表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
156/218

【幻想の盾】


◆ 幻想郷・博麗神社会議場 ― 幻想郷議会 特別防衛審議会

博麗神社に設けられた仮設の議場には、各勢力の代表や住民たち、外の世界からの招待者らが集まっていた。議題はただ一つ――幻想郷郷土防衛隊の創設。


南雲統合本部司令(厳しい表情で演台に立ち)

「皆さん、我々はあなた方の独立を支援する意志を持ってここに来ています。しかし、最終的にこの幻想郷を守るのは――あなた方自身です!

どれだけ多くの支援や協力があっても、最後の一線を越えるのは自らの意志と力なのです」


場内に緊張が走る。


東部方面隊総監

「我が国、日本もかつて戦争に敗れ、軍を解体されました。…ですが、冷戦の中で我々は再び“自衛”の名のもとに立ち上がりました。自由を守るためには、備えが必要です。これは歴史が示している現実です」


吉田統幕長(穏やかな口調で)

「皆さんには理解していただきたい。“守ること”と“戦うこと”は同じではありません。

自衛とは、あなた方の暮らし、信念、文化――それらを破壊から遠ざける努力です。我々はその覚悟を持って、ここに来ました」


◆ 幻想郷住民たちの葛藤

場内後方、壇上に立たされた霊夢は黙っていた。マイクを見つめたまま、やがてゆっくりと語り始める。


霊夢(静かに)

「……本当に、こんな組織が必要なのかしら。防衛隊? 武器? 私たちは“弾幕ごっこ”で十分じゃなかったの?」


会場内がざわつく。そんな中、隣にいた早苗が一歩前へ出た。


早苗(真剣な眼差しで)

「霊夢さんのお気持ちは、痛いほどわかります。……でも、私は外の世界から来た身。

その外の世界では、言葉が通じない相手や、力を信仰する存在があまりにも多いのです。

吉田統幕長や南雲司令が語った通り――理屈の通らない暴力に備える力が必要なんです」


続いて、朝田三佐が静かに立ち上がる。


◆ 朝田三佐の言葉 ― 自衛官としての誇り

朝田三佐(ゆっくり、霊夢の方を見つめながら)

「霊夢さん。あなたの葛藤……よくわかります。

“二度と戦争をしない”という誓いの中で、私たち自衛隊は存在している。

武器を持っている。それは矛盾しているようで、私たちが背負った重い選択の証なんです」


「もし、私たちがすべての武器を手放せば――仮想敵国やテロリストはどう動くでしょうか?

おそらく、我が国の島々は――そして国民は――危機にさらされるでしょう。

それを防ぐために、我々は日々訓練し、備え、誰かの代わりに最初に立つ覚悟を持っているんです」


「でも――幻想郷を本当に守れるのは、私たちではありません。ここに住む、あなた方の意志と力なのです。

我々は支援します。可能な限りの協力を惜しみません。でも、“最終防衛線”は、あなたの背後ではなく――あなたの中にあるのです」


霊夢は沈黙し、目を伏せる。しかしその眼差しは、明らかに変わっていた。


霊夢(深く息を吐き)

「……わかった。誰かが守るだけじゃ駄目なのね。

幻想郷が独立したというなら――それを守る覚悟も、持たなきゃならないってことね」


◆ 幻想郷郷土防衛隊:構成案(草案)


部門人員構成主な任務備考

指揮部博麗霊夢(象徴的リーダー)、八雲紫(戦略顧問)、元自衛官の指導者総合指揮・政策決定幻想郷議会の監視下に置かれる

技術開発部河童(技術担当)、文々。新聞通信部武器・通信・監視システム開発河童技術とNATO支援技術の融合

精鋭戦闘部隊妖怪・仙人・能力者(魔理沙、早苗、華扇等)対外武装勢力への初動対応専門訓練プログラムに基づく運用

防災・警備部人間の里の志願者、元衛士内部治安維持、災害対応自衛官経験者の指導を受ける

◆ 幻想郷住民による住民投票(賛否投票)

博麗神社・人間の里・妖怪の山・地底・地霊殿など、各主要地域で投票所が設置される。


河童たちは「技術の発展と保護のため」に積極的賛成。

天狗の中には「外の軍事に巻き込まれる」として反対派も出る。

人間の里では意見が割れ、「戦うために武器を持つのか、それとも守るために持つのか」で討論会が開かれる。

結果:僅差で賛成多数(約62%)で可決


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ