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狐我家物語  作者: sayusa
7/15

月が来るまで

昨日の出来事が衝撃すぎたのか、今朝はふと昔の夢を思い出してしまった。

はぁ……今日は移動教室だったかな。

まずは顔を洗おう。

一つ目の授業が終わり、意外な人物が訪ねてきた……

涼が窓の外をぼんやり眺めていると、三年生の小鼬安曇が近づいてくる。

教室のざわめきが収まる中、三年生の小鼬安曇が涼の席に近づいてくる。

涼が窓の外をぼんやり眺めていると、三年生の小鼬・安曇が近づいてきた。


小鼬安曇

「涼くん、知ってる?今年は三年生の人数が減って合同授業が増えてるの。だからペアを組まないといけないのよ。正直、あんたみたいな奴と組むのは面倒だったけど……仕方ないから、私がパートナーになるわ…」


涼は幼い頃、安曇にちょっかいを出された記憶を思い出し、小さく息を飲む。


狗神涼

「お、おう……仕方ないな……」


小鼬安曇

「手は抜かないでよ。昔のことは忘れたわけじゃないから。」安曇は鋭い目つきを少し和らげた。


涼は少しドキッとしながらも、口ごもる。

教壇に立つ教師が出席を確認し、教室の空気が少し引き締まる。

涼はちらりと横目で安曇を見るが、彼女はすでに視線を前に向けている。

……やっぱり苦手だ。子どもの頃から、どうも調子を狂わされる

授業開始のチャイムが鳴り、二人の間に重たい沈黙が落ちる……

授業が終わると、昼休みのざわめきが教室を包む。

涼は弁当を手に、廊下へ出ようとしていた。


安曇

「涼くん。お昼、一緒に食べない?」


振り返った涼は、一瞬だけ目を細める。幼い頃のちょっかいを思い出し、口元に薄い笑みを浮かべた。


「いえいえ、お忙しい先輩の貴重なお時間を、凡人の私などに割いていただく必要はございません。」


安曇

「相変わらず口が回るわね。…でも今日は譲らないわよ。」


その時、廊下の向こうから狐我静が現れた。


「お、涼。昼一緒に行くだろ?」


涼は二人を見比べ、わずかに舌打ちして横を向く。安曇は友達に目配せしつつ、涼に向かって一言残す。


安曇「じゃあ、また後で捕まえるわね。」


そう言い残し、安曇は屋上へ歩き出す。静は涼の肩に軽く触れ、フォローするように涼の隣を歩く。

安曇はそう言いながら屋上へ向かって歩き出す。

昼休み。涼は安曇先輩とのやり取りに少し疲れ、廊下をぼんやり歩いている。

遠くから静が駆け寄り、優しいけど少し照れくさい笑みを浮かべて声をかける。


「涼…?今日の顔、いつもより疲れてるな。何かあった?」


「安曇にペアを組まれたんだ。あいつは昔から苦手でな……」


「そんな時は、俺を頼れよ。俺だけは絶対に味方だから…」


涼は一瞬驚いたように見開く。

――いや、そんな風に言われても、素直に受け取れるわけない……

でも、なんだか心が少し軽くなる気がする……

少しだけ微笑みを浮かべ、視線を落とす。


「ありがとう、静。お前がいるのは心強いよ……」


静はほっとしたように微笑み、涼の隣を歩き始める。

昼休みの廊下でのやり取りを終え、しばらく歩いた後、静が少し間をおいて切り出す。


「そういえばさ、放課後、少し時間あるか?」


「別に、特に予定はないけど……」


「なら、少し付き合ってくれよ。話したいことがあってさ。」


涼は軽く肩をすくめるが、断る気はなさそうだ。涼はまだどこか疲れた表情を浮かべていたが、静との会話で少しだけ気持ちが和らいだ。

二人は無言のうちに距離を縮めながら、和やかな昼食の時間を過ごした。

放課後の屋上。夕陽が差し込む中、静が涼に声をかける。


「来てくれてありがとう。ちょっと話があってさ。」


「ん?何だよ、そんな大層なことじゃないだろ?」


「大したことじゃないんだけど、気になることがあってな。聞いてくれる?」


「まあ、いいけど。どんなこと?」


「なあ、気づいたか?あの黒い霧、いつもと違うってこと…」


涼は少し迷いながらも頷く。


「ああ、あの時とは違った。光の石が効いたのもそのせいだろう…」


「問題は、学園にどう報告するかだ。大騒ぎになるかもしれないし、課外授業も厳しくなる…」


「……でも隠しておくのも危険だ。正確に伝えないと、もっと大きな被害が出るかもしれない…」


「うん、慎重に動かないと…」


廊下を歩きながら話を続ける


「学院はこの異変、すでに把握してるのかな?」


「わからないけど、三年生の課外授業の数が増えてるのは事実だし、死者も出てるって話だ。学園側も何かしら気づいてはいるはずだ。」


「でも、もし本当に把握してて何もしなかったら、それこそ最悪だ。俺たちでできることを考えないと。」


「俺も、今まで家の中であまり役に立てなかったけど……こういう時こそ、何かできるようになりたいと思ってるんだ。」


しばらくして、学園での授業や課外活動をこなす中、涼と静はあの黒い霧の件について考え続けていた。一ヶ月ほど経ったある日、現天鴉家当主が学園に訪れることになった…

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