第45章:基地建設計画と各国の反応・社会主義陣営の動き
◆演習終了・各国軍の撤収
幻想郷での大規模演習「シールド・ライン」が成功し
無事に終わり、仮設基地に展開していた各国部隊は徐々に撤収を始めていた。山中に設置された仮設司令部から、マクファーソン准将が最後の会合を終えたあと、重い一言を口にする。
「そろそろ、我々が本格的に活動するための基地建設を要請したい」
東部方面隊総監は、それに対し静かに頷く。
「実は……私もそれを考えていました。ただし、まずは今回の演習の総括と報告が先です。その後でも、十分に時間はあります」
両者の間に、外交と防衛姿勢に静かな覚悟が通じ合う。
◆米欧指揮官の戦略的視点
同時に、演習を視察していたNATO方面の調整担当・
マクファーレン中将も、別の形で警鐘を鳴らす。
「そろそろ、中国やロシア、北朝鮮といった仮想敵国が幻想郷に対して何らかの工作を開始するはずだ。それと同時に、テロ組織の介入の危険性も高まる。今のうちに、情報網と対テロ専門部隊の展開準備を始めるべきだ」
彼の下では、Ghost Armyの動きが水面下で加速し始める。
◆旧ソ連圏・アジア・中東・アフリカ諸国の反応
「シールド・ライン」の成功は、幻想郷という存在の地政学的価値を一気に世界へと広げた。特に、ソ連に長年抑圧されてきた国々――ジョージア、バルト三国、ポーランド、そしてウクライナは、幻想郷への関与を強く希望。次々と大使を派遣する意向を示し、NATOとの共同事務局の設置を要請してくる。
さらに、南シナ海問題を抱えるアジア諸国(フィリピン、ベトナム、インドネシアなど)も幻想郷との関係構築を開始。
中東・アフリカ諸国からも問い合わせが増え、ついにはトルコまでもが「幻想郷との外交接点を持ちたい」と正式に表明。イスラエルも独自に外交ルートを打診し始めていた。
◆中露北の対抗策と北朝鮮の動き
一方、ロシア・中国・北朝鮮は急速な国際社会の幻想郷関与に懸念を強め、「このままではNATOや日本が幻想郷に拠点を築く」として非公式協議を重ねる。
北朝鮮はロシア製の旧衛星監視装置「ザリヤ」を通じた観測を強化し、さらに斥候部隊(特殊偵察兵)を幻想郷に送り込む計画を進めていた。
北朝鮮幹部:「試験的に1個分隊を転送し、地理・勢力調査と工作の土台を築かせる。成功すれば、第二段階に移行する」
◆霊夢の悩みと幻想郷の揺れる心
そんな大局の中で、博麗霊夢は、かすかな違和感に心をとらわれていた。
霊夢:「……魔理沙、あんた最近、感じない?幻想郷の“空気”が……少しずつ変わってるって」
魔理沙は笑ってごまかそうとするが、霊夢のまなざしは真剣だった。
霖之助は静かに霊夢に声をかける。
霖之助:「君は“巫女”だから感じ取るのさ。この地に満ち始めた外の世界の重さ……それに心が引き裂かれそうになってる」
また、紫も密かに動き始めていた。彼女は幻想郷を開きつつあることに肯定的だが、同時に“外”からの黒い影にも敏感だった。
紫:「望まれた関係だけが来るとは限らない……開いた扉には、風だけじゃなく、嵐も吹き込むのよ」