第83章:【自由を守る覚悟
◆ 幻想郷・博麗神社 特設会議テント内
博麗神社の境内に仮設された会議テント。中には幻想郷側の代表たちと、自衛隊・NATOの高官たちが集まっていた。テーブルの中央には、“幻想郷郷土防衛隊”創設案の資料が置かれている。
マクファーソン准将(静かに立ち上がり、全体を見渡す)
「……幻想郷が今後、外の世界との関係を築きながら生きていくためには――“自らを守る力”を備えなければならない。
私たちが常にあなた方を守れるわけではない。だからこそ、提案させていただきたい。**『郷土防衛隊』**の創設を」
場が静まり返る。霊夢や魔理沙、紫も目を見合わせる。
マクファーソン准将(資料を示しながら続ける)
「これは、かつて我が国が日本に対して提案した“警察予備隊”と同じ原則に基づくものだ。日本が独立と主権を回復していく過程で、自らの力で国を守る意志を形にした組織。それと同じだ」
◆ 幻想郷住人たちの反応
霊夢(眉をひそめて)
「自分たちで……防衛隊? 妖怪退治はしてるけど、それと同じってこと?」
マクファーソン
「その延長線上にある、とも言える。だが、これは“外の脅威”に備える力でもある。妖怪や神の力も強い。しかし――外の世界の“組織的な武力”には、別の準備が必要だ」
そのとき、一人の屈強な男が前に出る。アメリカ海兵隊・アルフレッド大佐。
彼は濃い口ひげを揺らしながら力強い声で語り始めた。
◆ アッシュフォード大佐の演説
アッシュフォード大佐
「幻想郷の皆さん――あなたたちは、今、“自由”を手に入れようとしている。だが、覚えておいてくれ。
自由は与えられるものではない。」
(拳を握りしめて)
「勝ち取り、守り抜かなければ……やがて誰かに奪われる。」
(沈黙。皆が息を呑む)
「かつて、我が国もそうだった。イギリスの植民地として長い間支配されていた。
だが我々の先祖は立ち上がり、血を流して独立を勝ち取ったんだ。
そのとき“自分の国を守るための武力”を持たなければ――世界の誰にも相手にされなかっただろう」
魔理沙(真剣な目で)
「……つまり、“舐められる”ってことか。口だけじゃだめなんだな」
アッシュフォード大佐(頷いて)
「その通り。力は、対話の前提だ。“力がなければ、話し合いの場にさえ立てない”。幻想郷の未来を、お前たち自身の手で守る覚悟があるなら――我々は全面的に支援する」
◆ 国際的な反応と冗談交じりのやり取り
静まり返った場に、やや皮肉っぽく肩をすくめる男が一人。
ナイジェル中佐(イギリス陸軍)
「……ん? それって……遠回しに我が国のことを非難されたような気がするな」
スターリング少佐『あっ……』
(場が一瞬凍る)
ベトナム代表(無言で視線を外しながら)
「…………(複雑な表情)」
インドネシア代表(苦笑しながら肩をすくめ)
「まあ、歴史というのはいつだって……皮肉に満ちているものです」
(場が少し和む)
マクファーソン准将
「歴史の重みを否定はしない。ただ、未来は今ここにいる皆で創るものだ――幻想郷が、自ら立つ意志を持つのなら」
◆ 幻想郷側の決意
八雲紫(静かに頷いて)
「……わかりました。“幻想郷郷土防衛隊”――その案、検討しましょう。外の世界と手を取りながらも、幻想郷は幻想郷のままであるために」
藍(紫の隣で)
「それが“独立”ということなのでしょうね……」