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紅魔館襲撃作戦の失敗・そして終わりなき命令と背景


紅魔館 外庭・戦闘終結


 銃声が止んだ。瓦礫の山、焦げた空気、紅魔館の庭に染み込んだ血と硝煙の匂い。まだ魔力の残滓が空中に漂う中で、朝田三佐の怒声が響いた。


 「もう勝負はついた!ただちに投降せよ!」


 一瞬、静寂が流れる。


 北朝鮮部隊の兵士たちは武器を放り、手を上げた。その姿に安心しかけた自衛官と兵士たち。しかし――その刹那、沈黙を破るように一人の男が叫んだ。


 「우리는 포로가 아니다!(我々は捕虜ではない!)」


 乾いた音が走る。


 弾切れの拳銃が、空しく朝田たちの方へと向けられた。


アレン少佐 「やむを得ん……撃て!」


 M4カービンを数発の銃声。


 銃を構えた兵士が倒れ、続くように他の隊員たちも手榴弾で自爆、またはCz-75拳銃で自決した。


 血が、夜の庭に広がる。


 レミリア「なんで……なんでこいつら……」


 魔理沙がつぶやく。


 「そうまでして……捕虜になりたくないのか?」


 その問いに答えたのは、パク大尉だった。


 「こいつ等は捕虜にはならんよ。しかも北の特殊部隊だ

むしろ、なる方が珍しい。……たとえ投降しても、祖国からは“裏切り者”として扱われる。家族もろともな…北朝鮮とはそういう国だ」


 苦い口調だった。パクの目にはかつての同僚の姿が重なっていたのかもしれない。


紅魔館 地下牢・応急収容室


 ただ一人、生き残った若い北朝鮮兵士が、縛られ横たわっていた。彼は拳銃の引き金を引いたが、不発だった。


 その直後、自分の手で首を絞めようとした――


 「やめなさいっ!」


 叫びと共に、博麗霊夢の拳が彼の頬を打った。


 若い兵士は気を失ったまま崩れ落ちた。


 「何よ!あなたは死ねば終わると思ってるの!?……何も、伝わらなくなるじゃない!それにまだ若いじゃない!」


 霊夢の怒りと涙が入り混じる声に、周囲の空気が重くなる。


 魔理沙は言葉を探せず、ただ拳を握りしめていた。


司令室(臨時)


 「尋問の準備を整えろ。マクファーソン准将の到着を待ち、全てを報告する!」


 ナイジェル少佐の命令が、冷静に響いた。


 「この襲撃は単なる破壊工作ではない。明らかに情報収集、占拠、そして次の侵攻に向けた前哨だ。……これで終わりではない」


ロシア国防総省


 暗い地下室に、幹部たちが集う。


 情報将校が無線を確認し、報告を開始する。


 「ジュアン大尉以下、全滅。だが、作戦地域と対象の構成はおおむね把握した。……『紅魔館』は高エネルギー集積構造、並びに地上部隊との連携要地と判明」


 座っていた軍服の男が低く唸る。


 「ならば、次は直接動かん。……“同志”に任せる」


 横にいたロシア語を話す男が口を開いた。


 「テログループにある情報を流しておこう。特に中東帰りの奴らにな。……幻想郷は、まだ戦場の匂いが足りないらしい」


 その瞬間、世界の闇がまた一歩、幻想郷へと迫る音がした。


紅魔館 最上階 バルコニー


 夜風に吹かれながら、レミリア・スカーレットが空を見上げていた。


 「私の家を、私たちの場所を、傷つける者……許さないわ!」


 その瞳には、気高さと怒り、そして未来への警戒が宿っていた。



【情報整理:北朝鮮部隊の誤認と作戦背景】


紅魔館襲撃の目的

 北朝鮮本部は、紅魔館が「幻想郷駐留連合軍総司令部(GHQ)」として機能していると誤認。

 これは、館の敷地内や周辺に多数の軍用車両・通信アンテナ・装甲車・兵士の出入りが確認されたためであり、航空・衛星偵察で得た断片的な情報に基づいている。

北朝鮮が目指した目的地は本来別だった

 当初の目標は、幻想郷の**実際のNATO・自衛隊の前線基地や展開拠点(例:妖怪の山麓にある南部の臨時管制所や【きりさめ】の洋上拠点)**であったが、情報の不足と通信遮断の影響から、より目立つ「紅魔館」を拠点と誤認した。

紅魔館に期待された“戦果”

 北朝鮮本部は、紅魔館の地下に通信施設・サーバー機材・兵器情報の資料保管があると考えており、弾道ミサイル対処システムや、幻想郷駐留連合軍の兵力・配置・拠点の所在などを得る可能性があると判断していた。


:ブラックサイト=ワシントンD.C.】


捕虜となったテハン少尉は、幻想郷内での一時拘束の後、アメリカ本国の特殊拘禁施設(通称:ブラックサイト)へ移送された。

この施設は、ワシントンD.C.近郊の地下軍事施設に存在する統合作戦本部:管轄の共同対テロ情報センターの一部。

紫やマクファーソン准将たちは一時的に移送された形で、捕虜尋問は幻想郷外で行われている。


紫は監視装置越しに**「地上の秩序がどのような歪みを孕むか」を確認するため**、静かに事態を見守っている。




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