第十四話 ルインとURドロップ
……クゥっ、油断したにゃぁ……
「はにゃすにゃぁっ!……あっ、それダメにゃぁ……。」
ジタバタとも藻掻くけど、手足を抑えられていては、何もできない。
昨晩、疲労に溜めに深く寝入ってしまい、結界石の魔力が尽きても寝入ってしまっていたのが敗因だった。
寝起きにゴブリンの強襲を受け、数匹は返り討ちにしたものの、奇襲を受けたこと、起きたばかりで頭が回っておらず、身体も本調子じゃなかったことなどから、動きは鈍く、ゴブリンの数に押し込まれて、とうとう捕まってしまったのだ。
ゴブリンにとって人族、獣人族の女の子は、特別な意味を持つ。……母体だ。
繁殖のための苗床という事であり、ゴブリンたちは、女の子を殺さず捉える。
そして、雄個体全員で犯すのだ。
ゴブリンたちは遠慮とか手加減という言葉を知らない。
一度捕まれば、子を孕むまで犯され続ける。
また、ゴブリンポーションと呼ばれるマズく苦いが、効果だけは一級品の薬品を与えられ続け、体力が尽きて倒れることも、狂う事も許されない。
更には催淫作用もあるため、次第にゴブリンを求めるだけの牝に成り下がるという、死んだ方がマシな状態にさせられるのだ。
そして、子を孕みゴブリンを産出する頃には、もう、正常な判断は残っておらず、ただただ、ゴブリンたちの性欲処理の為にだけイカされ続ける。
ルインも、ゴブリンの巣を殲滅させる依頼を受けた時に、そう言う女性を何度も見かけた。
そして、その姿と自分がダブる……。
衣類は引き裂かれ、ゴブリンたちが胸を乱暴に弄る。
「痛いにゃ、やめ……ひぅんっ。」
ギブリンたちに好き放題嬲られる
……こんなのもうイヤにゃぁ……誰か助けてにゃぁ……。
そう思っていると、ゴブリンに身体を持ち上げられる。
「にゃっ、何をする気だにゃぁっ!」
そのまま私は、さっきまでいた洞窟の壁に運ばれていく。
そして壁に座らされた私を拘束しゴブリンが私の前に立つ。
「や、やだ、やだぁ、やだヤダヤダやだぁぁぁ……。」
これから何をされるかを悟った私は必死になって抵抗するが、ガシッと押さえつけられていては、どうしようもなかった。
もうダメ……と思ったその時……
びしゃぁっ!
私を捕まえていたゴブリンの頭が砕け、私に血が降りかかる。
「ひぃっ!」
避けようがなかった。
四肢がしっかりと固定されていて、ルインは身動きが取れないのだ。
バシュッ!バシュッ!
近くで、ゴブリンたちの頭蓋が砕ける音が続く。
……ひょっとして……助かったのかニャ?
そう考えた途端、身体の奥が熱くなってくる。
……分かっている。
危険から逃れることが出来たという安心感と、先程飲まされたゴブリンポーションの効果のせいで、生存奉納が反応してしまったのだ。
「無事か?」
誰かが近づいて来るにゃ……。
男が段々と近づいて来る。
「み、みにゃいで……。」
ルインの体を覆うものは何もない。
こんな姿を見られるのは耐えられなかった。
しかし、ルインが出来るのはそこまでだった。
「みにゃいでぇぇ……。」
それだけを口にし、ルインの意識は急速に堕ちて行った、
◇
「大丈夫か?」
向うから声が聞こえる。たぶん信也の奴だろう。
……気の利かない奴め。
俺は気を失っている獣人の娘の体を簡単に清め、収納から取り出したタオルをその裸の身体にかけると、そのまま抱き起そうとする。
カラン……。
何かが転がり落ちる。
ん?ワンドか?
杖というには短すぎる棒を拾い上げる。
「おーい、大丈夫かぁ!」
向うから信也の声が聞こえる。
俺はそのワンド?を収納に入れ、ついでに転がっていた「ゴブリンポーション」をまとめて収納に入れると、ネコ耳の少女を抱え上げ、仲間の下へと戻るのだった。
◇
「じゃぁ、その娘は、ゴブリンたちに襲われてたの?」
「あぁ、ぁ、ギリギリのところで助けることは出来たんだけどな。」
「そう、よかったわ。」
安心した様にカスミが言う。
「……でも、この子って魔物なの?」
美也子が心配そうにそういうが、芽衣子がフルフルと首を振る。
「多分ファンタジーで言う獣人。亜人族にカテゴライズされるけど魔物じゃない。」
芽衣子のスキルはテイミングなのだが、魔物はテイムで着ても普通の動物はテイムできないという。
そして、スキルを通じて相手が魔物かどうかは分かるのだそうだ。
その芽衣子が言うのだから魔物じゃないという事は確かだ。
「彼女が魔物じゃないというのはいいとして、これからどうする気?一緒に行動するの?」
カスミがそう聞いてくる。
「一緒でいいんじゃないか?獣人って言うなら身体能力が高いのが定番だろ?だったら俺達も助かるんじゃないか?」
そういうのは信也。
現状俺達の中で、まともに戦力と言えるのは、カスミと信也だけだから、その言い分も分かるのだが、それに美也子が反対する。
「えっと、私は反対。この子にも事情があると思うし。私達の都合で連れていくのは銅貨って思うの。」
その後も口々に各自が思う所を述べていく。
意見が出そろったところで、俺が締めに入ることにした。
「まぁ、どちらにしても、彼女を無理やり連れて行くのは良くない。まずは、彼女自身がどうしたいのかを聞いてみるべきだと思う」
俺のその言葉に、皆も納得して頷き、とりあえずは彼女が目を覚ますのを待つことにした。
「じゃぁ、そう言う事で、今日の予定変更。各自ゆっくりと休もうや。」
ここはダンジョンの三階層。
本当はもっと先に進む予定だったが、獣人の娘を助けたことで、予定を変更した。
というのも、この三階層には来たばかりなので、今居る広場以外に「校舎」を出せるような場所があるか分からなかったからだ。
じっくりと休むなら校舎は使いたい。
かといって、この先に進んでも校舎を拡げる場所があるとは限らない。
だたら、多少の不便は妥協しても、この先に進む、という予定は先送りになったのだ。
そして、色々な理由を付けてでも、俺は校舎を利用したい理由があった。
それは獣人の少女を助けた時に拾ったワンド。
先程思い出して、収納から取り出そうとしたときに、見てしまったのだ。そのアイテムの詳細を……。
俺の収納に入っているものは、俺が意識すれば、その名前と効果が分かるようになっている。
収納の中限定の鑑定スキルの様なものだ。
この機能を使えば、未鑑定のアイテムでもわかるので、一度収納を通せば、呪われたアイテムなどを使用するという危険性も抑えることが出来る。
さらに言えば、キノコに毒があるかないかの鑑定も出来るので、サバイバルには重宝する……いや、毒キノコの判定って難しいんだよ?
それで、先程手に入れた二つのアイテム。
ひとつは彼女が口にした『ゴブリンポーション』
これは、ゴブリンたち独自の製法によるポーションで使われている素材は……まぁ、あまり口にはしたくないな。
その効果は、「体力回復(注)」「状態異常(精神系)回復(小)」「催淫(大)」となっている。
簡単に言えば媚薬入りの回復薬……いや、回復効果のある媚薬かな?
基本、経口摂取らしいのだが、恐ろしく不味いらしい。しかも、ドロッとしているので飲みにくそうだ。
だが、皮膚接触でも効果があるらしいので、使用するときは……って、そんな予定はないのだけど。
そんな事を考えつつ、もう一つのワンドに視線を向ける。
名称:「肉棒」 レーティング:UR
所持者 彼方 ※ユニークアイテムにつき、スキルコピー時以外、所持者以外に使用はできない。
効果1 スキルコピー 使用したもののスキルをコピーすることが出来る。
効果2 形状変化 ①スキルコピー時、使用しやすい形に変化する。 ② スキルに応じた使用しやすい形態に変化する。
効果3 スキル保持 0/3 コピーしたスキルを保持しておける。現状最大3個
……うん、完全にぶっ壊れアイテムだな。
効果もそうだけど、このアイテムの力を発揮するためには、スキルをコピーする必要が有る。
そしてそのコピーする方法というのが……。
……うん、なんて言おう?
このワンドを体内の一部と接触させながら、その……ある興奮のピークに達した時に、その人の持つスキルがコピーされるというもの。
複数のスキル持ちの場合は、ランダムでコピーされ、再度使用することで、別のスキルがコピーされる。……らしい。
俺は実践するために、美也子を体育倉庫に呼び出すのだった。
………結論から言おう。
美也子にアイテムの説明をしたら、馬頭された。
カスミにお願いしたらビンタされた。
芽衣子ちゃんには……。
うん、彼女にはまだ早いかな?
結局、夜遅くにカスミが来て、そのアイテムを持って行った。
カスミ曰く「命を助けてもらったからね」とのことだった。
翌日の朝、カスミに返してもらったその「肉棒」には「剣術」のスキルがついていて、俺が持つとブロードソードの形に変わった。
凄い事であり、どのように使ったかを尋ねたかったが、カスミが常時顔を赤くしていたことから、この件については触れない方がいいと思った……剣だけに。
という事で、ようやくタイトル回収しました。
タイトル回収までに14話。プロローグも含めれば15話ですかぁ。
アニメなら1クール終ってるっ!?
……まぁ、合体ロボットと言いながら、2クールに入ったところで初めて合体したというアニメもあったぐらいだから……って、あれって打ちきりだったっけ?
じゃぁ、この小説も打ち切り???
……ん、まぁ、アイテムの効果が効果なので、全年齢版としてはどこまで攻めるかが今回のポイントでした。
その分18禁版は激しい……かな?
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