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四千個のハズレスキル  作者: 向原 行人


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第24話 帰還

 翌朝。目が覚めると……左右から誰かに抱きつかれていた。

 静かに首を動かすと、何故か右腕にタチアナが抱きついている。

 昨晩、テレーズをトイレに連れて行き、雲で月が隠れていたせいで一人で寝るのが怖いと言われ、一緒に寝たのだが……どうしてタチアナまで?

 しかも、視線を感じて顔を向けると、仁王立ちのクレアが「夜中に何をしていたんですか?」と、にこやかに……いや、目は笑っていないけど、無言で訴えかけてくる。


「んー! おはよう、お姉ちゃ……あれ? 匂いが違う?」


 左腕に抱きつくテレーズが、目を閉じたままスンスンと俺の身体を嗅いできて……いやあの、首を匂われるのとか、ちょっと困るんだけど。


「て、テレーズ!? 寝ぼけてないで、目を開けてっ!」

「ほぇ? ……あ、領主様ー! そっかー! 昨日……っと、夜の事はナイショって約束だったよねー」

「――っ!? あ、アデル様!?」


 ようやく目を開けたテレーズが、無邪気に笑いながら約束の事を話す。

 いや、仕方がないとはいえ、一緒にトイレへ入ったなんて知られたら変態扱いされると思い、黙っていてね……とは言ったけど、逆に変な感じになっちゃってるからっ!


「ち、違うんだっ! クレア。何か誤解してないか!?」

「ん……領主様。おはようございます。昨晩は、テレーズの相手をありがとうございました。もしも今晩もしたくなったら、次は私が……」

「テレーズの言葉も微妙に変だからっ!」


 言葉足らずというか何というか、今晩またテレーズがトイレに行きたくなったら、次はタチアナが連れて行ってくれるという話だ。

 だけど、クレアは昨晩のテレーズのトイレの事を知らない事もあり、明後日の方向に誤解しているようで、頭を抱えている。

 違うから! 俺は変態じゃないから!

 ひとまず、何とかクレアの誤解を解いて朝食を済ませ、村の中を見て回る。


「うーん……テレーズちゃん。おトイレなら、私を起こして構わないんですよ?」

「あはは、領主様の方が近い場所で寝てたから」


 まぁ確かに同性のクレアの方が適任だったのは確かだけど、まさかトイレの中にまで入る事になるとは思わなかったんだよ。


「それと、タチアナさんは、どうしてアデル様のベッドに?」

「えっと、夜中に目が覚めたらテレーズが一緒に寝ていたので、何かあったのかなーと思って、何となく」

「何となくでアデル様のベッドへ潜り込んではいけませんからね?」


 まぁ俺の……というか、異性のベッドには潜り込まないようにしてもらいたいかな。

 今朝の話をしながら村を歩いていると、雑貨屋さんを見つけた。

 おしゃれな……というより、いろんな物を雑多に扱いっているお店なんだけど、その中に色とりどりのペンキとブラシのセットを見つけた。

 ペンキか……あ、待てよ! 昨日の夜に思い出したあのスキルが使えるかも!

 クレアたちが店内を物色している内に、小声でスキルを発動させる。


「≪スキル合成≫使用。ペイント・グラフィティとブラッシング」


――『ペイント・ブラッシング』スキルを入手。ブラシによる塗装が上手に出来ます――


 落書きスキルと、ブラシを上手に扱えるスキルを組み合わせ、狙った通りのスキルが出来た!

 という訳で、店にある塗料とブラシをあるだけ購入した。

 それから金槌と釘に、ノコギリと斧。あと、沢山の板に針と糸に、ハサミやランプ。新しい鍋や桶に、包丁やまな板も。

 要は一通りの工具や裁縫道具だったり、調理器具や家にあると便利なもの……というか、無いと困る物を沢山買う。

 食料や衣類、寝具はキースさんが後日運んで来てくれるはずだし、今回は街まで行かずにここで引き返すので、各家の暮らしが良くなりそうな物を買って帰るつもりだ。


「あとは、槍と弓矢があれば、尚良しなんだけど……」

「祭で人が多いからか、それとも元より扱っていないのか、武器の類は無さそうですね」

「そうだな。まぁ無いものは仕方がない。じゃあ、そろそろ村へ戻ろうか」


 大量の荷物になってしまったので、お店の人にも手伝ってもらい、ユスティーナさんの店に停めている馬車荷物を積んでいく。

 そして、最後にユスティーナさんへ声を掛ける。


「ユスティーナさん。この度は本当にありがとうございました」

「いえいえ。私も美味しいご飯を御馳走になったし、楽しい時間を過ごす事が出来たわ」

「それで……ですね。最後にお願いがありまして、素人でも扱える一般的な薬を売ってもらいたいんです。十人分程」

「十人分? アデルさんたちは四人しかいないけど?」

「いえ。俺たちはハルキルク村の代表として取引にきただけで、村には三十人くらいいるんです。ですが、常備薬的なものが殆どないので、何かあった時に使える薬があれば助かるなと」

「なるほど。そういう事ね……ちょっと待ってて」


 魔物を退治する事がままあるみたいだし、毒は俺が魔法で消せるけど、今みたいに外出していると、誰も対処が出来なくなってしまう。

 という訳で、村の共有資産として薬を買い、村へ戻る事にした。

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