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第8話 領主代行初日終了

 ソフィや村の子供たちにポタージュスープを配った後は、ポテトを各家に配りながら、挨拶して回る。

 といっても、既にシモンが子供たちを集めた際に、大半の人たちが集まっていたので、二、三軒だけど。


「あの、何の御用でしょうか……」

「今日から、この村の領主代行となったアデルと申します。本日はひとまずご挨拶させていただいたのと、各ご家庭で食べていただければと……こちらをどうぞ」

「えっ!? これは……ぽ、ポテト!? しかも、こんなに!?」

「はい。あ、魔力が続く限り、スキルで出せるので、遠慮しないでください。こんな感じで」


 そう言って、実際に目の前で手からポテトを生み出すと、獣人族の女性が目を丸くして驚いていた。

 ちなみに、何度もポテトを出している内に、自分のイメージが重要なのだと気付き、今は土の付いていない綺麗なポテトをイメージしている。

 ひとまず、この家は三人家族だと聞いたので、ポテトを更に追加し、足りなくなったらいつでも来て欲しいと伝えておいた。


「アデル様。ひとまず、これで村の方たち全員と話す事が出来ましたね」

「そうだな。ただ、どういう理由なのかはわからないけど、村全体が若いな。一番、年上だと思われるシモンでさえ、二十代前半といった感じだし」


 村人が全員で三十人程とはいえ、日本でいう大学生くらいの年齢の者が村の代表というのは、今までかなり大変だったのではないだろうか。

 そんな事を考え……ふと気付く。

 いつの間にか、陽が沈みかけている。


「しまった。今日の寝床が無い」

「わ、私はアデル様のお傍に居られるのでしたら、どこでも良いですよ? その、馬車の中とかでも」


 クレアは馬車でも良いと言ってくれるが、完全に閉まるタイプの荷台ならばまだしも、簡単な幌が付いているだけのものなので、夜中に魔物が襲ってきたらひとたまりもない。

 またハズレスキルを合成して、何か考えなければ……と思っていると、シモンが声を掛けてきた。


「アデル様。我が家でも良ければ、是非泊っていってください」

「えっと……良いのか?」

「はい、勿論です! ソフィの命の恩人で、この村の領主様な上に、救世主なんです。むしろ狭い家で申し訳ありませんが……」

「いえ、助かります。では、お言葉に甘えさせてもらいますね」


 という訳で泊めてもらう事になったのだが、村にはお風呂も水道も井戸も無い。

 近くの湖まで組みに行った水を、各家で水瓶に貯めているので、夜はその水を使って濡らした布で身体を拭き、朝に水浴びへ行くそうなので、俺たちもそれに習い、今日は就寝する事に。

 ソフィが居た部屋に薄い毛布を敷き、クレア、ソフィと俺がそこで寝る事に。


「シオン。俺もそっちのリビングで構わないのだが」

「いえ、こちらは男性二人で横になるには狭いので。流石に恩人であるお二人には、せめてマシな部屋で寝ていただきたいんです。ただ、ソフィはまだ病み上がりなので、そちらでお願いしたいのですが」

「ソフィは勿論構わないが……」


 いや、女性二人と同じ部屋で一晩を過ごすというのが、どうかと思うのだが。

 クレアとは、今までだってちゃんと宿では個室を取っていたし、ソフィだって十代半ば……中学生か高校生くらいに見えるというのに。


「アデル様。せっかくの御好意です。こちらの部屋で休ませていただきましょう」

「そうだよー! 領主様、ソフィと一緒に寝よー!」

「――っ!? わ、私もアデル様とご一緒しますっ!」


 いや、ソフィは元気になったのは良いんだけど、ちょっとスキンシップが激し過ぎないか?

 あと、そんなソフィをシオンが微笑ましく見ているけど、それで良いのっ!? 小学生くらいならまだしも、ソフィは出るところはしっかり出ているし、いろいろと宜しくない気がするんだがっ!

 だが、結局ソフィとクレアが俺の腕をひっぱり……って、獣人族だからか? ソフィの腕力がかなり強いんだけど!

 そんな訳で、ソフィとクレアに挟まれて眠る事になってしまった。

 ……うん、何も考えずに寝よう。

 ソフィの寝相が悪すぎるけど……俺も疲れていたのか、そのまま就寝した。

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