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【郷土防衛隊:始まりと歩み】


――博麗神社・仮設作戦本部

 梅雨の終わりを告げる湿った風が、境内に貼られた迷彩ネットを揺らした。かつて神職の祈祷と祭事の場であったこの神社は、今や小隊規模の防衛部隊の拠点となりつつある。霊夢は汗ばむ制服の襟を引き、地図の上に視線を落とした。


「各地の拠点に装備品が配られ始めたわ。河童の開発班と防衛装備庁、すごいスピードでやってるのね」


 隣に立つ朝田三佐はうなずいた。


「旧装備の再整備ですからな。眠っていた資産が今、命を吹き返している」


――納入装備品の数々

 幻想郷の山中で再稼働された「旧陸自装備」は、実戦用というより**幻想郷の地形・戦力規模に適応した“現地改良型”**として再構築されていた。


61式戦車改(Kappa-M1)

 河童の技術でレーダー装置と軽量装甲を強化した新生レトロタンク。熱量管理装置は永琳の協力で改良され、短期戦向きの機動戦仕様。

60式装甲車改

 主に里部防衛に配備。低速ながら高い信頼性と整備性を誇る。隊員からは「ナマズ」と呼ばれ親しまれている。

73式中型トラック改(幻想仕様)

 いすゞおよび三菱の技術協力で、燃料効率とメンテナンス性を向上。中には電気モーターを併用したハイブリッド仕様も。

汎用戦術車両

 サファリ・ランクル・ハイラックス・トライトンなど、日本メーカー製の市販ベース車両が、簡易装甲と通信装置を搭載して部隊の生命線となる。山岳・林道対応型。

――演習場・霧雨魔理沙の試乗

「こいつが、74式戦車か……!? すっげぇ重い音! でも意外と素直に動くんだな」


 魔理沙は74式の操縦席に座り、満足げに唸った。河童たちが作った油圧補助装置により、操縦には多少の経験も必要となるが、それはむしろ安定した性能を誇る


 咲夜はその光景を冷静に見つめ、手元の戦術教範に視線を落とした。


「時間停止能力は……射撃演習では制限対象。まあ、フェアに戦えということでしょうね」


――防衛教範と戦術理念

 数百ページに及ぶ「幻想郷郷土防衛教範 第一稿」は、

中谷防衛大臣・南雲司令・吉田幕僚長・山森一佐・朝田三佐・自衛隊戦術幕僚、さらに妖怪・天人らの意見を集約したものであり、その構成は次のようになっていた。


第1章:幻想郷戦闘地形分析(博麗神社・妖怪の山・地底など)

第2章:人妖混合部隊の運用(魔力兵器・通常火器の調整)

第3章:部隊構成と指揮系統(小隊―中隊―拠点単位)

第4章:補給と兵站(妖精物流・カッパ技術・月都素材協力)

第5章:緊急時対応(人間村避難経路・各方面連絡管制)

 これにより、防衛隊は単なる即席部隊から「体系的な軍事組織」へと昇華されていく。


■共同部隊の創設:異種混合戦力へ


 やがて、咲夜を隊長とする「紅魔歩兵小隊」、早苗と諏訪子の「神域観測中隊」、アリスの「魔法火力支援分隊」などが編成されていく。


●咲夜隊長「紅魔歩兵小隊」

 ・人間+吸血鬼勢力による精鋭軽歩兵

 ・夜間行動に特化、ナイフ格闘・短機関銃・時間操作下での奇襲演習を実施・コマンドー部隊


●早苗・諏訪子「神域観測中隊」

 ・神霊レーダーと地形データに基づく情報部門

 ・神社バックアップの指揮管制要素を備える

後方観測部隊

●アリス「魔法火力支援分隊」

 ・自律型魔力人形(小火器装備)を多数運用

 ・魔法と銃火器の融合で、都市戦闘で絶大な効果を持つ


――防衛は、希望か戦争か

 夕暮れの博麗神社、霊夢は古びた61式戦車の傍に立ち、目を細めた。


「これが……幻想郷を守るための“力”なんだね」


 隣に立つ朝田は小さく頷く。


「ですが、力は使い方を誤れば争いを呼びます。あなた方に託すのは“責任”です。

この力で誰かを救うのか、あるいは争うのか……それは、あなた方の覚悟にかかっている」

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