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開始される作戦 ― 赤い影、幻想郷へ」


2025年7月26日、ロシア・ウラジオストク


早朝、原子力潜水艦ウリヤノフスク・《ウラジオストク》の2隻が静かに、その巨大な艦体を軍港から滑らせる。スクリュー・プロペラで冷たい海霧を切り裂きながら、原潜は日本海へと進路をとる。だが今回は通常の潜航行動とは違った。


ウラジオストク・ウリヤノフスクはあえて目立つように航行していた。海面下への潜航は制限し、むしろP-1哨戒機や自衛隊のレーダーに“わざと”補足されるような行動を取っていた。


それを察知した防衛省は、舞鶴基地から**海上自衛隊の護衛艦「あたご」**を即応出動させ、並行してP-1哨戒機による対潜追尾を開始する。


航空幕僚監部・情報幕僚

「やけに堂々とした航行パターンですね…」

海上幕僚監部・対潜幕僚

「これは明らかに陽動だ。裏で何かが動いている」


同時刻、フランス・パリ空軍基地


夏の強い日差しの下、通常通りの任務が展開される中、A-400Mアトラス輸送機が静かに整備エリアを離れようとしていた。機体に乗り込む4名のフランス軍兵士。その制服、ID、階級章、提出された配属書類、すべてに不審な点はなかった。


だが――


その正体は、FSB(ロシア連邦保安庁)所属の特殊部隊員である。


彼らはウクライナ戦線から鹵獲したフランス装備(プジョーP4、HK416F、SF92拳銃、制式軍服)を用い、完璧に正規兵として偽装されていた。任務はただ一つ――幻想郷での特殊工作である。


輸送機が滑走路を走り出す。タービンの轟音とともに、静かに空を舞い上がり、幻想郷へと向かっていった。


幻想郷・シエラデルタ基地


幻想郷内はすでに、市街地での騒乱や不安定化が進行しつつあった。NATO部隊や自衛隊は、防衛と治安維持に追われており、細かな人事チェックや入国審査の強化が後手に回っていた。


そんな混乱に乗じて、さらに“技術者”という肩書きの東欧出身者たちが現地入りする。


正体は――核技術者に偽装した工作員たちだった。


到着時、書類とIDに不備は見られなかった。検閲官も疲弊しており、詳細なクロスチェックはされなかった。彼らの情報は、ロシア側が事前に構築したデジタルな身元カバーストーリーによって保護されていた。


すべては、周到に、計画された上で動いている。


ロシア軍参謀本部・情報局内、地下作戦室

ザカリン少佐「幻想郷側、混乱拡大中。原潜の動きにより、自衛隊と米軍のリソースも分散されつつありまふ」


ヴェルニエフ上級大将「よろしい。あとは……“最初の一手”を打つだけだ」


ザカリン少佐「了解。『シグナル・オペレーション』を発動します」

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