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第32章:自衛官の誇り・幻想郷を守る者としての祈り

博麗神社・妖怪の山の麓に臨時の演習場が設けられ、

陸上自衛隊 目黒駐屯地所属——朝田寛人あさだ・ひろと三佐・年齢20代後半


博麗神社に1台の高機動車が通信機器の調整をしていた。迷彩服の肩に輝く三佐章がまだ真新しい。


1 霊夢と朝田三佐


霊夢

「ねえ、朝田さん。ひとつ聞いていい? どうして自衛官になったの? 日本って“軍隊”を持たないはずでしょう?」


朝田三佐

「おお……率直ですね。僕が自衛官を志したのは

東日本大震災(2011年)の災害派遣をテレビで見たのがきっかけです。誰か守り助けたい、と素直に思った。

 確かに太平洋戦争の後、日本国憲法第9条は『戦争放棄』を掲げ、国は“戦力を保持しない”ことになっています。でも同時に政府は“自衛のための必要最小限度の実力”は許されると解釈し、その頃は朝鮮で戦争が始まりました、それを受け1950年に最初の準軍事組織として

警察予備隊が、1952年に警察予備隊は保安隊に変わり、

1954年に自衛隊が創設されました。僕らは法律上“軍”ではない。だからこそ――」


霊夢は朱色の袖を揺らし、眉をひそめる。

「だからこそ、揉めるたびに“存在意義”を問われ続けるわけね」


朝田

「ええ。でも、災害派遣や国際平和協力活動に出ると、ありがとうと言ってくれる人がいる。その言葉だけで、僕は自分の迷いを振り払える。

 “戦うため”じゃなく“護るため”に立つ——それが日本の自衛官の誇りです」


2 魔理沙と自衛官たち


魔理沙は演習用の89式小銃を興味深そうに覗き込みながら、朝田三佐に向き直った。

「私たち、妖怪退治で命張ってるんだぜ? だけど相手は友達になるかもしれない存在だ。力を振るうたび胸が痛むんだよな」


朝田三佐は苦笑しながら銃口に安全キャップをかぶせた。


「こちらも似たようなものです。国際任務では“撃たない抑止”が第一。引き金は最後の最後——撃たずに済めばそれが勝利です」


魔理沙は箒を肩に担ぎ、笑みを浮かべた。

「“撃たない勇気”か。あんたら、意外とこっちの世界向きかもな」


3 早苗の視点


守矢神社の巫女であり元“外の人”の早苗は、遠巻きに二人の会話を見守っていた。

「神奈子様、諏訪子様……これが外の世界の“護る覚悟”なのですね」

早苗は胸の内でそうつぶやき、かつての日本と今の幻想郷の狭間で揺れる自分を感じ取っていた。


4 夜、焚き火のそばで


宵闇。境内の片隅で小さな焚き火がはぜる。霊夢、魔理沙、早苗、そして朝田三佐が輪になった。


霊夢

「朝田さん、もし外の世界がこの場所に危害を加えようとしたら——あなたはどうするの?」


朝田

「政府や防衛省から命じられれば、僕は立つでしょう。

でも同時に、できる限りの対話と回避策を探ります。

 なぜなら、あなたたちが護りたいものも、僕たちが護りたいものも——本当は同じ“日常”ですから」


霊夢は神社の鈴を見上げ、静かに頷いた。

魔理沙は薪をくべ、小さく笑う。

早苗は両手を合わせて祈るように夜空を見た。


“護るための力を持つ者は、護られる者である前に、選び取り続ける者でなければならない”

——朝田寛人、自衛官としての覚悟

焚き火の火花が夜空へ舞い、遠く離れた月の光が照らしている

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