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第十九話 相談

「うっぉぉ……マジかぁ。」

「まさか校舎が丸々残っているとは……」

健吾と昭が感嘆の声をあげる。

「とりあえず、インフラはある程度残ってるからな。……まずは部屋割りを決めようか?」

俺がそういうと、健吾と昭だけでなく、万梨阿や亜里沙までもが小躍りしながら校舎内の探索を始めた。

取りあえず、芽衣子ちゃんや信也に後を任せ、俺は美也子とかすみを連れて、家政科室へと場所を移す。どうしようかと悩んでいたルインは、結局俺達の後をついてくる。


「それで、なんの話かなぁ?」

リビングにあたる場所にあるソファーに腰を下ろすと、美也子がそう訊ねてくる。

「そうね、わざわざ私達だけで戻ってくるなんて、なにか重要な話があるんでしょ?」

かすみが、ティーポットと人数分のカップを持ってきて、皆の前に用意してくれる。

「ん~、お前たち二人と愛を育むため……という風には考えてくれないのか?」

俺がそういうと、二人がぷっと噴き出す。


「「ないない」」

二人が声をそろえて言うが、それはそれで傷つくぞ。

「そうねぇ、彼方が望むならいいけどぉ……。キスまでしかしてくれないヘタレだもんねぇ。」

美也子が小悪魔的な笑みを浮かべながらそういう。

ちょっ……そういうことはばらさないようにっ!

動揺する俺を見て、ニマニマと笑うかすみ。


「と、とにかくだっ、話しというか相談があるんだよ。」

俺は強引に話題を変える。

「お前らは、アイツらの話をどう思う?」

「ん~、やくざさんたちが大人しくしているっていうのがふに落ちないなぁ。普通なら、力で商店街や健司君たちを従えようとするんじゃないかなぁ?」

美也子がそういう。

「それは私も同感。ただ、現在そうなってないって事は、力で従えられなかったって事で、そこに何かあるんじゃないかなぁ?」

かすみの言葉に俺も同意する。

「だな。俺はそれがスキルに関することじゃないかと思っているんだが……。」

「スキルねぇ……。よくわからない力だよ。」

「ルインなら少しは分かるんじゃない?」

「ほへっ?」

今まで黙って聞いていたルインが、急にかすみに話を振られて狼狽する。

「にゃ、にゃんですかニャ?」

「あ、うん、ルインの知っている範囲で、ダンジョンの事とかスキルの事とか教えてくれないかな?」

「そう言われてもにゃぁ……。まず、スキルは女神様の恩恵って言われてるニャ。」

ルインの話を簡単にまとめると、スキルは本来人間が持つ力ではなく、努力したものが、女神様に認められて授かるものだと言われているらしい。

だから、幼いころから剣を真摯に振り続けてきたものは、その努力を女神様に認められて、剣術¥系のスキルを授かるという事らしい。

また、英雄など名を成したモノの子孫は、女神様が見守ってくださっていて、生まれた時に祝福が与えられるのだとか。

それ以外にも、女神様が見初めたものには特別な力を授けてくれることがあるらしい……これが、俺達の言う「ユニークスキル」にあたるのだそうだ。


ダンジョンについては諸説あって、ルインたちの世界でも謎が多いらしい。

ただその中で有力なのが以下の三つの説。


ひとつは、女神様が与えた試練の場。

人々が傲り高ぶらぬよう、女神様が世界の広さを示すために作られたという説。

要は「あなたはこの魔物に勝てるのかしら?世の中にはこんな危険もあるのよ?」という事らしい。

ダンジョンから得られる資源などは、女神様からのご褒美なのだとか。

流石に穿ち過ぎだろうとは思うが、否定する材料がないのも、また事実だ。


もう一つは、ダンジョンは一種の魔物だという説。

魔物かどうかはともかくとして、ダンジョンは生きている。生きているからには、何らかのエネルギーを必要とする。

曽於のエネルギーが、マナなのか、生命エネルギーなのか分からないが、とにかく、人がダンジョンの中に入り、行動することがダンジョンにとって必須であり、その為の餌として、宝箱とか魔物などを生み出しているという説。

その証拠として、ダンジョン内の魔物とダンジョンの外での魔物では明らかな違いがあるという。


「違い?」

かすみが興味深げに聞く。

「そうにゃ。外の魔物は、魔石があったり、ドロップアイテムを落としたりする以外、他の獣と代わりニャいにゃ。だけど、ダンジョン内の魔物は、一定時間たつと消えるニャ。」

これは、ダンジョンのエネルギーで生み出された魔物だから、ダンジョンのエネルギーに還元されたというのが定説になっているらしい。

そう言われれば納得いく説明ではある。


そして最後は、創世神がつくりだしたシステムだという説。

世界に漂う、なんだかよくわからないエネルギーみたいなものを、澱まないように攪拌させるためのシステムなので、ダンジョンは頻繁に利用するべきだ!と唱えている団体がいるらしい。

馬鹿らしいとは思うが、反論すべき根拠がない事から、一定の支持者を集めているのだとか。

この説を唱えている者たちは、スキルもダンジョンから与えられたモノだという。

創世神が、ダンジョンに挑むための力を授けてくれるのだとか。

ルインたちの世界では、ばかばかしい、と余り相手にされていない説だが、俺達の世界にダンジョンが現れてから、スキルが芽生えた事を考えると、あながち間違っていないのではないか?と思ってしまう。

結局、ダンジョンについても、スキルについても、そのまま受け入れるしかない、という結論が出ただけだったが、今回の本題はそれではないので、とりあえずは横においておく。


「大きな問題はひとつ。それに付随する問題がいくつかあるんんだ。」

俺はそう前置きして、美也子とかすみに告げる。

「俺達はこのまま地上を目指すべきなのか?」

「どういうことかな?」

美也子がそう訊ねてくる。

「あぁ、話を聞いた限りでは、地上には何も残っていないらしい。もちろん、街のあった場所から離れれば、違うのだろうが……。」

俺は今までに集めた情報をもとに、かすみと美也子に説明していく。


途切れ途切れの情報を集めてつなぎ合わせてみると、日本の各地でここと似たようなことが起きていて、混乱しているらしく、その混乱は地上にも広がっているらしい。

地域によっては無法地帯になっている所もあるのだとか。

スキルの恩恵が殆ど得られない地上で、危険と隣り合わせで苦労するぐらいなら、なんとなく秩序が出来始めているダンジョン内で生活する方がマシなのではないか?

幸いにも、シェルターを兼用していた校舎があるため、インフラは何とかなっている。

食料に関しては、ダンジョン産のモノで自給自足を迫られるが、屋上菜園もあるし、何とかなる目途は立っている。

加えてスキルの存在がある。

スキルなしで、地上で苦労するくらいであれば、スキルの恩恵を受けることが出来るダンジョン内の方が楽に生活できるのではないか?

1階層にいる街の住人達は、そう結論を出して、dsンジョン内でコミュニティーを作り出しているのではないだろうか?


そんな事を説明すると、かすみも美也子も悩み始める。

結局、みんなも交えて全員で決めるのがいいのでは?という結論が出たのは、かなり経ってからの事だった。



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