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【霧中の嘘】


― 幻想郷・東の警戒線近郊


戦術車列を止められたアル・ハッサンは、余裕の表情で車外に出た。


「おやおや……これはどういうことです? 国際商取引法に基づいた合法貿易業者に対して、こんな軍事的強制措置とは」


対峙するのはNATO即応調査部隊の一部、FOGL第3分隊。そして、背後からは慎重ながらも態勢を整える長野県警の特捜隊。


マクファーソン准将の命令により、車両検査が実施される。


UAZの荷台にあった「バイオシールドケース」は最新式のP4級ウイルス保管用コンテナ。中には確かに液体が入っていた。

ラベルには「Zaire Ebola Virus」と明記されている。が――


FOGL隊のケイラ軍曹が検査機器を操作して首をかしげる。


「…これは――生物反応なし。中身は、ただの医療用ブドウ糖溶液よ」


一瞬、緊張が解けるが、マクファーソン准将は即座に命じた。


「他のコンテナもすべて開けろ。スキャンだけで済ますな。この男は嘘の中に真実を仕込む。」


そうして開封された中身――そこには、精巧に偽装されたAK-74改造型模造銃が40丁、RPG-7の発射器4基、そして7.62mm弾薬と組み立て式迫撃砲が見つかる。


「すべて非発火式の“装飾用モデルガン”だと主張してるが……これ、バレルだけ差し替えれば即実弾仕様になるわ」


ケイラ軍曹が呟く。


― 作戦本部 通信回線・会議ブリーフィング


マクファーソン准将が静かに言う。


「やはり、これは“フェイク・バイオテロ”。生物兵器は囮で、本当の狙いは幻想郷内に武器を拡散し、“幻想郷の内戦構造”を作り出すことだ。」


後方からアレン少佐が分析資料を持って進み出る。


「今回のモデルガンには特定の妖怪名を刻んだタグが複数貼られていました。“博麗” “守矢” “紅魔”など……」


「やらせか……“あいつらが先に武器を持ち込んだ”と誤認させるための火種か」


「その通りです、准将。**意図的に“人間vs妖怪”の分断構造を煽っている。**最も恐ろしいのは、この作戦が“幻想郷の誰かと連携していた”可能性があること」


― 幻想郷・紅魔館 地下書庫


霊夢は、公安調査庁から渡された**“コルバフが残した記憶ファイル”**を読み解く中で、アル・ハッサンの背後に潜む真の意図にたどり着いていた。


「生物兵器は“見せ札”だった。焦点は別にある……この計画の名は、《赤い月計画》。」


その計画の概要が、電子文書で表示される。


【赤い月計画:概要】

目的:幻想郷内の複数派閥(人間・妖怪)間に軍事的な緊張と衝突を生む構造を作り出す

方法:異なる勢力に対し武器(主に旧式自動小銃・軽迫撃砲)を密かに提供

支援者:FSB・GRU・ワグネル残党・ロシア対外情報庁内の一派、イラン革命防衛隊輸出部門、ベラルーシ財閥「コロヴァ社」

最終目的:「チェチェン式内戦地帯」モデルの輸出――幻想郷の自壊と外界諸国による“管理介入”の正当化

補足:幻想郷内の“協力者”との連携により、武器の拡散・混乱の演出を補完する


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