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第46章:境界線を越えて


【博麗神社──異常現象の再来】

霊夢の祈りも虚しく、空が鈍い音と共に揺れた。


木々の葉が逆巻き、空間に静電気のようなざわめきが満ちる。「きりさめ」やラムシュタイン基地に現れた時と同じ異常現象が、今再び幻想郷に出現したのだった。


地面が軽く振動し、神社の周囲にうっすらと陽炎のような歪みが生じる。


霊夢は目を見開いた。


「……来たわ。貴方達の敵、私たちの安全を脅かす連中が」

その瞬間、周囲の空気がぴんと張り詰めた。霊夢はすぐに封印札、結界杭、護符、釘打ち棒を取り出して結界陣を整える。


魔理沙もすぐにそれを察する。背中のミニ八卦炉を確認しながら、杖を手に取った。


魔理沙:「霊夢、お前の“勘”は、いつも外さないぜ。今度は――本当に来たんだな」

朝田三佐も周囲の状況を確認しながら、警備中の隊員に通信。


山村一佐:「全員配置につけ。センサーに乱れが出ている。警戒レベルを上げろ」

磁気センサー、地中音響探知機、そして米軍が設置していた微弱放射検知器すら異常数値を示していた。


霊夢は一瞬、怖気づいた。見えない敵に、かつてない違和感が胸を締めつける。


「怖い……でも、私が立たなきゃ」

魔理沙がそっと声をかけた。


魔理沙:「平気だって。あたしがいるし、彼等もいる」

朝田三佐も頷く。


朝田:「霊夢さん、我々は、あなた方を一人にはしない。これは“共通の敵”です」

【魔法の森──アリスとマルク大尉】

森の奥。アリスとフランス陸軍のマルク大尉は、未来について語り合っていた。幻想郷と外の世界、両者がどう歩み寄るか。


だが空気の震えに気づき、アリスが振り返る。


アリス:「……この感じ。以前にも、あった。きりさめが来たときに」

直後、マルク大尉の携帯無線機から切迫した声が響いた。


『非常事態発生!全隊警戒態勢を取れ。座標85-66にて異常反応発生中』

マルクは表情を引き締めた。


マルク:「こっちにも来たか……!」


【山岳地帯──"596部隊"の暗躍】

山の斜面を、5人の武装兵が静かに進んでいた。


階級章も国旗も部隊章も一切ない。どこの国の兵士か判断できないよう意図的に偽装された兵装。


だが、使用しているAK-74変型・標準装備・携帯ジャミング装置などから、NATO情報部は「北朝鮮軍との類似点」を検知していた。


『こちら596部隊、ポイント"ズールー"に到着。状況良好。』──朝鮮語による交信

**北朝鮮の特殊部隊(工作員)**であることは、もはや明白だった。


彼らはNATOが設置した磁気・赤外線センサーを逐一破壊、妨害電波を発して索敵を回避しつつ、静かに幻想郷への浸透を図っていた。


【仮設基地──マクファーレン中将の判断】

仮設統合指令室。マクファーレン中将は、部下から報告を受けた。


「中将、東南丘陵部のセンサー6基すべてと通信が途絶しました。おそらく……破壊されました」

さらに、哨戒中だった小型UAVからの最終映像がモニターに映し出された。


映像には、軍服に印もない武装集団が映り込む。そして直後に映像が途切れた。


マクファーレンは唸るように言った。


「……間違いない。連中が来た」

彼はすぐに命令を下す。


「哨戒部隊を展開しろ。全ルートに警戒命令を出せ。戦闘の準備を整えろ。幻想郷は、新たな"ターニングポイント"に入った」

【幻想郷の夜が、色を変える】

その夜、幻想郷の空は、静かなままだった。


だが、誰もが感じ取っていた。


何かが、確かに侵入した。何かが、始まろうとしている。


そして、霊夢は本殿の前で一人、空を見上げながら小さく祈る。


「お願い、誰も死なないで。……でも、もし誰かが踏み込んでくるなら――」

その時は、私は博麗の巫女として、それを――退けなければならない。』


朝田三佐『ご心配なく、我々がいる限り誰も死なせはしませんよ』そっと霊夢の肩をたたき、力を抜かさせる


霊夢『ありがとう朝田さん』


【八雲紫──境界の向こうを見据えて】

幻想郷の縁側。夜の帳の下、八雲紫は静かに目を閉じたまま、扇をそっと傍らに置いた。


先程までの異常現象、それが意味するものを、彼女はすでに把握していた。


紫:「やはり……来たのね。外敵は外からやって来る。

アメリカ大使の指摘通り……ふふ、皮肉なものね」

彼女の目は、「博麗結界の揺らぎ」と、「地脈の変動」を正確に見抜いていた。


そして、これは“ただの外の人間”ではない。特殊な訓練を積み、幻想郷という異質空間に対応するための準備すら整えている者たち──。


紫は境界を開いた。


紫:「私たちも、対話のカードだけでは守れない時が来たようね。でも、使うのはまだ先」


【韓国情報院──危機の警告】

同時刻、ソウル・韓国国家情報院。中央司令室では緊張が走っていた。


北朝鮮軍の暗号通信の一部が傍受され、特殊作戦部隊が国外で行動を開始したことが確認された。


情報官:「北朝鮮対外工作部隊“596”が“Zポイント”を通過。目的は不明ですが、幻想郷方面と断定されました」

すぐに、韓国はウクライナ軍情報局(HUR)、NATOのGEOINT部門、日本防衛省情報本部に向けて通達を発信。


『北朝鮮軍の特殊部隊が幻想郷空間に侵入した可能性あり。NATOの兵器配備、拠点構築状況を調査する意図の可能性。警戒を要す。』

韓国情報院は、これが単なる偵察や諜報ではなく、より深い政治的・軍事的意図を持つものであることを読み取っていた。


【妖怪の山──銃声と影】

幻想郷・妖怪の山の麓。


夜の闇に紛れて、黒装束の兵士たちが動き始めていた。


それを最初に目撃したのは、山の住人の一人であった。


「見たことない兵士が……あんな装備、幻想郷にはいない……」

そして、静寂を破るように銃声が響く。


AK-74。ロシア・旧東側陣営の象徴とも言える銃声。


その報せは、哨戒中だったハンガリー陸軍のチェルナク大尉の部隊に届いた。


チェルナク:「第105歩兵部隊、UAZで急行する。武装勢力との交戦を回避、だが不明勢力の動向を監視せよ!」

旧ソ連製UAZ-469が山道を進む。夜視装置と赤外線スキャナーが、黒い影の輪郭を映し出した。


【博麗神社──霊夢たちの決断】

神社では、霊夢・魔理沙・朝田三佐、そして数人の将校たちが、臨時の作戦会議を開いていた。


朝田:「現時点で未確認の部隊が、少なくとも二方向から侵入。装備品などからの推定で北朝鮮軍、特に偵察・破壊工作の専門部隊。我々は幻想郷に兵器も基地も構築していません、彼等はそれを調べに来ていると推測されます」


魔理沙:「なら、連中は“幻想郷を戦場にする気”ってことかよ」

霊夢:「……そんなこと、絶対に許さない。ここは、私たちの家よ」


マクファーソン准将『あるいは自分たちの管轄領地とするか…そのどちらかだろう、ふーむ…威力偵察目的の可能性も否めないが…』


朝田は霊夢に提案する。


朝田:「霊夢さん、この付近の山岳を迎撃と封鎖の拠点としたい。連携を取りながら、最低限の防衛ラインを敷きますよ」

霊夢は頷いた。


「ええ。……でも、わたしは、戦いたくてここにいるわけじゃない。守るためにいるの。そこは忘れないで」


魔理沙もにやりと笑った。


「安心しなって。あたしたちは“幻想郷の守人”だ。外から来たって? じゃあ、見せてやろうぜ。“ここが誰の土地か”を」


山村一佐『では、我々普通科連隊、山猿と言われるその由縁をお見せしましょう!』


華扇『ふふ、期待していますよ、見せてもらいましょう、あなた方が"今ここにある危機"にどう対応するのか』

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