魔理沙救出の報告
【幻想郷・臨時野戦病院 病室内】
夕方の陽が薄く射し込む白い簡易カーテンの内側。機械音が静かに鳴る病室。
そのベッドには、肩から腹部にかけて包帯を巻かれ、酸素マスクを外したばかりの朝田三佐が静かに身を横たえていた。
顔色はまだ青白いが、その瞳ははっきりと開き、声も出せるようになっていた。
足音が静かに近づき、カーテンが開く。
霊夢「……朝田さん」
朝田(三佐)「……あっ……霊夢さん……」
声はかすれていたが、微かに微笑んでいる。霊夢はその姿に安堵し、小さくうなずいた。
霊夢「魔理沙は無事よ。ちゃんと帰ってきたわ……ありがとう、朝田さん」
朝田(三佐)「……自分は……何も……できなかった……護ると、誓ったのに……結局……」
霊夢(小さく首を振りながら)
「違う……あなたは最後まで守ってくれた。あの時、命を懸けてでも魔理沙を離さなかった。
あなたがいたから、あの子は生きて戻ってこられたのよ。ありがとう、朝田さん」
しばしの沈黙。朝田はその言葉を噛みしめるように目を閉じ、小さく息を吐く。
そして――
魔理沙「――朝田さん」
カーテンの外から元気な声。現れたのは、もう洗脳も解け、いつもの魔理沙の姿に戻った彼女だった。
制服の隙間から、包帯がちらりと覗いていたが、目は力強い。
魔理沙「……ありがとう。あの時、朝田さん……あの姿になってでも、立って守ってくれたよな。
無様でもなんでも、あたしは……惚れたよ、その姿に」
朝田(三佐)「……あはは……惜しくも……崩れ落ちましたが……」
その冗談めいた言葉に、霊夢と魔理沙がわずかに笑い合う。
咲夜(控えていた場所から前へ出て)
「立派でしたわ。まるで、紅魔館を救ったナイジェル中佐とスターリング少佐の勇姿を見たような……誇り高き戦いでした」
アリス「本当に……無事で良かった。あなたの勇気が、あの子を繋いでくれたのよ」
そして、その後ろから入ってきたのは、やや申し訳なさそうな表情を浮かべた**マルク大尉(NATO所属)**だった。
マルク大尉「……すみません、朝田さん。我々のチームが現場に着くのが遅れてしまって……」
朝田(三佐)(微笑んで首を振る)
「いえ、気にしないでください。……無事に魔理沙さんが戻ってきたのなら、作戦は――最高です。
犠牲は……あったかもしれませんが、それでも……報われたんでしょう」
誰もが、その言葉に胸を打たれる。
魔理沙は、朝田の手をそっと握った。
魔理沙「ねぇ……あたしたち、あなたの分まで戦うよ。今度は、あたしたちが守る番だから。な?」
朝田(三佐)(小さく頷き)
「……ありがとうございます……」
その時、病室の外で小さく拍手が起きる。
マクファーソン准将とアレン少佐、ラミレス大尉たちが、静かにその光景を見守っていた――。
【ナレーション・締め】
――命を賭けて繋がれた希望は、静かに、確かに受け継がれていた。
次なる戦いの火種は既に灯っていたが、今だけは……このひとときを、胸に刻んでいた。