【闇より来たり影】
映画に登場したダークスターと陰謀論として存在する
SR-91が実在しSR-72の派生型だったらという設定で
書いています
1990年代のアメリカでは頻繁に謎のソニックブームが目撃されていたそうです
幻想郷上空、高度50,000フィート。
暗黒の中を滑るように飛翔していたのは、一機の漆黒の航空機だった。
形状は鋭く、まるで戦闘機と爆撃機の中間のようなフォルム。
表面に光沢はなく、星明かりすら反射しない。
そして、通信が交わされた。
【通信記録:幻影作戦No.048】
《こちらオーロラ、報告する。幻想郷エリアにおけるロシア・中国勢力の活動は認められず、民間構造物の変化はなし。異常なし。》
《こちらブラックバード、了解。帰還せよ。スクランブルは不要。識別コードを維持し次回ステルス航路を再設定。》
機体は、機尾に青白い残光を残しながら、遥か彼方へと加速していった。
その速度はマッハ8.8。
スクラムジェットを搭載した極超音速機――「オーロラ」。
噂されて久しいこの機体は、正式には存在が認められていない。
その存在はかつてTR-3Bと共に“陰謀論”と揶揄され、Wikipedia上では「SR-91」として断片的に記述されるのみ。
しかし、現実にはSR-72「ブラックバードII」計画の派生機として、静かに、だが確かに空を支配していた。
トップガン映画に登場した「ダークスター」ことSR-72Bもまた、同系列の機体とされている。
【博麗神社】
「……見たよね、アレ」
魔理沙が静かに呟く。風が止まった夜だった。
霊夢も空を見上げたまま、ゆっくりと頷いた。
「速さじゃない……あれは“何かを確かめに来た”目だった」
「なんかこう、誰かに“監視”されてるって感じがしたよな」
霊夢は腕を組み、少しだけ眉をひそめた。
空を裂いた漆黒の機影――それは、ただの飛行機ではない。
“力の均衡”を測るかのような、静かな威圧感を漂わせていた。
【幻想郷・防衛本部】
モニターに、かすかな熱光点が浮かぶ。
だが、それを「迎撃せよ」と命ずる者はいなかった。
いや、できなかったのだ。
マクファーソン准将はモニターを前に立ち尽くしていた。
「……まさか、本当にまだ動いていたとはな」
「ブラックプロジェクトの亡霊か……」
誰にも聞かせるつもりのない呟きが、戦術室にひっそりと沈む。
【永遠亭】
「あれは……月の技術じゃない」
永琳ははっきりと断言した。
「地球の、それも……アメリカの“影”ね」
かぐやの瞳に映ったのは、あまりにも静かな戦争の始まり。