第30章:月勢力との会談・安全保障の真意 守るための軍事力
こんにちは!作者です
皆さんにはここまで長い文章を読んでいただき感謝を
申し上げます、私は東方Projectを通して軍事と政治劇という
展開で話を進めています、難しいかと思いますがこれを機に
少しでも歴史と現実の世界情勢・軍事に興味を示してくれれば幸いです!皆様ありがとうございました!
特別対話会議:幻想郷・地上諸国・月の勢力による非公開多国間会談
開催場所:ニューヨーク国連本部
(特設会議場)
日付:西暦2025年6月21日 午後19:00(地上標準時)
会議形式:非公開・英語・日英逐次通訳あり
参加者(主な実在人物・設定):
綿月依姫(月の勢力代表)
蓬莱山輝夜・八意永琳
アントニー・ブリンケン(米国国務長官)
岸田文雄(日本国内閣総理大臣)
杉山良行(航空宇宙自衛隊 宇宙作戦群司令)
コシンスキー司令(在日米軍第五空軍司令官)
ジェン中将(アメリカ宇宙軍 作戦部長)
外務省 国際安全保障政策課・防衛省防衛政策局官僚
G7主要国外交・防衛代表(英仏独加伊)
アリス・マーガトロイド(幻想郷代表、通訳兼議長)
【開会・冒頭発言】
アリス・マーガトロイド(議長):
「ようこそ、幻想郷の地へ。今日の会談は、地上と月、幻想の世界と現実の世界が、初めて真正面から言葉を交わす歴史的な場です」
綿月依姫(姿勢正しく立ち、静かに一礼):
「我々はただ傍観する者ではない。地上に再び混乱と破滅が訪れるならば、その前に問いたい。“あなたたちは過ちを繰り返す存在なのか”と」
【議題1:地上の軍事展開と月の安全保障観】
ジェン中将(米宇宙軍):
「我々は月周軌道における宇宙監視システム(Cislunar Highway Patrol System)の維持を通じて、領域の平和を守ってきた。だが、“幻想郷”という領域がその延長線上にあるとするなら、戦略上の再評価が必要だ。」
綿月依姫:
「あなた方の『安全保障』は常に武装と並びます。月では、平和とはまず“干渉しない”ことを意味する」
岸田総理:
「我が国としては、幻想郷も月も“独立した文化的主体”として尊重する立場です。ただし、互いに信頼を構築するには、情報の共有が不可欠です」
杉山将補(航空宇宙自衛隊):
「我々の早期宇宙監視システム(SSA)はすでに異常干渉を記録しています。地上のシステムに影響を与えぬよう、相互監視のルール作りを提案したい、これが我々の要請です」
【議題2:月と幻想郷の関係性、地上国家との接触】
ジェン中将(在日米軍):
「依姫殿、月の勢力は幻想郷の変化をどう見ている?彼らと我々がここで平和的に座ることに、月は何を感じているのか」
綿月依姫(冷ややかに微笑みを浮かべる):
「まだ半信半疑だ。だがこの席が“力”ではなく“言葉”で用意されたのなら、我々もまた応じよう。し…八意(永琳)…」
八意永琳(補足):
「幻想郷は月から見ても特異な領域です。結界の均衡が崩れるなら、我々の技術的関与も避けられません。だが、それには明確な枠組みが必要です」
【議題3:地球外文明との法的枠組み・情報共有】
ブリンケン国務長官:
「我々米国としては、“地球外知的存在との関係構築”において、国連および同盟国との連携を重視しています。月の勢力を独立した外交主体として尊重し、国際連合対話枠組みの検討を提案します」
綿月依姫:
「人間の決めた“国連”とやらは、地上の争いを止められたか? だが――あえて言おう。我々は“幻の国”に生きる者たちと、“地上で希望を探す者たち”に、一度だけ機会を与えようと考えている」
【閉会・依姫の言葉】
綿月依姫(静かに席を立ち、各国代表を見渡す):
「幻想郷が“ただの伝説”に戻るか、“地上との架け橋”になるか…それは、これからのあなたたちの行動にかかっている。次に会う時、あなたたちの心に“穢れ”がなければ、月は扉を開くかもしれない」
ブリンケン国務長官『ッ!ありがとうございます』
ジェン司令『…穢れか…現実世界は穢れよりもっと深刻な
状態が続いている、その中での安全保障政策だ
こちらがある程度武装していなければ外部勢力が手を出し
かない、お嬢さんにはそこを理解してほしい』
補足
アメリカ宇宙軍の作戦本部長 ジェン中将:現実の宇宙軍司令官。宇宙戦略や監視網(SSN)を統括
航空宇宙自衛隊 宇宙作戦群(2022年発足):柴田将補は仮名。SSA(宇宙状況把握)・電磁妨害対策を担当
岸田文雄首相・ブリンケン国務長官:それぞれ現職として外交方針の立案・国際調整を行う実在人物
コシンスキー司令:実際に在日米軍(第五空軍)を指揮している空軍中将
幻想郷国際会議 特別会合・「安全保障と責任」分科会
場所:ニューヨーク国連本部
綿月依姫(月の勢力代表)
岸田文雄(日本国首相)
アントニー・ブリンケン(米国務長官)
オラフ・ショルツ(ドイツ首相)
エマニュエル・マクロン(フランス大統領)
スタマー英首相代理(国家安全保障顧問)
国連事務総長代理(平和維持担当)
航空宇宙自衛隊 宇宙作戦群司令(柴田将補)
米宇宙軍作戦部長 ジェン司令
幻想郷代表(アリス・マーガトロイド、八雲紫)
【依姫の問いかけ:軍事と地上の限界】
綿月依姫は、静かに立ち上がった。冷ややかでありながら、情のこもった声が会場を包む。
綿月依姫:
「なぜ地上の安全保障とは“武力”のことでなければならないのか? なぜ、“平和”を守る名のもとに、数千、数万の命が失われていくのか?」
「国連という組織が存在していながら、いくつの戦争を止められた? 安保理は、何度拒否権の前に沈黙した?」
「ブリンケン国務長官、あなた方は“世界の警察”を自称してきた。しかし、本当に地上は秩序を保ててきたのか? それとも、“秩序”とはあなたたちが定義するものだったのか?」
会場は一瞬、静まりかえる。
その発言にイラク代表は難しい顔をした
【アメリカの立場と葛藤】
ブリンケン国務長官:
「我々は完全ではない。アメリカもまた、過去に大きな 過ちを犯した。だが、我々はそれでも国際秩序を守ろうとし、同盟国と共に正義を維持してきたと信じている」
「イラク、アフガニスタン、ウクライナ…それぞれに困難があった。我々は今、その失敗から学び、“対話と抑止”の両輪で世界を守ろうとしている」
【国連の限界と国際社会の現実】
国連事務総長代理:
「国連憲章第7章の下に、我々には平和維持活動(PKO)の権限がある。しかし、それも常任理事国の拒否権の前では無力となる。シリア内戦、ミャンマー内戦・クルド問題、そしてウクライナ侵攻…政治的思惑が“集団的無力”を生んでいるのです」
ショルツ独首相:
「だからこそ我々EUは、NATOや欧州安保戦略を再構築した。国連が動けないなら、我々が動くしかない」
【日本政府の覚悟】
岸田首相:
「日本は戦後、平和国家として歩んできました。しかし、中国による領海侵犯・拉致問題、北朝鮮の弾道ミサイル、中国による東シナ海での挑発行為、ロシアのウクライナ侵攻…“静観”では国民の安全を守れない」
「だからこそ、防衛力を“反撃能力”として再定義し、同時に宇宙領域・サイバー領域でも防衛体制を整えています」
「だが我々は、幻想郷や月の存在を“敵”ではなく“理解し合うべき相手”として捉え、対話の場を尊重したい。これが、我が国の覚悟です」
【綿月依姫の応答:問い直される責任】
依姫は全員を見渡すように、静かに言った。
綿月依姫:
「言葉には、確かに力がある。だが、言葉を持つ者が行動しなければ、それは空虚だ」
「この幻想郷は、お前たちの争いの場にしてはならない。月の民はそれを拒絶する」
「我々は問い直す。“あなた方に、何ができる?”と」
「軍事力ではない。“未来を託される覚悟”があるかを、私は見極めに来た」
【アリス・マーガトロイド(幻想郷代表)の結び】
アリス:
「幻想郷もまた、変わりつつある。地上と、月と、私たちが交わることで、新しい歴史が始まるのなら、私はそれを受け入れよう」
「けれど、“信じる”ことと“盲信する”ことは違う。幻想郷もまた、試しているのです。あなた方が、過ちを繰り返さないと、信じられるかどうかを――」
幻想郷国際会議 安全保障分科会:停滞と沈黙の中で
会談は膠着していた。月の代表・綿月依姫の鋭い問いに対し、各国の指導者たちは正論を返しつつも、答え切れない“矛盾”を心の中に抱えていた。
しばしの沈黙――。
その中で、静かに手が挙がった。出席者の多くが意外そうな目を向ける。
挙手したのは、ボスニア・ヘルツェゴビナ駐在特命大使、マリヤ・スティエパノヴィッチ。旧ユーゴスラビア連邦の崩壊後、地獄のような内戦を経験した国の代表である。
【ボスニア大使の発言:傷と記憶】
スティエパノヴィッチ大使:
「この場で口を開くことを、私たちはずっとためらっていました。なぜなら、我々の国こそ、過去の過ちの象徴だったからです」
「ボスニアは1992年から1995年まで、民族、宗教、国家意識が衝突し、地獄のような紛争に陥りました。サラエボ包囲戦、スレブレニツァの虐殺…人類の尊厳が否定される瞬間を、私たちはこの目で見たのです」
「なぜあのような内戦が起きたのか。答えは簡単ではありません。セルビア人、クロアチア人、ボシュニャク人――それぞれが、“守るため”に立ち上がった。だがその“守る力”が、やがて“奪う力”へと変わってしまった」
「国連も、NATOも、最初は見ているだけでした。そしてようやく介入が始まりました。あまりにも遅すぎた…ですが、それでも、私たちはその介入に救われた命があったことも否定はできない」
「力を否定することは、現実の中で非常に難しいのです」
【アメリカ軍大佐の証言:力の責任】
スティエパノヴィッチの言葉の余韻が残る中、もう一人
静かに名乗りを上げた。
アメリカ陸軍大佐 ダニエル・モーガン
第173空挺旅団、コソボ・イラク・アフガニスタンに派遣経験を持つ現役のベテラン。
ダニエル大佐:
「私は軍人です。何百人もの兵士を率い、戦場に立ちました。ボスニアにも、イラクにも、アフガニスタンにも行きました」
「そのたびに、自問してきました。“なぜ私たちはここにいる?”と」
「戦争とは、正義だけでは動かない。命令、政治、恐怖、そして誤解。だが、1つだけ言えることがあります――“力が無ければ守れない命がある”」
「敵が銃を持って村を襲うとき、私たちは素手で交渉できません。力のバランスがあって初めて、対話が意味を持つ。平和は、言葉と力の両輪で初めて成り立つのです」
「だから私は、若い兵士たちにこう言います。“力を持つことを誇るな。力を使わない勇気を誇れ”と」
【綿月依姫の応答:沈黙の共感】
依姫はしばし目を伏せていた。まるで地球の深い歴史と、月ではあり得ないほどの悲劇の重さを静かに噛みしめるように。
そして、彼女は口を開いた。
綿月依姫:
「……あなた方の語ったことは、重い」
「月には“戦争”は存在しませんでした。だがその代わり、“争う力そのもの”を拒絶する文化が形成された。それを“誇り”としてきた」
「けれど、その清らかさは、現実という名の重さの前では、もろく砕けるものかもしれません」
「今、私は初めて“力”を否定することの難しさを理解し始めたのかもしれません。……あなた方は、背負っているのですね。自らが持つ力と、その責任を」
「ならば……私は、月の代表として問いたい。“力を持ち、なおも正しさを選び取れるか”――その覚悟があるかを」
■ 綿月依姫の問い
「なぜ、あなた方の世界では“力”による安全保障が基本なのですか?」
「なぜ、国際連合という世界の調停機関が、その役目を果たしきれないのです?」
「そして、あなた方は本当に…この幻想郷を守る覚悟があるのですか?」
場が静まり返る。各国代表はそれぞれに目を伏せる。空気が重たくなる中、手を挙げたのは一人の老練な外交官だった。
ボスニア・ヘルツェゴビナ大使 イヴォ・コリッチ
「私はボスニア・ヘルツェゴビナの代表として、過去の過ちから語らせていただきます」
「祖国の父【チトー】亡き後の1990年代、我々の国は
ユーゴスラビアの崩壊に伴い、民族と宗教が混在する地で内戦に至りました。多民族国家が分裂し、セルビア人・クロアチア人・ボシュニャク人が互いに銃を向け合いました、かつては同志だった者たちが撃ち合ったのです」
「なぜか? 理由は複雑です。外から見れば無意味に思えるかもしれない。だが、根底にあったのは“恐怖”と“無関心”です」
「力を持たない側が滅びる現実。そして、誰も助けに来ない現実。あの時、我々が本当に必要としたのは、ただの武器ではなく、“介入する勇気”と“止める意志”だったのです」
依姫は静かに目を閉じ、耳を傾けていた。
■ 発言:アメリカ海兵隊大佐 ダニエル・ハワード
「私は、アフガニスタンで大勢の仲間を失いました。イラクでは民間人が爆撃で命を落とすのを見ました。私は軍人です。だが、戦争を望んだことは一度もない、なぜか
それは"どんな兵士も反戦にはかわりません、しかし
それでも戦う価値がある時があるからです"」
「我々が力を持つのは、使うためではない。抑止するためだと固く信じております」
「我々は“世界の均衡”という秤の中で、武力の衝動を封じ込めてきた。幻想郷が平和を望むなら、同じように、あなた方も――守るべきものに対して覚悟を持たねばならない」
綿月依姫の反応
長い沈黙の後、依姫はそっと口を開いた。
「……月は、地上に裁きを下す立場ではありません。私たちは高みから見下ろす者として、いつしか“理解すること”を忘れていたのかもしれません」
「貴方たちの言葉には、私の予想もしなかった“苦しみ”と“願い”がありました」
「もし本当に…この地を守る覚悟があるのなら、私たちもまた…対話を選ぶ道を歩まねばなりませんね」
依姫のその言葉は、会場全体に重く、そして優しく響き渡った。
会議上には拍手が送られ各国代表団が依姫に握手を求め
依姫は真摯な態度で答えた、月の勢力と地上の各国代表
が歩み寄りを見せた瞬間であった
両者の握手の瞬間の写真は元軍人のハンガリーの写真家
【ヤーチャフ】が撮影したもので後に【ピューリツァー賞】に輝いたのであった