第4章:裂け目と魔女
ベネルクスを構成する一国であるベルギーには
【NATO本部】が置かれている
ベルギー首都ブリュッセル
NATO本部では、護衛艦「きりさめ」の不可解な失踪事件が連日の協議の的となっていた。
失踪直後から展開された各国の調査団はこれとした成果を出せず、“霧”と“空間異常”という理解に苦しむようなキーワードばかりが報告書に並ぶ。
その報告にマルク・ルッテ事務総長を頭は抱える
事務総長「ふーむ…事実上、【きりさめ】は“この世界から消えた”。だが、爆発も沈没もしていない…」
「これは単なる海上事故ではないだろう。いやこれは世界規模の異常かもしれない」
「……では事務総長、次に消えるのは、艦船とは限らないと…」
NATO海軍司令の脳裏に最悪なシナリオが一つ浮かんだ…
各国代表が重く沈黙する中、次なる事態は――
ヨーロッパの中枢で起きた。
ドイツ・ラムシュタイン空軍基地
2025年5月16日 午前7時42分。
NATOの重要拠点にして米欧連携の要、ラムシュタイン空軍基地の北東端で突如として異常事態が発生した。
「こちら基地管制!司令部より警告!北部森林地帯にて異常現象を確認!周辺環境が急激に変化中!」
警報が鳴り響く中、基地所属の警備部隊がイーグル装甲車・ディンゴ・フクス装甲車・エノク装甲車を伴い重装備で現場に急行した。
市長は基地周辺の住宅街に避難指示を発令し警察・消防は市民の避難誘導にあたり軍はそれ等を護衛し原因究明と事態の収束をはかる
急行したドイツ即応部隊…だが、そこで彼らが見たのは――
「……森の、木の種類が……違う…」
「周辺気温も変わっている。ここたけドイツじゃないぞ……!」
あたり一帯の森林が、まるで別世界の植生と気候に入れ替わっていた。見知らぬ植物、動物の鳴き声、そして……何かの“気配”。
「……しーっ誰かいるぞ!」
『!誰か?!』
HK416ライフルを構えた数人の兵士たちの前に、静かに現れたのは――
一人の少女だった。
ブロンドの巻き髪。青いドレスに白のエプロン、そして背中に背負った複数の小さな人形たち。
「……ここは、どこ?」
彼女は、ドイツ連邦軍の兵士を警戒するでもなく、落ち着いた瞳・声で問いかける
遭遇の瞬間
軍の通訳を通じて、初期の接触が行われる。
「こちらはNATO司令部管轄、ドイツ・ラムシュタイン空軍基地。基地司令です、あなたの所属と目的を明かしてください」
少女――アリス・マーガトロイドは少し戸惑ったように、しかし丁寧に応じた。
「私はアリス。幻想郷の魔法使い。……どうやら、幻想郷の一部があなたたちの世界と混ざってしまったようね」
通訳が動揺しながら訳すと、司令部は騒然となった。
「“幻想郷”?まさか…本部の報告書…【きりさめ】にあった名称と一致……」
「彼女は“関係者”の可能性がある。保護と尋問対象とする」
だが、アリスは冷静だった。
「無理に力を使えば、あなたたちの世界が“壊れる”わよ」
その言葉に、周囲の気温がわずかに下がる。人形たちが静かに兵士たちの頭上に浮かび、魔力の波動が静かに広がった。フクス装甲車やディンゴ装甲車の放射線測定器に乱れが起きた
間も無くして【MP】仕様のGクラスが3台ほど到着した
中からは当然Military Policeが出てくるが米空軍の
ハングマン大佐も一緒だった
だが、衝突には至らなかった。アリスは対話を望み、大佐や基地司令と対話することになった。
そして彼女の知識がこの異変を解く鍵となることが、すぐに明らかになる。
「これは偶然じゃない。幻想郷の外側から、**“何か”が境界を壊し始めている。これは、いわゆる“侵食”よ」
「その貴方方軍人の言う“きりさめ”という艦も、それに巻き込まれた。私も、意図せずこの世界に引きずり出されたわ」
基地司令は、即座にアリスを“外交的特異存在”として保護する判断を下す。
そして、このことをベルリンの首相官邸に連絡しすぐさまドイツ政府は警戒体制を最大レベルに引き上げ、周辺住民を避難させた。
NATO本部 緊急対策会議
翌日、ブリュッセル。
「報告書にあった“幻想郷”の住人が実在した。今はドイツにいる」
「空間の裂け目は広がっている。これは単なる事故ではない」
「我々は、“幻想”と現実が融合し始めている現象の只中にある」
イギリス将官がつぶやく。
「もしそれが意図的に行われているなら、これは侵略かもしれん」
そして、NATO本部直轄の【特務隊】が召集された。名称は――
【Global・Force】
その部隊は今まで出動する機会などほとんどなかった…
なぜなら彼等が出動するということは第1級線の危機が迫った場合のみに召集される
【多国籍部隊】だったからだ
その初任務:ドイツにて保護された“魔法使い”との共同調査。
そしてその先には、**幻想郷という世界と、そこに潜む“異変の元凶”**が待っている――。
司令はそう捉えていた