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【仄暗いバンカーから】

幻想郷防衛隊が創設される前にマクファーソン准将達が伝えた現実です

幻想郷側に辛く暗い現実をあえて教えています


録音係:「……録音、開始します。マイク、オン」


マクファーソン准将アメリカ

「真実を話そう。世界は、常に戦争で成り立ってきた。

湾岸戦争、イラク、アフガニスタン……次はどこだ?」

「地球資源。石油、希少金属、食料、水……。

それを奪った者が、次の“秩序”を定める。それが世界のルールだ」


シュルツ中佐ドイツ

「平和を望まぬ者はいない。だが……若い世代の中には、戦場に浪漫を感じる者すらいる。

“祖国のために戦う”という理想と、“自分だけの戦争”に酔う者がいる限り、我々は一枚岩にはなれない」


ナイジェル中佐イギリス

「この世は、憎悪と報復で構成されている。

テロリズムは……その最たる証明だ。

やつらは過去に囚われ、吹き荒れるグローバリズムの嵐の中で、ただ怒りを撒き散らす」


ニコ中佐(ジョージア軍)

「“真実”は……常に表裏一体だ。

メディアが語る真実は、誰かの都合で切り取られた“物語”に過ぎない」

「その裏には、記録されず、語られず、葬られた現実がある」


(壁のモニターに走るテロップ)

【ロシア、ウクライナ東部で化学兵器使用か】

【イラクに大量破壊兵器の証拠は見つからず】

【アメリカ軍、レアアース利権を確保】

【ロシアはクリミアを併合】

【シリアに向けアメリカ軍は巡航ミサイルで攻撃か?】


アレン少佐アメリカ

「……世の中に“潔白”など存在しません。

何が正しく、何が間違っているかを決めるのは、常に勝者の都合です」


【イスラエル、戦略核を“存在しない”と主張】

【日本、経済依存の深刻化…事実上中国の“衛星国家”に?】


ラミレス大尉

「……知りたいか? 俺たちが何をしてきたのか。

だったらアフリカに行くといい。(コンゴ)(ナイジェリア)の臭いで、目が覚めるだろうよ」


(その言葉を聞いた霊夢たちが沈黙する)

霊夢(小声)「……これが、外の世界……?」





(機械音と共に、録音は続行中。部屋の照明は薄暗く、ノイズ混じりのモニターが断続的に世界の断片を映し出している)


パク大尉(大韓民国)

「……何事も“綺麗”には終わらない。戦争も、外交も、正義も。

必ずどこかに泥がつく。

それでも前に進まねば、国は、崩れる」


霊夢(戸惑いながら)

「でも……それって、本当に守るって言えるの? 汚れた手で……何かを?」


ディミトリ少佐ロシア

(静かに、だが重く)

「……君たちは、知るべきだ。

世界の真実を“知らずに生きる”ことは幸せかもしれない。だが、知らなければ誰かがまた殺される」


ディミトリ(続けて)

「かつて我々は、アフガンで“自由”を守ると言いながら、兵士を送り込み、村を焼いた。

チェチェンでは“統一”の名の下に、対話より先に爆撃があった。

……そして今、また違う理由で兵士が送られる」


【CNN:NEWS】

【コソボ空爆“平和維持”の名の下で行われた空爆 民間死者2,000人】

【ロシア、ウクライナ南部に新型戦術兵器(FOAB)使用か】

【国連決議はまたしても機能せず……】


魔理沙(怒気まじりに)

「ふざけるなよ。正義って……そんな都合よく使うもんか?

あたしら、何のために戦ってたんだよ」


アレン少佐アメリカ

(わずかに目を伏せ)

「……それは、俺たちにも問われてる。

正義を語るなら、自分が何をしたのかも語らねばならない」


シュルツ中佐(ドイツ連邦)

「“正義”は主観的な言葉だ。

……そして、主観には必ず“敵”が必要になる。

君たちの“妖怪退治”と、俺たちの“対テロ作戦”、似てると思わないか?」


(霊夢が小さく息を飲む)

霊夢「……じゃあ、あたしは誰かを“消す”ことで、秩序を保ってるだけってこと?」


ディミトリ少佐

「そうだ。だが、それが必要な時もある。

……必要なのは、“自分がやったことを忘れない”ことだ」


【モニターには映像】

シリア内戦→ 黒焦げの瓦礫、泣き叫ぶ子供。

第2次チェチェン紛争→ 兵士たちの銃口、爆炎の中の影。

ボスニア内戦→ 握手する外交官たちの笑顔と、その裏で揺れる遺体袋。


パク大尉(最後に、低く)

「幻想郷が“楽園”なら、どうかそれを守ってくれ。

俺たちのように、誰かを踏み台にして作られた国にしないでほしい」


(長い沈黙。録音装置のランプが消える)


魔理沙『現実は非情ってわけか……』

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