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【幻想に意思ありー投票という革命】


◆ 1. 幻想郷「国民投票」前夜:混乱と啓発

幻想郷の中央に設けられた仮設掲示場には、三つの選択肢が張り出されている。


【A】幻想郷は日本国内の「特別自治区域」となる

【B】幻想郷は「中立的地域」として国際的な承認を目指す

【C】幻想郷は現状を維持し、いかなる法的枠組みにも属さない

住人たちの会話が飛び交う。


チルノ「中立ってことは、誰の言うことも聞かなくていいってこと? それって最強じゃん!」


慧音「……いいえ、“何も属さない”ということは、“誰も守ってくれない”ということでもあります」


魔理沙「うーん……票なんて、どうやって入れるんだ? それに、誰に相談すりゃいいんだよ」


阿求「ですから、まず“これは未来を決めるための儀式”なんです。分からないなら、学びましょう」


【幻想郷内ラジオ局「幻波放送」】が啓発活動を開始。阿求・慧音・天子らが出演し、投票の意味、権利と責任を住民たちに語る。


◆ 2. 投票所の光景:静かな熱気

投票日、幻想郷内に10か所設置された仮設投票所には、珍しく外の世界から視察団も派遣されていた。

天界からも比那名居天子が臨時委員として立ち合い、風見幽香が花を撒く中、投票が始まる。


椛(票を手に、呟く)

「これが……“国を選ぶ”ってことか……」


アリス(魔理沙と並んで)

「私は“幻想郷らしさ”を守る選択をするつもり。でも、それが何か、まだ怖くて分からない……」


霊夢(神社の片隅で)

「……博麗の巫女が“政治”に関わるなんて……。でも、放っておけないのよね。あたしたちのことだから」


投票率は想定を上回る85%に達し、老若妖問わず住人たちは静かに列をなす。


◆ 3. 開票結果と幻想郷の意思

結果発表:


【A】日本の特別自治区域:19%

【B】中立的地域としての承認を目指す:68%

【C】現状維持:13%

幻想郷住民の大多数が「中立的地域としての承認」を選んだ。


阿求「これは、“国”ではない。でも、“外”でもない。

私たちは幻想でありながら、世界と向き合うことを選んだんです」


◆ 4. 国際的承認と「幻想郷圏」構想

数日後、日本政府とアメリカ政府が共同声明を発表。


ハリス駐日大使(公式記者会見)

「アメリカ政府は、幻想郷圏を“文化的・歴史的に独立した地域”と認識し、すべての政治的意思決定を幻想郷住民に委ねるべきと考えています。これは地域の安定と文化保全に資する枠組みです」


日本外務大臣

「我が国は幻想郷を日本領内に存在する“特別非編入地域圏”として承認します。そのうえで、幻想郷の文化・独自性を最大限尊重し、全ての法的協議は幻想郷側の合意のもとに進めます」


◆ 5. 「幻想郷地位協定」・「防衛協定」締結

幻想郷地位協定(Gensokyo Status Agreement)概要


幻想郷は独自の法制度と行政権を有し、日本国内法の一部は非適用

外交・防衛・対外情報収集に関しては幻想郷代表機関との合意が必要

犯罪・事件発生時の管轄権については日幻想合同委員会にて調整

幻想郷防衛協定(Gensokyo Defense Pact)概要


幻想郷への外部攻撃・テロ・侵略行為が発生した際、日本国自衛隊は幻想郷の要請を受けて防衛出動が可能

幻想郷代表機関との定期協議と連絡体制の構築

自衛隊は幻想郷内での駐留基地を設けないが、臨時展開・人道支援は例外として可能

◆ 6. 綿月依姫と紫の対話(地球圏への信頼)

紫「……世界の誰も、幻想郷を理解しきれはしない。でも、彼らがここまで耳を傾けたのは事実よ」


綿月依姫「それは……幻想郷が初めて、外の世界に“声”を発したからです。

そしてその声を、数か国が真摯に受け止めた。ならば、私たちは歩むしかありません――幻想の未来を、私たち自身で決めるために」


◆章末ナレーション

幻想郷は“国家”ではない。だが、“意志”を持った「地域」として――世界に認められた。

争いを拒むという意志、そして幻想という文化を守るという選択。


それは、壁を築くことではなく。

初めて“門”をつくるということだった。


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