第51章:紅魔館襲撃
幻想郷・博麗神社。
静寂を切り裂いたのは、一報の通信だった。
「こちら護衛艦きりさめ。スコープ越しに北朝鮮部隊を発見!紅魔館壁面をロープフックにて突破――!」
通信室のスピーカーが告げる緊急事態に、朝田三佐は眉をひそめる。
「……ついに、やったか」
その場にいたパク大尉、ジョージア軍のニコ中佐らも険しい表情を見せる。
「紅魔館は外交拠点だ。スペインとイギリスの外交代表、それにレミリア・スカーレット氏もいる。ここを狙うのは明白だった……!」
山森は頷き、即座に行動を開始する。
「第55歩兵部隊、準備完了次第、私と共に紅魔館へ急行する!」
その声に、霊夢・魔理沙・華扇・早苗らが足を踏み出す。
「私たちも行くわ。今度こそ……幻想郷の人間を守る」
山森は一瞬だけ黙った。冷静を保つための思考の時間。そして、静かに頷いた。
「……わかった。ただし、絶対に私の指示に従うこと。勝手な行動は厳禁だ」
霊夢たちは頷き、華扇に神社の防衛と留守を阿吽たちと共に託す。
同時刻:紅魔館内部
赤い館に鳴り響くのは、銃撃戦の音。
イ・ジュアン大尉率いる北朝鮮部隊が、警報システムを突破し壁面から館内に侵入。戦闘服に身を包み、無言で廊下を制圧していく。
「くそ、こいつら、情報を探しているだけじゃない。要人を捕らえる気か……!」
スターリング大尉が咄嗟にスペイン大使とイギリス代表を館の安全区画に誘導する。
「ナイジェル少佐、扉の確保は頼む!」
「了解、ここは通さん……!」
ナイジェル少佐・アレン少佐・ラミレス大尉は即座に応戦し、廊下の先での戦闘を展開。彼らは**NATOきっての精鋭部隊「Ghost Army」**に所属し、幾多の戦場を潜り抜けてきた兵士たちだった。
重い足音、閃光弾の閃き、銃声の応酬。
館内の美しい装飾に、硝煙と血の匂いが漂い始めていた。
きりさめ艦上
レーダー担当が叫ぶ。
「紅魔館周辺に武装勢力、複数確認!友軍部隊との交戦状態に突入!」
鬼頭艦長は即座に艦内放送を発する。
「こちら護衛艦きりさめ。対地支援モードへ移行、警戒航行続行。砲雷科、目標座標をマークし、発砲は最終判断に留めよ。……ここは幻想郷だ」
戦うことと、抑えることの両立。自衛隊としての覚悟が今、問われていた。
幻想郷上空・UH-1ヘリ内
山森一佐 朝田三佐・パク大尉、ニコ中佐、霊夢たちは支援ヘリで現場へ急行中だった。
霊夢が窓の外を見る。赤く染まる紅魔館、その一部から黒煙が立ち上る。
「……守るって決めたの。今度こそ、失わせない」
魔理沙が彼女の隣で拳を握り締める。
「撃たせない、壊させない。あたしたちが……幻想郷を守る!」
そして、通信が入る。
「こちらラミレス大尉!館内での戦闘継続中!交戦距離530メートル、援軍急務!」
朝田は短く答える。
「了解。あと3分で着く。持ちこたえてくれ」
無線越し
『大使!頭を下げください!』
『VIP・お嬢さん方をシェルターへ!』