし、寝ると次の日までぐっすりなのに疲れはさっぱり取れないんですよ。結局、納得はいかずその金曜日も『また二日寝るのか……』ってうんざりしながら帰ってきたんですよ。


 いつものことなんですが、その日も布団を敷こうと思ったんですよ。そう思ったんですが疲れていたので後回しにして畳の上に寝転びながらスマホを弄っていたんすよ。ログボだけもらってスマホを置くと意識が落ちたんすよ。


 で、気が付いた時には土曜の朝だったんですが、驚きましたね、ビックリするほど疲れないんです。ぐっすり寝たせいかと思ったんですが普段はどうってこと無いんですよ。なので何か考えたところ、布団を使ってないなって思ったんです。


 それで、土曜の晩は布団を使って寝たら翌日は信じられないほど疲れているんです。この布団が原因だなと当たりをつけて、日曜は畳の上に近所のホームセンターで買ってきた枕を置いてそのまま寝たんですよ。


 ええ、月曜はスッキリさわやかに起きましたよ。寝覚めがいいってああいうことを指すんすかね。


 それでそれからしばらく布団は押し入れに入れっぱなしで寝たんすよ。幸い光熱費は会社持ちだったのでエアコンを駆使して布団が必要無い温度にしておいたんです。


 それでしばらくの間は快適な生活が出来ましたし、ミスもすっかり減ったんですよ。こりゃあいいやって思って仕事をしていたら、ある日突然呼び出しを受けて、社員寮からの退去を言い渡されたんです。理由は光熱費が俺の部屋だけ高騰してるってことでした。


 確かにエアコンは使ってましたけど……反論せずに退去しました。なんか嫌ですしね。


 それで近場のアパートを借りて快適に暮らしているんですけど、あの部屋と布団には絶対に何かあると思うんすよ。なにしろ俺の後にあの部屋に入ったやつがドンドンやつれて言っているって話ッすから。あの部屋か布団か、たぶん何かあったんじゃ無いっすかねえ。


 もっとも、どうしてそんな生贄みたいな人員が必要なのかはさっぱりわかんねーっすけどね。


 彼は今、快適に仕事をしているらしい。何故か寮を出てからミスをすると普通に厳しい指導されるようになった。それでもあの部屋にいた頃よりはずっとマシなのだそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ