オムスク計画の裏側
ロシア連邦安全保障会議 極秘地下施設
モスクワ郊外・現地時間 深夜02:14
周囲は分厚い鋼鉄の扉とEMPシールドに守られ、外部との通信も遮断された**“沈黙の室”**。その中央に立つ一人の男の影が、薄暗い青い照明の中に浮かび上がる。
ロシア連邦軍参謀総長 兼 ザリヤ計画最高責任者
ワレリー・ゲラシモフ 大将。
彼の眼前にあるホログラフには、幻想郷へ転移した第27親衛機械化歩兵連隊のデータが表示されていた。わずかに口元が緩む。
ゲラシモフ(独白)
「ようやく“空間”は開いた……」
彼はヴェルニエフ大将と共に長年ロシア軍の再建を担ってきた。しかしその目的は根本から異なっていた。
ヴェルニエフ大将:軍人としての誇り、国家の存続と安定、そして幻想郷の地理的・戦略的価値を見据えた保守的目的
ゲラシモフ大将:“審判と再構築”。幻想郷は通過点に過ぎず、西側世界そのものに裁きを下す手段として「ザリヤ」を復活・改良させた
ゲラシモフ
「我が国が追い詰められたのは、ウクライナではない。
NATOでも、経済制裁でもない。
“西側の価値観”そのものが、我々を衰退に導いたのだ。…ならば我らは、“価値の審判者”となるべきだ」
ザリヤ装置がもたらす転移データと現実干渉、その力は従来の核兵器を凌駕する兵器たりうる。敵を消すことも、現実を歪めることも可能だ。
《ザリヤ計画:ゲラシモフの真意》
ロシア連邦軍参謀総長 ゲラシモフ大将の思惑
彼の目的は幻想や現実を歪めることではない。
「物理的に現実を圧倒する」こと。
それこそが、かつて超大国と呼ばれた**“ロシアの再興”**への鍵であった。
ゲラシモフの構想:
ザリヤ装置の応用によって、自軍の兵力・装備・兵器を即座に“物理転送”
輸送機も補給も不要。瞬間的に前線に重装部隊や特殊部隊を展開可能。
軍の存在を「見せる」ことで揺さぶりをかけ、西側諸国を常時不安定化させる。
対象:西側の主要都市・拠点
ワルシャワ、ベルリン、パリ、ロンドン、ラムシュタイン基地、ノーフォーク海軍基地など。
戦車・自走砲・空挺特殊部隊などを局地転送し奇襲・破壊・攪乱を実施。
情報戦と心理戦の最大化
どこから現れるか分からない“転送軍”。西側諸国の防衛計画と信頼を崩壊させる。
NATO加盟国間の不信感を煽り、「NATOは無力」と印象づける。
幻想郷はあくまで“演習場”と“プロトタイプ空間”
異常空間内での作戦展開能力を試す、機材の耐久・兵士の心理適応訓練も実施。
いずれ現実世界での本格展開に向けた試金石とする。
ゲラシモフの言葉(独白、または密談内):
「ロシアはかつての姿を失った。制裁、疲弊、国民の失望……だが我々は目覚める。
NATOの兵器では止められぬ“瞬間の軍勢”で西側を揺さぶり、再び我が国の名を刻むのだ」
「我々は、ロシアを“蘇らせる”。あのザリヤでな」
兵力転送対象リスト(例):
転送部隊転送先任務内容
第234空挺襲撃旅団ポーランド・ワルシャワ市郊外政府施設への奇襲、心理戦
T-90M・T-72B4戦車中隊ラトビア・リガ周辺NATO部隊包囲・無力化
特殊部隊スペツナズドイツ・ラムシュタイン空軍基地通信妨害、施設破壊
2S19ムスタ自走砲隊フィンランド国境地帯長距離砲撃による威嚇
3M-54カリブル搭載小隊地中海沿岸部海上巡航ミサイルによる揺さぶり
まさかのゲラシモフ大将です