表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/218

【鷲ノ巣:コンクリート要塞へようこそ】


コンクリートの重厚な扉が開いた瞬間、空気が変わった。

霊夢、魔理沙、早苗、妖夢、イナバたちは、突入用装備を身に着け、銃を構えていた。


「突入班、行け!行け!前進!」

アレン少佐の声がヘッドセットを通して響く。


一瞬の沈黙。


次の瞬間――


ロシア兵「敵です!侵入を確認!」

無線の中からロシア語が混じった怒声が響いた。


「ようこそ、同志少女たちよ……我が“鷲ノ巣”へ!」

マルコフ大佐の低く重い声がスピーカーから流れ、空気が凍りついた。


「総員に告ぐ!彼女達を歓迎してやれ!全員戦闘配置!」

ハルコフ大佐の叫びとともに、建物内で銃声が轟いた。


【鷲ノ巣の防衛者たち】


自由ロシア軍が即座に行動を開始する。


「ジャガーノート部隊、配置につけ!」

ディミトリ少佐の命令で、黒く重厚な耐爆スーツに包まれた重装兵たちが動き出す。

それは、PKM・RPK・RPD軽機関銃を抱え、厚い装甲をまとったまさに“歩く要塞”だった。


「敵の視覚を欺く。アメリカ兵に偽装しろ」

ニコ中佐が指示を飛ばし、数名の兵士たちがアメリカ軍のユニフォームを身に纏い、扉の向こうで待ち構えていた。


「配置完了!」

ミハイル中尉が叫ぶ。


霊夢たちは何も知らず、第一の部屋に突入する――


【突入と混乱】


「右、クリア!」「前方、ドア確認!」「魔理沙、グレネード!」


一瞬の沈黙の後――


「撃て!!」

ウォルコフ少佐の怒声と共に、AK104をはじめとする

銃火が走る。


「撃ってきたっ!?」

霊夢が叫び、反射的に遮蔽物へ身を投げた。


魔理沙が煙幕弾を投げ込み、視界が真っ白になる中、壁を背にして交戦が続く。


「味方の装備…!?あれ、アメリカ兵の格好……!?」

イナバが戸惑いを隠せない。直後、敵兵がPKMを乱射してきた。


「くそっ!偽装かっ!」

妖夢が斬り込むが、ジャガーノート部隊の装甲に剣が通らない。


「なんて防御力だ…!」

早苗の顔が青ざめた瞬間、マルコフ大佐の声が上から聞こえた。


「xaxa!楽しいかね?同志達よ!これが我が“鷲ノ巣”の洗礼だ!大歓迎してやろう!」


【制圧完了、そして静寂】


30分後、訓練終了のホイッスルが鳴り響く。


銃を下ろし、全身汗だくの少女たちが壁にもたれかかる。

ガム弾の痕がアーマーに幾つも残されていた。


ナイジェル中佐が手を叩きながら現れる。


「諸君、お疲れ様!初戦にしては悪くないぞ!

実戦形式での混乱、敵の偽装、重装兵の対応――全てが君たちを鍛える。

この経験は何にも代えがたい。今後は自衛隊との合同訓練も予定している。しっかり準備してくれ!」


アレン少佐も苦笑を浮かべながらうなずいた。


「本当によく頑張りました。初めてでこの対応は立派ですよ」


霊夢は肩で息をしながら、汗を拭った。


「……はあ、はあ……こんなにも……屋内戦って難しいなんて……」


魔理沙はPKMを思い出して顔を引きつらせる。


「ありゃチートだよ。あんな連中、ゲームのボスキャラ(MW・TARKOV・BF)かっての」


妖夢がうつむく。


「油断しました……“敵が味方の装備を使う”なんて、考えてませんでした」


イナバは真剣な表情で言う。


「戦場では、味方の姿をした敵がいることを前提に動かなくてはならないのですね……」


【幻想郷・妖怪の山】


妖怪の山。演習の観測映像を見ていた華扇は、腕を組んだまま頷いた。


「これが、“守るために戦う”という意味なのですね……戦いを忌避することと、目を逸らすことは違う」


萃香は酒瓶を傾けながら笑った。


「面白くなってきたじゃない。こういうの、嫌いじゃないよ」


勇儀は映像のジャガーノート部隊を見て目を輝かせる。


「あのでっかい銃……PKMってやつ、私も扱ってみたいなぁ。志願できるのか?」


【月の都・作戦会議室】


月の都、戦術管制区画。

八意サグメはホログラフを見つめ、無言のまま思案していた。


「彼女たちは、“外の理”を取り入れつつある」と言ったのは綿月依姫。


「幻想郷が軍事訓練場になりつつあるわ。これは放置できない」


レイセンがそっと声をかける。


「でも……彼女たちが学んでいるのは“侵略”じゃなくて、“守る力”です。私はそれを見ていて感じました」


依姫は、ホログラムに映る霊夢たちの疲れた姿を見つめながら小さく息を吐いた。


「……ならば、私たちも見極めるべきですね。幻想郷が変わるというなら、その先を……」


サグメが静かに頷いた。


「観測は継続します。判断は、まだ早い」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ