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怪奇譚集「擬」  作者: にとろ


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資材置き場

 モモさんの家の近所には工事用であろう資材が置かれていた空き地があった。そこでは一向に工事がされないので奇妙に思っていたそうだ。


「好奇心って言うのはなんとも難儀なものですよねぇ……」


 彼女はうんざりしたようにそう言う。なんでも、昔そこのことを調べて苦労したそうだ。


 その工事現場なんですけど、工事用の資材が置かれているんですが一向に工事はされないんですよ。私が幼稚園の時からそこには材料と足場にでもするのか金属のパイプや板がありましたけど、それも全く組み立てられる様子は無かったです。


 何ならそこに人が入ろうとする様子も見たことがないんですよ。何でかなとは思いつつ、その頃は土地が暴落した時期だったので空き地も珍しくなかったんですよ。


 それでそこは売れない土地なのかなと思いながら生活していたんですが、中学生になって初めての夏休みの宿題に地元のことを調べて発表するってものがあったんです。ちょうどいいのでその空き地のことを調べようとしたんです。


 とりあえず「おばあちゃんにきけばいいや」って思って話を聞こうとしたんですけど、上手く話をはぐらかされるんですよ。挙げ句の果てには認知症の振りを始めるんですよ、私に『誰だったかねえ』なんて言っておいて家族仲良く夕食をとるんですからよほど話したくないんだなって思いました。


 それでめげずに図書館に行ったんですよ。そこで郷土史を調べてみると禁足地の言い伝えとかそういったものは全く無いんです。だからただの空き地なんじゃないかと思ったんですが、ふと思ったんです。言い伝えが残ってないのにおばあちゃんが口を噤むのは戦中か戦後に何かあったんじゃないかって思いました。


 おばあちゃんの当時の年齢ならその辺で何かがあったんじゃないかと思い、近代史を調べてみたんです。そうしたらあそこは元々空き地だったようなんですが、戦地へ行って帰ってこなかった人たちの遺族が集まって、思い出深い遺品を持ち寄ってお焚き上げをしたそうなんです。


 それが原因かと思いその後は新聞を調べていくと、そこでは何度か建物を建てようとしたらしいですが、工事をするときに何度も事故で中止になったそうなんですよ。結局、資材置き場として使っているそうですが、あそこに置かれた資材ということで残っているようです。


 ま、そのおかげで間違って子供が入ったりしないので安心なのかなとも思いましたけどね。


 ああ、それで結局夏休みの課題なんですが、おばあちゃんに昔話を聞きにいったんです。そうしたら大戦よりずっと前の話を『これは私のおばあちゃんから聞いたんだよ』といいながらあっさり話してくれるんです。内容自体は良くある民話だったんですが、最後に『なあ、もう調べるんじゃないよ』と言われました。どうも私があそこを探っていたのはバレていたようです。


 課題は可も無く不可も無く終わりました。あそこは今も空き地になっているようですが、置いてある資材も朽ちてきてなんとかしないとって話し合っているようです。もう実家を出た私には関係ありませんがね。


 彼女の地元では相変わらずその空き地に誰も入れないようにしているらしい。彼女は最後に『有刺鉄線までは要らない気がするんですがねえ』と言っていたので、どうやら本気で禁足地に近い扱いをされているようだ。

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