第61章:オムスクからの脱出
「脱出作戦コード:オムスク」
ヴェルニエフ大将は、閃光弾が炸裂した直後も微動だにせず、
むしろその静けさが場を支配していた。
ヴェルニエフ大将「……なるほど。彼等が“入り込んだ蛇”か」
背後のヴィンペル部隊が再編成される中、
彼はザカリン少佐とペトロフ少佐に命じる。
ヴェルニエフ「ザカリン少佐、ペトロフ少佐。奴らを逃がすな。この施設から一歩たりとも出すな」
2人は即座に行動を開始。
構内警報はレベル5に引き上げられ、全エリア封鎖。
【構内】オムスク研究所・メンテナンス通路D-4
ロスコフ少佐が構造図を片手に指示を出す。
ロスコフ「このままでは正面からは脱出できない。通気ダクト経由で地下格納庫に向かう」
ベル少尉「追跡班が分散してる。いける!」
アドラー「目的は変わらん。ザリヤ1号機を破壊し、その記録も残さず消す。このまま逃げても無意味だ」
ベル「了解。強行突破を伴う……本気だな、アドラー」
【構内】司令管制室
ペトロフ少佐が施設の監視カメラと自動迎撃システムを起動する。
ペトロフ「奴ら、ダクトルートだ。T-12出口に出る気だな。迎撃班を送る!」
ザカリン少佐「いや、アドラーは囮を使う。本命は動力炉フロアの北側ルートだ。私が自ら向かう」
【構内】ザリヤ格納区画前
ロスコフたちは爆薬を設置し始めていた。
周囲には冷却装置やブロック式構造の補助装備が並び、中央に**巨大なカプセル状の兵器“ザリヤ1号機”**が佇む。
ロスコフ「起爆タイマー、セット……アドラー、急げ。30秒以内に離脱しないと吹き飛ぶぞ」
アドラー「分かってる。ベル、カバーを」
だが――
ザカリン少佐「止まれ!」
上方の通路から声が響き、ザカリン少佐がピストルを構え現れる。
ザカリン「ロスコフ……裏切りか。貴様のような者に祖国を語る資格はない!」
ロスコフ「俺は今、未来を語ってるんだ。この“怪物”を止める未来をな」
銃撃戦が始まる。タイマーは残り12秒――
ベル「撤収準備完了!アドラー、今しかない!」
アドラー「GO!」
【外部】研究所南側・緊急通気ダクト出口
爆発音が轟くと同時に、3人は炎を背に雪原へ飛び出す。
吹き上がる黒煙。オムスク研究所は内部から燃え上がっていた。
【オムスク計画:破壊成功】
ヴェルニエフ大将は、格納庫を映す監視カメラ映像を黙って見つめていた。
ヴェルニエフ大将「……ザリヤ1号機、破壊されたか。だが――計画はまだ終わっていない」
目を細め、彼は静かに呟いた。
「次は“ザリヤ3号機”の修復だ」