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第17章:紅き館の静寂、語られる自由の代償」

紅魔館の会談室。アリスの覚悟と台湾・リトアニア代表の警告が響き渡った直後――

重く沈んだ空気を切るように、ポーランド代表が立ち上がった。


スーツの胸元に小さなポーランド国旗のピンバッジが輝く。


「リトアニア大使の言葉に、私たちも強く同意します」

落ち着いた口調だったが、その言葉には鉄のような決意が込められていた。


「我が国は長年、ロシア帝国、ナチス・ドイツ、そしてソ連の圧政を耐えてきました。特にソビエト連邦の時代――自由という言葉が最も遠い存在だった」


彼の隣に座るチェコ代表が、静かに続ける。


「…社会主義体制が、なぜ自由を恐れるのか。それは、真実が暴かれることを恐れているからです。真実を語る者たちが自由に発言し、人民が判断する世界では、彼らの支配は成り立たない」


彼は一拍おいて、幻想郷の住人たちに向かって語る。


「幻想郷の皆さん。あなた方がこの地でどれほど平穏に暮らしていたとしても、“自由の象徴”であるならば、専制国家はあなた方の存在そのものを脅威と見なすでしょう」


アリス、霊夢、魔理沙――そしてそこにいた多くの幻想郷の民が静かに頷いた。

彼らの言葉は理屈ではなく、“経験から来る実感”だった。


「だからこそ、幻想郷がどこに立つかを、慎重に選んでほしい」


【外の世界:中国・新型第六世代機の配備】


その頃、地球の裏側――中国沿岸部、広東省の軍用基地では、ある機体が夜の闇に紛れて滑走路を滑っていた。


鋭く尖った機首、熱光抑制機能を備えたエンジンノズル。

第6世代ステルス戦闘機「J-36」『J-35』『J-50」――。


情報はすでにNATO諜報部やCIAに届いており、

ホワイトハウスでは関係者たちがその性能分析に追われていた。


「ステルス機…?AI機能搭載…?」

「まさか、もう運用試験段階か…」


NATO本部でも対策会議が開かれ、ドイツのラムシュタイン基地では即応部隊の演習規模が拡大された。

幻想郷との交信は続いているが、それはまるで“幻想世界”ではなく“新たな前線”になりつつあった。


【幻想郷:紅魔館・会談の終わりと新たな始まり】

『それでは…本日はどうもありがとうございました』

お礼を言って韓国代表団は車に乗って宿泊所に向かった


「皆の話を聞いて、確かに感じたわ…」

霊夢が目を閉じて言う。


「幻想郷は、何も知らずにここに来た彼らに対して、何かを問う必要があるのかもね。私たちが、どうやってこの世界と付き合っていくのかを」


すると、魔理沙が笑って応じる。


「付き合い方ってのは、こっちの魔法もあっちの科学も、まずは“腹割って話す”ってとこから始まるんじゃないか?」


その言葉に、小さな笑みを浮かべた。会談に緊張は残っていたが、確実に“交流”の第一歩が始まっていた。


そして紅魔館の外では、各国の軍用車や特殊車両が往来し始め、幻想郷が“世界に見つかってしまった”という現実が、ゆっくりと広がっていく。軍事的緊張は外だけではなく中からも広がっている


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