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霧の中の蛇集団



― 幻想郷・霧の湖周辺


六月の幻想郷。

湿った霧が一面を包む中、湖の東岸に黒い列が現れた。


黒色のランドクルーザー70系、ロシア軍放出のUAZ-469、北京製ジープBJ、そしてUDトラックとハイラックスの車列。


計6両が、無言で幻想郷の旧管理道路を進む。運転席にはアラブ系、東欧系、アジア系――混成された顔ぶれがあった。


その異様な車列を見つけたのは、偶然巡回していた長野県警察・幻想郷治安支隊だった。


「こちら長野県警第2分隊、霧の湖東岸にて不審車列を発見。車両は黒色系、ナンバー不明、武装の可能性あり。確認求む」


小柄な婦警が双眼鏡で覗く。


「……先頭のランクル、フロントグリルに赤いエンブレム。これ、サウジの“ファルコン・インダストリー”社のものだわ。あの会社、貿易商として合法登録されてる……」


隊長が歯噛みする。


「全車、武装らしきものを積んでいないか?」


「あります!でも全部、**“モデルガン”**です。形式上は合法の模造銃……つまり、違法とは言い切れません」


やがて、アル・ハッサンと名乗るアラブ系の男が悠々と現れる。

白いターバンに漆黒のスーツ、にこやかな笑みで言った。


「我々は幻想郷への正規物資供給契約に基づき、合法的に入国しています。通関は陸自の第1連絡班を通じておりますよ」


長野県警の現場責任者が通信する。


「……証拠不十分につき、通行許可。後方より警戒・尾行を継続します」


― 第13情報指揮所(マクファーソン准将オペレーションルーム)


「……通しただと?」


マクファーソン准将は思わず声を荒げた。

その顔は氷のように冷たい怒気を湛えている。


「いいか、あの男は“武器と死を売る者”だ。イラン革命防衛隊と繋がり、シリアで何百人を毒ガスで殺した。アル・ハッサンは貿易商などではない。」


彼はすぐにGhost Armyに命じた。


「“ダークサイト・エコー”を展開。MQ-11レイヴンで上空からの監視を開始、各車両のコンテナと貨物室をスキャンしろ」


数分後、ドローンが車列上空に到達し、撮影・赤外線スキャンを開始した……だが。


「通信断!通信断!ドローンが墜落しました!」


オペレーターの叫びと同時に、衛星モニターがブラックアウトする。


技術将校が叫ぶ。


「電子妨害です!EMPレベルは低いですが、狙い撃ちされた模様――これは偶然じゃない!」


― 幻想郷・南部監視基地前線室


マクファーソン准将が低く呟いた。


「……あれは“黒い蛇”だ。

見逃せば、この幻想郷に“エボラ”が解き放たれる。」


彼は、**即応作戦コード“レッドセロウ”**を発動した。


「FOGL第3分隊、アル・ハッサンの車列を強制停止せよ。

護送用ブッシュマスターを展開、阻止線を敷け。必要なら特殊弾頭を用いてでも荷物を確保しろ。」


― 一方その頃、幻想郷・魔法の森隠密ルート


UAZの後部座席では、荷台の金属ケースがわずかに震えていた。


中には冷却保存状態の“ウイルス保管容器”。

小さなデジタル表示にはこう記されていた。


Zaire Ebola Virus / Host Medium: Monkey Kidney Tissue / Biosecurity: Level 4

Destination: Gensokyo / Date: 05-June-2025

運転手の男が無線機に囁いた。


「接触開始地点通過、我らが“赤い病”を幻想郷へ届ける

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