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第5章:霧の向こうに眠るもの

ラングレーから送られてきた

機密文章に国防総省上層部は釘付けとなっていた


NATO本部・特別機密会議室

幻想郷という未知の存在、異常な空間裂け目、護衛艦きりさめの消失、そしてラムシュタイン基地での“幻想森”との入れ替わり――


混乱の中、ラングレーから送られきた極秘文書がドイツ諜報部より各国首脳へ共有された。


そのタイトルは、


《ソ連特殊物理計画:ЗАРЯ(ザリャ)・プロトタイプ転送装置に関する機密報告》

中身は、旧ソ連の崩壊前にバイコヌールで極秘裏に行われていた実験についての情報だった


[1977年・ソビエト連邦 カザフSSR バイコヌール近郊]

ソ連国防省直属の秘密研究機関「НИИ-13(研究所13)」にて、**量子レベルでの“物理転送装置”**の実験が行われていた。


その目的は、冷戦下において敵国のレーダーや境界を無視して兵器・兵士・資材を瞬間的に転送する新世代の戦略兵器システム――。


名称は、“ザリャ(黎明)”装置。


この装置は一時的に空間の位相を切り替え、対象を“どこか別の座標”に押し出す構造を持っていた。


だが、第7次実験時に異常事態が発生。

転送された物資が回収不能に陥り、観測装置は“この宇宙に属さない波長パターン”を記録。研究者の一部は失踪し、計画そのものが中止されることとなる。


以後、“ザリャ”はロシア国防総省の極秘保管庫“ヴォルガ16”に移送され封印されたとされる。


現代・NATO本部 特務情報部

「つまり……幻想郷という空間、あるいはそれに属する“別領域”は、すでに1977年にソ連によって部分的に“接触”されていたということか?」


「未確認だが、1977年の転送失敗により、何らかの形で幻想郷と現実世界の“位相”が接続された可能性がある」


「きりさめの消失も、ラムシュタインの裂け目も、その“影響”か?」


「可能性は高い。そして最悪なのは……“ザリャ”が現在もロシア国内に現存しているという事実だ、今は稼働していないが…」


資料の最後には、ある仮説が記されていた。


『この装置が何者かによって再起動された場合、“幻想”と“現実”の境界が崩壊する可能性がある』

ドイツ・ラムシュタイン基地内

特別観察室

アリス・マーガトロイドは、数人の科学者と軍高官たちを前に、静かに語っていた。


「……あなたたちの世界で、かつて“幻想郷”に触れた者がいたのなら、その因果が今になって回ってきても不思議じゃないわ」


「幻想郷は、現実に捨てられたものたちの避難所。“科学”と“理性”によって拒絶された、もう一つの世界」


「でも……今、現実の力が再び幻想に手を伸ばしている。その結果が、あなたたちの世界で起きている異常よ」


科学者が尋ねる。


「つまり、“ザリャ”が無理に境界を開こうとした――?」


アリスは答えず、代わりにこう言った。ー


「もしその装置が再び起動されたとしたら……今度こそ、世界のほうが“幻想”の中に消えるかもしれないわね」


NATO作戦指令書No-155

特別作戦名:「ワールド・リンク16」

目的:ロシア連邦内“ヴォルガ16”に保管されている旧ソ連製転送装置“ザリャ”の実態解明および無力化。

協力対象:ドイツに現れた漂流者

“アリス”の知見を活用。

主導:NATO特殊情報局、イギリスMI6、アメリカNSA、独BND・イタリアSISMI・イギリスMI5

幻想と現実、そして旧ソ連の実験からくる,副産物"が交差し始めた。


この異常事態は、もはや“幻想郷”だけの問題ではない。世界的に大きな影響を与える

"これは新たなる危機である"

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