:紛争の火種は外からやってくる…各国の思惑を交えて
:「火種は外より」
【冒頭:各国情報機関の報告】
静かに進む幻想郷拠点建設計画。だが、その陰で各国の情報機関は、ある共通した「異常な動き」を検知していた。
CIA本部・ヴァージニア州
CIA上級分析官:「我々は、北朝鮮とロシアが“非正規の転送手段”を使って特殊部隊や代理勢力を幻想郷に送り込もうとしている兆候を掴んだ。ザリヤ装置由来の転送パターンがウクライナ方面から北朝鮮経由で観測されている」
韓国国家情報院・ソウル
情報院幹部:「北の部隊が“特殊演習”と称して新型装備を携行しているとの情報あり。地上経路では説明がつかない。幻想郷関連と見て間違いない」
イスラエル・テルアビブ
モサド幹部:「レバント地域のテロ組織が“特殊な神域”への計画を開始している。イラン革命防衛隊と一部武装組織の動きが奇妙に一致している。情報はすでにNSAへ」
NSA分析レポート(抜粋)
「幻想郷における新たな基地設置は、ロシア・中国・北朝鮮、並びに親イラン勢力の注視を集めている。単なる軍事的拠点ではなく、“新たな戦略的要衝”として扱われ始めている」
【博麗神社:4人の訪問者】
ある朝、博麗神社の境内に、4人の軍人たちが現れた。
・朝田三佐(海上自衛隊)
・山森一佐(陸上自衛隊・東部方面隊)
・マクファーソン准将(アメリカ/ Ghost Army)
・東部方面隊総監(架空の設定で演出)
彼らは神前で霊夢と向き合い、地面に正座して話を始める。彼女の中にある「何かが来る」という直感を、彼らは侮らなかった。
山森一佐:「我々もまた、日々“風”を読んでいる。あなたの感じる違和感は、我々の報告とも一致している可能性がある」
朝田三佐:「霊夢さん、貴女が前に言った“守りたいもの”……そのための備えを、今こそ始めるべき時期かもしれません」
そして、マクファーソン准将が口を開いた。
マクファーソン:「我々は中国、ロシア、北朝鮮、そして非国家武装勢力――あらゆる外的脅威を、ここから監視している。だが……必要なのは監視だけじゃない。準備だ」
マクファーソン:「幻想郷が火に包まれる時、それは必ず……外からの火種によって始まる」
その言葉に、霊夢の背筋が僅かに震える。彼女は知っていた。“内なる争い”ではなく、“外から来る不協和音”こそが、この地を揺るがすのだと。
【幻想郷・賢者の会合】
同時刻、幻想郷の各地で生きる「賢者」たち――八雲紫、永江衣玖、聖白蓮、風見幽香らが密かに集い、NATO代表団との戦略的対話が行われていた。
紫:「幻想郷の主権は幻想郷にあります。しかし、今や外の世界と隔絶していては、滅びを待つだけ」
白蓮:「力による保護と、信仰による庇護――両立する方法を見つけねばなりません」
幽香(珍しく真剣な口調で):「戦争の臭いが嫌いなのよ。……でも、枯れた大地よりはずっとマシだわ」
彼女たちはNATOに対し、「軍事拠点の性格」「対テロ・対諜報機能」「幻想郷住民との接触ルール」などの取り決めを事前協議するよう求めた。
これはただの基地ではない。幻想郷の未来を左右する、分水嶺の始まりなのだ。
【ラスト:巫女の祈り】
夜、神社の境内にて。
霊夢は火の灯る蝋燭の前で、ひとり祝詞を唱えていた。
願いは一つ――
「この地に生きる者たちの、安寧を壊さないでほしい」
その祈りが天に届くより先に、空のどこかで何かが“転送”される音が響いた――。




