ザリヤの真実
イエメンフーシ派への空爆作戦開始され
拠点はF-35により破壊された、その拠点の残骸から
物理転送装置らしき残骸を発見、イスラエル軍がその残骸を回収し研究対象とする
【イスラエル・ネゲヴ砂漠 地下研究施設/国防科学研究所】
重厚な防爆扉が軋む音を立てて開かれた。
そこには、鉄製の棺のようなケースに収められたZARYA 2号機の残骸があった。
「これが……ザリヤですか」
イスラエルの研究者たちが緊張の面持ちで周囲を囲む。
背後では、モサドの特務員が警戒態勢を維持していた。
この装置は既に粒子放出痕跡と量子相転移記録が確認されており、安易に近づける代物ではない。
国防科学研究所主任研究官のダン・ハレヴィ博士が語る。
「GPS衛星との連携コードが確認されました。
加えて、1984年にソビエトが打ち上げた“軍事衛星ヴェーラ3号”の回線が未だにアクティブです……。
これは偶然ではありません。“ザリヤ”は、まだどこかと繋がっている」
【イスラエル・エルサレム首相府】
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、世界各国に向けて共同声明を発表する。
「ザリヤは単なる兵器ではない。
これは国家の境界を無視する移動型戦略プラットフォームであり、もし都市部で起動されれば――それは“核のない核攻撃”と同義である」
「我々は日本、そして幻想郷の臨時政府と協力し、ZARYA技術の再利用を阻止するべきであると認識している」
【幻想郷・紅魔館 地下作戦室】
マクファーソン准将、アレン少佐、朝田三佐、そしてレミリアら主要幹部が集められた。
タスマン大尉がホログラフで転送軌道データを示す。
「ザリヤが“リンク”していた衛星は、ヴェーラ3号、コスモス984、そして……コードネーム“オブラスコイ-9”。
これはロシア軍が近年再起動した軍事衛星ネットワークの一部です」
朝田三佐が息を呑んだ。
「つまり、ザリヤは――まだ現役の軍事衛星網と通信しているということか……」
アレン少佐:「ああ。しかも、1号機と3号機はロシア領内に存在している。次に奴らが何を狙うかは明白だ」
【作戦名:ナイトホーク・レヴナント】
マクファーソン准将:「我々は“カウンター・テロリスト”を次段階に移行する。
新たな目標はザリヤ1号機と3号機の奪取または破壊。
そのために、日本・アメリカ・イスラエル・ドイツ・幻想郷の連携はより深くなる」
早苗:「霊夢さんの身にも何かが起きていました。ザリヤの空間を通った影響で、“異常な気の乱れ”が残っている。何か、転送以外の作用があるかもしれません」
【霊夢の独白】
――“転送の瞬間”、霊夢は見た。
炎に包まれた都市。瓦礫に埋もれた街。そして、
空に浮かぶ白い爆撃機【Tu-95】――その中心に浮かぶ影。
「それは、未来か。それとも……記憶なのか」
【イスラエル・日本・幻想郷による三国会談(非公開)】
会談には以下の面々が集まった。
イスラエル代表:モサド局長アミール・バラカット
日本代表:防衛省統合幕僚監部 特殊戦担当官・白井将補
幻想郷代表:八雲紫
紫が静かに語る。
「ザリヤとは、転送装置にすぎません。その先に何があるのか……それを知らずに手を出すのは、火に油を注ぐようなものですわ」
バラカット:「しかし、もう奴らは手にしてしまった。ザリヤ3号機の起動は時間の問題だ」
白井将補:「日本としても、幻想郷の安定化を最優先課題とします。“扉”を開けたのがテロリストならば、閉じるのは我々だ」