バンカー25への道」
1. 【魔理沙、抵抗の深層】
冷たい金属の床に膝をついた魔理沙は、呼吸を荒げながら天井を睨んでいた。
耳元には途切れ途切れに響くノイズ混じりの音声。
「マクファーソン准将……スタマー首相……紫……」
脳裏を過るのは、かつて共に戦った仲間たちの顔だった。
「……霊夢……」
その名を呟いた瞬間、激しい頭痛が襲いかかる。
「ぐぅぅ……ああああああっ!」
金属の床に拳を打ちつけ、呻く魔理沙。
だが、記憶は揺れても心の芯が折れることはなかった。
部屋のガラス越しに彼女を観察していた研究者・バルコフが、苛立ちを露わにした。
「まさかここまでとは……予測外の精神抵抗だ。洗脳コードが定着しないど」
「どういうことだ? 他の被験者には通用したんだろう?」
ザカリン少佐が怒鳴る。
「彼女の精神構造は極めて……不安定かつ、強固なんです。均衡を崩せば崩壊するかと思えば、中心に**“他者を守る”という核がある**。破壊では届かないのです……!」
「いいだろう、B案に移行しろ。」
暗い部屋に再び灯りが消え、魔理沙の周囲は重低音のプロパガンダ音声と、光もない孤独に包まれる。
2. 【潜入:CIA特殊工作員“ナッシュ”視点】
ウラジオストク郊外、夜
深い森を抜け、薄明かりの中を這う影があった。
CIA工作員:コール・ナッシュ、コードネーム「フォックス」。
彼は肩にカムフラージュクロスを掛け、夜風に溶け込むようにバンカー25の北側通気口へ忍び寄っていた。
《暗号通信ログ開始》
【ナッシュ】「こちらフォックス、北側排気口に到達。
赤外線センサーは二重。パターンは旧ソ連式で読み切った。ガス注入確認、通気停止時間:38秒」
【司令部】「了解、フォックス。最新位置確認。バンカー内部に囚人の生命反応あり、識別コード:MR-001。魔理沙で間違いない」
ナッシュはポケットから取り出したマグネティック・リレーをパイプに取り付け、炭酸ガスを注入。
冷却されるパイプは一瞬だけヒビを生じ、彼は音もなくシャフト内へ滑り込んだ。
《通話再開》
【ナッシュ】「内部に侵入、予備電源のルートへ接続中。軍の突入部隊にルートを開くまで、あと8分」
3. 【突入:NATO・幻想郷合同特殊部隊】
バンカー25東側、森林ライン裏手
NATO即応部隊(イギリスSAS・フランスGIGN・米デルタ)+陸上自衛隊・幻想郷防衛連絡官からなる混成チームが配置についた。
指揮はラミレス大尉とアレン少佐。霧雨魔理沙救出のための最終段階。
「作戦コード:オペレーション・スカーレット、フェイズ・ベータ開始」
ラミレス大尉が小声で伝えると、完全無音の突入が始まる。
赤外線ゴーグルに映る扉の熱源が消える――ナッシュの仕掛けた通電カットが成功した合図だ。
「行け!」
破砕爆薬の小規模チャージが扉を抉り、突入。
無抵抗の一瞬、部隊は三手に分かれて廊下を疾走した。
警報が鳴る。敵が目を覚ます。だが――もう遅い。
廊下奥、複数の研究者と武装警備兵が現れるが、
霊夢と早苗が飛び込み、非殺傷の符弾と気合による急襲で制圧する。
「魔理沙はどこだ!?」
霊夢が叫ぶ。
アレン少佐が中央データバンク室をこじ開け、ナッシュの声が無線に割り込む。
【ナッシュ】「対象確認。北翼Cブロック、制限エリア内。体は拘束されているが意識はある! 急げ!」