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第72章:紅魔館から見えるもの

その日、幻想郷は静けさの中にありながらも、どこか新しい息吹を感じていた。

彼らの会話と想いは、風に乗り、木々のざわめきとなり、遠くの山々にまで届いていた。


そして、守屋神社や博麗神社、紅魔館の屋敷には、これまでとは違う、深い繋がりの種が静かに芽吹き始めていた。


マクファーソン准将たち軍人も、幻想郷の住人たちも、これから先の試練を互いに理解し合いながら歩んでいく覚悟を胸に抱いていた。


日常の中のささやかな絆が、やがて大きな力となることを信じて。


こうして新たな一章が始まったのだった


紅魔館では霊夢たちが穏やかな談笑をしている


「幻想郷は確実に変革の時を迎えているわ」

「ええ、あなたの言う通りよ」とレミリアも静かに頷く。


しかし館の外では、ナイジェル中佐とスターリング少佐が厳重な警備に当たっていた。

彼らの目は鋭く、周囲に目を光らせている。


遠くの会議場では、外交官たちが集い、国際会議が開かれていた。

イギリス代表とスペイン大使もそこに姿を見せ、あの事件に立ち向かった英雄として、外交を通じた平和の実現を模索しながら、今日も真剣に任務に励んでいる。


幻想郷の未来を守るため、それぞれの立場で歩みを止めることはないのだった。


ナイジェル中佐は周囲を見渡しながら静かに言った。

「異常はないな」


スターリング少佐もそれに応じて、落ち着いた声で答える。

「ああ」


二人の間には、息の合った連携と揺るぎない信頼関係があった。

背中を預け合い、互いの存在を確かめるその様子は、長い時間を共に戦ってきた絆の強さを物語っている。


その様子を見守る咲夜もまた、忙しい合間を縫って彼らを労った。

紅琳は自室に戻り、いつもの仕事に取り掛かっている。


彼ら全員がよく理解していることがあった。

日常のように過ぎるこの時間が、実戦でなく訓練や通常業務で終わることの何よりの尊さであることを。


レミリアは優雅に微笑みながら言った。

「私はね、思うの。マクファーソン准将の部下は皆、優秀で優しくて強い人たちだって。ナイジェル中佐とスターリング少佐はその点で言えばピカイチね。咲夜も評価していたし、稀に見る有能な兵士よ。」


霊夢は頷きながら答える。

「そうね。紅魔館襲撃事件もこの二人が頑張ってたわ。頼もしくて、心強いわ。」


魔理沙も同意しながら、軽く拳を握った。

「確かにな。」


レミリアは続ける。

「そうそう、マクファーソン准将の言葉、あなた達はどう思う?」


霊夢は少し考えてから口を開く。

「ええっと、そうね。あの言葉にはどこか、吉田幕僚長や南雲司令官、東部方面隊総監、アメリカ海兵隊の大佐の言葉に通じる思いがあった気がするの。かっこいいわよね。」


魔理沙は満足そうに笑いながら言った。

「そうだな。まったく幻想郷はとんでもない漢達を招いたよな。惚れちまいそうだぜ。」




レミリアは柔らかな微笑みを浮かべて言った。

「もちろん、少佐たちだけじゃないわ。スペイン大使とイギリス代表の覚悟にも心を惹かれたの。ああいう人たちの下で働く者は誇りを持ってほしいと、私はそう話をしているのよ。」


霊夢は静かに頷きながら答えた。

「朝田さんもすぐに駆けつけてくれたわ。山森三佐もカッコよかった。」


魔理沙は腕を組みつつ、誇らしげに言う。

「だな。私は護衛艦『きりさめ』も活躍してくれたと思うぜ。何せあの時の支援がなければ、私たちは降りることすらできなかったんだぜ?鬼頭艦長と伊吹副長の指揮のおかげだな。みんな頼もしい。」


霊夢は呆れたように苦笑いしながら言った。

「魔理沙が言うと、自分で自分を褒めてる気分なのよね。」


魔理沙は焦ったように顔を赤らめて答える。

「そ、そんなことないぜ?」


それぞれの思いを口にしながら彼女たちは話を続けた。



そうして夕方となり、それぞれの職務を終えた自衛官たちと兵士たち。護衛艦【きりさめ】の艦内には、艦内放送が響いた。

「諸君!今日も一日、ご苦労様!明日も頼む!」と力強く告げられ、ラッパの音が静かに鳴り響く。


艦尾の国旗はゆっくりと下ろされ、敬礼をする自衛官たちの姿があった。


霊夢は穏やかな声で呟いた。

「今日も終わりね。」


魔理沙もまた、護衛艦きりさめを見つめながらぽつりと言った。

「あのふねはなんだか特別な気がするな。」


それぞれが護衛艦きりさめに対する思いを胸に、静かな夜へと移りゆくのであった。

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