ペルシアの亡霊:そして真実は時に嘘をつく
『アルージャ号爆沈、イラン軍、全乗員を救助と発表』
──BBC中東支局、電文
『革命防衛隊所属空母“バゲリ”、救援活動を実施』
──タスニム通信社、現地レポート
『シドラ湾の再来は避けられた』
──ニューヨーク・タイムズ社説
作戦司令室・幻想郷前線基地「シエラ・デルタ」
暗い室内にモニターの青い光が灯る中、マクファーソン准将は椅子にもたれ、英語とペルシャ語が交じった報道映像を眺めていた。
マクファーソン准将「……イラン軍が救助した? ふざけるな。あの対艦ミサイルの発射映像は、明らかに編集ソフトで画像処理され削除されていた。SEALのヘルメットカメラがなければ、我々が発砲したことにされていたぞ」
アレン少佐(苦笑しながら)「まるで**“真実”が先に嘘をついたような報道**ですね」
マクファーソン准将「ああ……真実は時に嘘をつく、か。
…だが“戦争の匂い”だけは、どこかに必ず残る。
ペルシア湾に再び火が灯る日は近いかもしれんな……」
スターリング少佐(英軍)「幸運にも、あれが“第二次シドラ湾事件”にはなりませんでしたね。
ですが皮肉なことに、付近の海中には**バージニア級
原子力潜水艦“USS アイオワ”“USS ミズーリ”**が展開していましたよ。撃てば、間違いなく報復されたでしょう」
マクファーソン准将「それも運命のいたずらか……
アイオワ、ミズーリ、ウィスコンシン、ニュージャージー……かつての“ビッグガン”が中東で火を噴いたあの日の亡霊が、ここにも立ち上がったというわけだ」
アレン少佐「我々は、戦争の回避に成功したんでしょうか。それとも……戦争の先延ばしをしただけなんでしょうか」
マクファーソンは答えず、ただ、報道映像に映ったバゲリの艦影を見つめていた。
「第二次シドラ湾事件」…1989年、リビア海軍との交戦。米軍はF/A-18による攻撃で勝利。
「ペルシア湾事件」…1987~88年、イラン・イラク戦争の影響で米艦が機雷や攻撃を受けた。イラン航空655便の撃墜も発生。
→それらとアルージャ号事件が重ねられ、「報復寸前で止まった冷戦再演」として描かれている。
「バゲリ」の無人機は幻想郷への航行ルートを調査していた。
アルージャ号に積載されていたのは、2k12地対空ミサイル システム・UAZ-469・BMP-1などをはじめとする旧ソ連製兵器と極少数のイラン製兵器群
紫は「このままでは幻想郷の結界が内側から裂ける」と警告。
アレン少佐は、**レーダーに映らない“もう一隻の船影”**を発見する──それはロシアの新型艦"デルジキイと酷似していた。