第18章:紅魔館の午後ー握手の裏側に存在する思惑」
午前中の会議が12:00分を持って終了
60分間の休憩の後、13:00分より再び会議が始まる
そして現地時間:午後15:20分…
幻想郷、紅魔館――
西洋風の荘厳な建築の内部で、幻想郷史上初めてとなる多国間公式外交会談が終わりを迎えようとしていた。
各国代表団は幻想郷の代表と握手を交わし、拍手と共に退席の準備を始めていた。
「これが我が国の立場です。我々は幻想郷の安定と共存を望んでおります」
そう口にしたのは中国代表団の筆頭、**中国共産党中央対外連絡部の高官・劉海峰(架空人物)**であった。彼は日本代表、アメリカ代表、韓国代表、そしてロシア代表にそれぞれ穏やかに握手を求めていった。
「ありがとうございました、賢者の方々とも有意義な時間が持てました」
彼の視線は、八雲紫やレミリア・スカーレットにまで及び、丁寧な一礼と共にその場を後にしようとしていた。
一方、ロシア代表団はその少し前に会場を離れていた。代表の一人、**在日ロシア武官であるアレクサンドル大佐(実在する人物をモデルとした仮想人物)**は静かに語った。
「我々は国際社会の一員として、この特殊な地域との未来を注視する…それだけだです」
その一言の裏に、幻想郷における「地政学的な可能性」への関心が色濃くにじむ。握手を交わす手には冷たさと計算が混じっていた。
ロシア代表団は拍手と見送りの中、重い空気を背負ったまま紅魔館を後にする。
緊張の視線
館の正面口――
中国代表団の一人が立ち止まり、掲げられた旗をじっと見上げていた。
紅魔館の門に翻る数々の国旗――
日本、韓国、アメリカ、カナダ、リトアニア、フランス、ウクライナ、そしてNATOの青い旗。
その中に、台湾(中華民国)の国旗はまだ存在していなかった。
その中国高官の目に、ほんの一瞬、影のような緊張が走る。
「……」
何も言わず、彼はただ静かにため息をついた。
そして、その瞬間――
館の奥から入ってくる一人の外交官。
深い青のスーツを着た、穏やかな顔立ちの男性――台湾代表団の筆頭である。
彼は堂々と正面玄関を通り、幻想郷の要人たちに向けて微笑みながら歩み寄る。
その姿に、中国代表団の一人が明確に反応した。
目と目が合う。
しかし、言葉は交わされない。代わりに、中国代表は深く一度、ため息をつく――それは明らかに感情を押し殺した吐息だった。
「台湾海峡に漂う火種――それが、ここまで来ているのか…」
その場にいた数名の外交官――特にNATO欧州軍の副官や、韓国の代表、そして日本外務省のアジア局長・
フィリピン代表団は、その一瞬の緊張を見逃さなかった。
『このままでは何れ(いずれ)幻想郷は新たな"火薬庫"になってしまうだろう…』
浮き彫りになる未来の影
幻想郷という「非現実的な楽園」においてさえ、外の世界の現実は容赦なく影を落としていた。
『はぁ…国際連合本部の会議場でもないのにこの緊張感を
味わう程になるとは…いやはやなんとも重苦しい空気だ』そう在日フィリピン大使【ガルシア】氏は述べる
紅魔館は、幻想郷の中心として、いまや国際政治の最前線となりつつあった。そして一報が届くイスラエルが停戦を取りやめガザへの侵攻を再開したと…我々がこうして
会議を進める中でも現実の世界では各国の紛争が激化しつつあった…
その様子を、陰から見つめる者たちがいる。
米軍情報部の連絡員
英仏の合同調整官
そして、CIAと日本防衛省情報本部の“影の担当者”たち…
やがて再び、紅魔館の空に静かな風が吹き、八雲紫は月を仰ぐ。
「幻想郷は守られるべきか、それとも変わるべきか…その問いが、今夜も私のもとに届くわ』