【幻想の盾】
◆ 幻想郷・博麗神社会議場 ― 幻想郷議会 特別防衛審議会
博麗神社に設けられた仮設の議場には、各勢力の代表や住民たち、外の世界からの招待者らが集まっていた。議題はただ一つ――幻想郷郷土防衛隊の創設。
南雲統合本部司令(厳しい表情で演台に立ち)
「皆さん、我々はあなた方の独立を支援する意志を持ってここに来ています。しかし、最終的にこの幻想郷を守るのは――あなた方自身です!
どれだけ多くの支援や協力があっても、最後の一線を越えるのは自らの意志と力なのです」
場内に緊張が走る。
東部方面隊総監
「我が国、日本もかつて戦争に敗れ、軍を解体されました。…ですが、冷戦の中で我々は再び“自衛”の名のもとに立ち上がりました。自由を守るためには、備えが必要です。これは歴史が示している現実です」
吉田統幕長(穏やかな口調で)
「皆さんには理解していただきたい。“守ること”と“戦うこと”は同じではありません。
自衛とは、あなた方の暮らし、信念、文化――それらを破壊から遠ざける努力です。我々はその覚悟を持って、ここに来ました」
◆ 幻想郷住民たちの葛藤
場内後方、壇上に立たされた霊夢は黙っていた。マイクを見つめたまま、やがてゆっくりと語り始める。
霊夢(静かに)
「……本当に、こんな組織が必要なのかしら。防衛隊? 武器? 私たちは“弾幕ごっこ”で十分じゃなかったの?」
会場内がざわつく。そんな中、隣にいた早苗が一歩前へ出た。
早苗(真剣な眼差しで)
「霊夢さんのお気持ちは、痛いほどわかります。……でも、私は外の世界から来た身。
その外の世界では、言葉が通じない相手や、力を信仰する存在があまりにも多いのです。
吉田統幕長や南雲司令が語った通り――理屈の通らない暴力に備える力が必要なんです」
続いて、朝田三佐が静かに立ち上がる。
◆ 朝田三佐の言葉 ― 自衛官としての誇り
朝田三佐(ゆっくり、霊夢の方を見つめながら)
「霊夢さん。あなたの葛藤……よくわかります。
“二度と戦争をしない”という誓いの中で、私たち自衛隊は存在している。
武器を持っている。それは矛盾しているようで、私たちが背負った重い選択の証なんです」
「もし、私たちがすべての武器を手放せば――仮想敵国やテロリストはどう動くでしょうか?
おそらく、我が国の島々は――そして国民は――危機にさらされるでしょう。
それを防ぐために、我々は日々訓練し、備え、誰かの代わりに最初に立つ覚悟を持っているんです」
「でも――幻想郷を本当に守れるのは、私たちではありません。ここに住む、あなた方の意志と力なのです。
我々は支援します。可能な限りの協力を惜しみません。でも、“最終防衛線”は、あなたの背後ではなく――あなたの中にあるのです」
霊夢は沈黙し、目を伏せる。しかしその眼差しは、明らかに変わっていた。
霊夢(深く息を吐き)
「……わかった。誰かが守るだけじゃ駄目なのね。
幻想郷が独立したというなら――それを守る覚悟も、持たなきゃならないってことね」
◆ 幻想郷郷土防衛隊:構成案(草案)
部門人員構成主な任務備考
指揮部博麗霊夢(象徴的リーダー)、八雲紫(戦略顧問)、元自衛官の指導者総合指揮・政策決定幻想郷議会の監視下に置かれる
技術開発部河童(技術担当)、文々。新聞通信部武器・通信・監視システム開発河童技術とNATO支援技術の融合
精鋭戦闘部隊妖怪・仙人・能力者(魔理沙、早苗、華扇等)対外武装勢力への初動対応専門訓練プログラムに基づく運用
防災・警備部人間の里の志願者、元衛士内部治安維持、災害対応自衛官経験者の指導を受ける
◆ 幻想郷住民による住民投票(賛否投票)
博麗神社・人間の里・妖怪の山・地底・地霊殿など、各主要地域で投票所が設置される。
河童たちは「技術の発展と保護のため」に積極的賛成。
天狗の中には「外の軍事に巻き込まれる」として反対派も出る。
人間の里では意見が割れ、「戦うために武器を持つのか、それとも守るために持つのか」で討論会が開かれる。
結果:僅差で賛成多数(約62%)で可決