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暴動の影、声の中の真実


――幻想郷・市街中心部付近


騒然とした群集の怒号が、空気を震わせていた。


「奴らは支配者だ!」「幻想郷を売り渡した連中を許すな!」


初期対応にあたるミリタリー・ポリスが警棒とライオット

シールド・催涙ガス擲弾銃を駆使し群衆を抑えていた


現地に向かった警察無線からの応援要請と現状の報告とその情報は、発生からわずか2分でシエラデルタ基地を経由し、各部隊に共有された。


瞬く間に通信網が動き出す。


「……暴動発生地点、幻想郷中心街において群集が一部暴徒化、NATO・自衛隊・郷土防衛隊・長野県警が共同で対応に入ります」


通信兵の報告に、各部隊が即応体制に入る。


道路に轟音が走る。


サファリ、クラウン、トライトン、ジムニー、パジェロ、そして警察のいすゞトラック、機動隊バス――

次々と集結する自衛隊・警察・郷土防衛隊・NATO軍の車両群。


まるでかつての砂川事件を彷彿とさせる光景。

だが、あの時と違い、ここには多国籍の部隊と幻想郷自身の自衛組織が肩を並べていた。


機動隊装備に身を包んだ郷土防衛隊隊員。

軽装甲機動車の後ろに展開する自衛隊員。

G3ベアキャットの銃担架からM4A4を構え周囲を警戒する米軍兵士。

クラウンパトカーのスピーカーからは、長野県警の山根警視の声が流れる。


それでも群衆は収まらない。


魔理沙は、群集の前に立った。


機動隊装備に身を包んだ霧雨の魔女。その姿に、誰もが目を向けた。


「なぁ!みんな!」


その声は、マイクも使わず、しかし力強く響いた。


「ここは彼らを信用しようじゃないか!……よく考えてみろ!」


魔理沙の声が高まる。


「最初に彼らの軍隊が里に入ってきたとき、彼らは私たちに危害を加えたか?!」


「略奪をしたか?!家を奪って燃やしたか?!不当な検挙をしたのか?!」


静まり返る群集。

誰も答えられなかった。

思い返せば、彼らは犯罪者を摘発し、自警団と協力して治安を守ってきた。


だが、一人が叫ぶ。


「……これから、しないとも限らん!」


その言葉に、再びざわめきが起きかけたその時だった。


前に進み出たのは、長野県警・機動隊司令 山根警視だった。

防弾チョッキに身を包み、拡声器を持ったまま群集に向かって静かに言った。


「皆さん。もし彼らが不当なことをするのであれば、我々警察が対処します。」


「そして皆さんの安全は、私たち警察と、ここにいる自衛隊・郷土防衛隊が必ず保障します。」


山根の言葉は、硬く、しかし誠実だった。


「どうか、お願いします。解散してください……これ以上続けるのであれば、こちらとしても必要な対応に当たらなければなりません。」


「我々は、皆さんの敵ではない。」


一瞬の沈黙。そして一人、また一人と、群集が動き出す。

まるで張り詰めていた糸が切れたかのように、混乱は徐々に静まっていった。


――同時刻:幻想郷電子戦支援センター(旧地霊殿地下通信施設)

「発信源を特定!!」


アレン少佐が叫ぶ。


「どこだ?!」

モニター越しにマクファーソン准将が詰め寄る。


「ルビャンカビルです!!」


空気が凍りついた。


マクファーソンは、数秒沈黙したあと、ゆっくりと呟くように言った。


「……FSB本部か。旧KGB本部……やはり、この騒動の背後にはロシアの意図があるか……」


アレン少佐が、端末を操作しながら言う。


「直ちに、NATO情報部および日本側防衛省、内閣情報調査室に通告します!」


「よし……反撃のフェーズに入るぞ。情報戦だけじゃない。これからは、“真実”で彼らの嘘を打ち砕く」


「幻想郷を、“また新たな戦場”にはさせない……!」


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