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第9章:現実世界:幻想と現実の対話」 【博麗神社・境内】

【博麗神社・境内】


鳥居の奥、小鳥の囀りが聞こえる静かな境内に、海上迷彩服の自衛官たちが12人ほど整然と整列していた。

霊夢はいつものように巫女服姿で、だが今日は少し背筋を正している。


「…で? あなたたち、自衛官さんなのよね。なんでお参りなんかしてるの?」


倉田3佐は表情を崩し柔らかく笑った。


「信仰というより、尊重です。我々はこの場所の“ルール”を学ぶ必要がある。だから、まずは形式を大事にしたいと思いまして」


一人の自衛官は言う

『理解を深めるためならその国の宗教などを理解することが大切であると思いまして』


霊夢はふっと鼻で笑いながらも、少しだけその真剣さに打たれる。


「礼儀正しいわね。最近の外の人間にしちゃ、悪くない」


すると博麗神社の狛犬こと阿吽(あうん)が小谷3尉達に差し出したのは、折りたたみ椅子と温かい緑茶。それを見た霊夢の表情が少しだけ和らぐ。


「ねぇ、自衛官って戦うだけじゃないの? どうして“守る”なんて言葉を使うの?」


「戦うことで、守らなきゃいけない人たちがいるからです。私たちは“戦争”を望んでいるわけじゃない。けれど、それが必要になる時がある」


小谷1尉の脳裏にある偉人の言葉が思い浮かんだ


"どんな兵士も反戦には変わりない、それでも戦う価値がある時がある"


霊夢は一瞬だけ黙り、空を見上げた。


「……それ、幻想郷にも言えるのよね」


【外界:首相官邸 危機管理センター】


会議室には、厳重なセキュリティの中、各国首脳級の人間が揃っていた。


内閣総理大臣:石破茂

在日米軍司令官:リッキー・R・ナーダル中将

駐日米国大使:ラーム・エマニュエル

防衛省、外務省、内閣官房の幹部数名

そこに、突如“結界を通じて”招かれたのが、八雲紫だった。


紫はどこからともなく現れ、黒い扇子で口元を隠しながら、鋭い目で室内を見渡した。


「まぁ……こうして一国の指導者たちと面会するのは久しぶりね。前回は第二次大戦後だったかしら?」


石破首相は冷静に言葉を返す。


「あなた方の存在が世界に影響を及ぼすならば、我々は無視できない。ましてや、異空間が各国で開いているとなれば、事態は重大だ」


ラーム・エマニュエル大使が補足する。


「紫殿、あなたはこの“裂け目”とやらの正体を知っているのか?」


「知っているわ。でも“知っている”というのは、時として危険なこと。知りたいというのなら、それなりの代償が必要よ?」


ナーダル中将が腕を組んで低く問いかけた。


「この空間を通じて、敵が来る可能性は?」


「あるわ。むしろ、もう来ているかもしれない。気をつけなさい。幻想郷は“夢”の形をしているけれど、“悪夢”もまた混じっているのよ」


室内の空気が凍りついた。

同伴している東部方面隊総監ら自衛隊上層部も息を呑んだ

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