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【幻想郷の決断】


――幻想郷・霧の湖南岸・仮設連絡庁舎

以前の幻想郷に突如現れたイラン人貿易商や、銃火器の拡散、ベラルーシ陰謀網、FSBの介入――

一連の騒乱が収束を見せたその日、八雲紫と彼女に連なる「境界管理勢力」と、米国・日本・NATO代表団との最終的な協議が行われていた。


「……これ以上、幻想郷を武力の迷宮にしないために。

私たちも“責任”を取らなければならないのよ」

そう語る紫の前で、日本政府代表である防衛大臣・中谷元が言葉を繋げた。


「我が国としても、ここ幻想郷において一定の平和維持的プレゼンスを維持する必要があると判断しています。

だがそれは、駐留という形ではなく、共存と協調の基盤上に立つものです」

続けて、アメリカ国防総省代表のバローズ国務次官補が重々しく発言する。


「幻想郷は、もはや地政学的“空白”ではない。

我々西側諸国は、責任ある行動を誓う。

よって、以下を提案する」

バローズが示したのは、「共同安全保障協定案 - GCPA(Gensokyo Cooperative Peace Agreement)」。


その内容は以下の通りである:


【GCPA主要項目】

幻想郷への武力の無制限持ち込みを全面禁止

幻想郷内での武力使用には“幻想郷評議会”の承認が必要

日本・米国・NATO・FOGL部隊を含む限定的“防衛駐留”を容認

幻想郷・西部山岳地帯に多国籍合同基地(通称:シエラ・デルタ)を建設

幻想郷住民(妖怪・人間・精霊)から選ばれる代表団と外部国家との“定期対話機構”の創設

八雲紫を幻想郷側外交顧問とする

紫は静かに目を伏せた。


「幻想郷に、“軍靴”を残すことになるのよ……それでも」

霊夢が隣で口を開いた。


「でももう知ってしまったんだよ、私たちは。

外の世界の“影”を。

見て見ぬふりは、もうできない」

――数日後:幻想郷・西部外縁・高原地帯

多国籍合同軍事施設「シエラ・デルタ基地」が、建設を開始した。

その規模はシュパングダーレム米空軍基地に準じ、以下の要素を持つ。


【シエラ・デルタ基地概要】  

運用国:日本・米国・NATO(英・独・ポーランド・ウクライナ・ジョージア他)

施設種別:

滑走路(MV-22をはじめとしたVTOL対応、主にMQ-9無人機運用)

情報通信センター(防衛省・NATO GCS共同運用)

駐屯エリア(自衛隊普通科連隊・米陸軍歩兵中隊・NATO連絡官班)

医療施設(永琳の協力によるハイブリッド対応)

“幻想郷調査機関”(パチュリー・アリス・慧音らによる民間調整機関)

紫は遠くから、その建設現場を見つめていた。


傍にいた藍が問う。


「これが……幻想郷の未来なのでしょうか」

紫はゆっくりと答える。


「未来は境界の先にある。

私たちはそれを、“守る”んじゃない。

ちゃんと歩いて超えていかなきゃいけないのよ」

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