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怪奇譚集「擬」  作者: にとろ


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4/65

直接

 タツさんは最近になってそれなりにバズった配信者だ。兼業ではあるが意外と生活の足しになるくらいは稼げている。ただ、怖い目に遭うことはあるようだ。


「メインはゲーム実況なんですが……最近気が滅入ることがありまして……」


 彼は動画サイトで実況を配信していたのだが、結構な金額の投げ銭が投げられていた。そのおかげで生活できているのできちんと読み上げて感謝を述べていた。ただ、時には面倒なことに巻き込まれることもあり、時折アンチの類いが現れることもあったそうだ。


 ただ、アンチよりも怖いものが時にはあるそうだ。


 その日、朝起きて郵便受けを確認した。いい加減メールで送れば良いじゃないかという内容の郵便が多いが、時には重要なものもあるので一応毎朝確認していた。


 ただ、部屋にまとめて封筒を持って帰ると机の上に広げた。その中に一つ、目を引くものがある。一般的な所謂茶封筒というものだ。最近はどんな企業でもそれなりに見栄えのいいものに書類を入れて送ってくることが多い。その封筒には差出人はなく、タツさんの名前が書いてあるだけだった。住所と名前が書かれていれば大抵届くが、こういったものは多少身構えてしまう。


 そっと封筒の封を開けると中から出てきたのは一万円札だった。いや、これはおかしい、現金を送るには現金書留が必須で、受け取るにも郵便受けに投函されるようなものではないはずだ。


 そこで再び茶封筒をよく見ると、消印も切手も何も無い。ただ自分の住所と名前が書かれているのみで、そこからおそらく何らかの理由で封筒を直接ポストに入れられたのだろう。取り出すときには鍵が必要だが、投函するだけなら特に警備も何も無いので可能だった。しかし何のために? そういう疑問は尽きなかった。


 不気味だったので、一式全部ビニールパックに入れて箪笥の奥に置いておくことにする。使うこともで来たが、なんとなく法律的に大丈夫なのかという気もしたからだ。


 その日もいつも通り配信をしようとした、投げ銭がある以上半ば義務のように配信をしている。不気味なことがあった程度で休んでいてはリスナーをないがしろにしているようなものだ。


 その日の配信は有名RPGだったのだが、そこそこの接続があった。これはラッキーだなと思いつつ、いつも通りのプレイをしていた。トラップのあるところに迷わず入ったり、無理をして勝てない相手と戦う所謂『ガバ』も含めて好評だ。プレイしながら時折投げ銭のコメントを読み上げる。そこまではいつも通りだったが、一つの新規さんの発言で流れが変わる。


『やっぱ投げ銭は直接が良いな』


 その一言でリスナーもいくらか混乱していた。これは……今朝のヤツか? そう直感したので即座にコメントを消しアカウントをブロックした。


 ただ、それでもそのコメントをしたのが朝の封筒を入れたヤツと同じなら住所が知られていることになる。


 怖くなったので玄関ドアのセキュリティを強化するために鍵をより強固なものに交換し、二つの鍵が無いと自宅の戸が開かないようにしておいた。


「今でも新規の人が来ると怖いんですよ。本当はとてもありがたいことのはずなんですけど……あのアカウントをもっていた人が作り直したものかと思うと不安が消えてくれないんですよ」


 ただ、彼はそんな話をしたものの、今でも配信は辞めていないらしい。『承認欲求が満たされてお金が入るなら辞められないですよ』彼は今日も怖さを抱えながら登録者数を増やしていっているそうだ。

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