第21章:「静けさの裏に ― 情報と決意」
幻想郷・人間の里での温かい交流の光景。
その優しい時間とは裏腹に、世界のどこかではまた別の「現実」が動いていた。
各国の諜報機関――アメリカCIA、英国MI6、ドイツBND、そして日本の公安調査庁と防衛省情報本部は、
幻想郷をめぐる各国の動きに敏感に反応していた。
クレムリン・大統領執務室
プーチン大統領は静かにモニターを見つめていた。
側にはカディロフ、ショイグ、ゲラシモフ――ロシアの実力者たちが揃う。
「幻想郷…実に興味深い。」
ショイグが地図を指差しながら言った。「我々が掌握すれば、地理的優位が劇的に変わる」
「まだだ」プーチンは静かに制した。「オムスク計画は準備段階だ。今は動くな。
西側はすでにこの“場所”に関心を持ち始めている。我々の一手は、全てを変える」
その会話の一部始終を、CIA東京支局が傍受していた。
「奴らは本気で何かを仕掛ける気だ」
マクファーソン准将は報告を受け、無言で唇を噛んだ。彼の部下、アレン少佐とラミレス大尉もまた、
幻想郷での穏やかな空気の中で、わずかな不安の影を見せていた。
幻想郷・八雲邸
その頃、幻想郷の賢者・八雲紫は、日本政府首脳から届いた正式な親書を読みながら静かに頷いていた。
『日本国は幻想郷の主権と自治を尊重し、同時に保護する。
今後は、幻想郷を日本の特別自治区として認める法的整備に入る』
― 総理大臣 石破茂
その場にはアメリカ駐日大使ラーム・エマニュエルもいた。
紫は彼に向かって微笑む。
「現実世界はずいぶんとお忙しいようで…幻想郷まで巻き込まれてしまったわね」
ラーム大使は苦笑いを浮かべながらも答える。
「だが紫さん、ここにはまだ“始まっていない未来”がある。だからこそ我々は、ここを守らねばならない」
外の世界 ― 緊張の連鎖
・インドとパキスタンの国境紛争が再び激化、カシミール地方で小規模な戦闘が報告される
・スーダンでは内戦が激化し、国連が人道的介入を要請
・パレスチナ・イスラエル戦争は過去最大の衝突へと拡大中
・トルコ・イスタンブールでは、ウクライナとNATO間の和平交渉が進行する中、ロシアの傍受工作が報告されていた
そして、**中国では第6世代戦闘機【J-36】【J-50】**の配備が確認され、
米インド太平洋軍は即時に哨戒強化を指示。台湾付近の空域は再び緊張を高めていた。
再び幻想郷 ― 賢者たちの決意
紅魔館での会合を終え、人間の里に戻った各国大使たちは、そこに確かに“希望”を感じていた。
それでも――
「この地は、いずれ現実の矛盾と衝突を映す鏡になるだろう」
そう言ったのは、オーストラリア大使だった。
「これは縮図だ。人の心が作る楽園と、国家の思惑が交差する場所。
…寒いと思わないか?」
「冷戦の再来か…いや、“新たなポイント”だ。
グレートゲーム…我々が生きるこの時代の、それも幻想郷を舞台にした…」
アメリカ大使のその言葉に、誰も異を唱える者はいなかった。
その中で、大使たちはそっと人間の里の静かな夜空を見上げた。その夜空に月は雲に見え隠れしながらも明るく光る
兵士たちと住民が焚き火を囲み、言葉はなくとも笑顔を交わし、
子供たちが明日も来てくれることを願いながら眠りにつく世界――
「……希望が、まだあるな」
そう誰かが言った。
『そうだ…だからこそ、その希望の灯火を我々は無駄にはしてならない、守らなければならい、何れにせよ幻想郷は新たな"ターニング・ポイント"となる、我々だけでなくその他の勢力・テロ勢力も目を付けることになるだろう…ここの未来を明るく照らすには何が必要か考えなければ…』